第2章 "煙突の下のルエリーヌ"

「……ど、どうかな?」

「…ん?……この中身はチーズか?」

「…そうなの。ラフィーはチーズが好きでしょ?」

その言葉に黙り込むラフィー。

……もしかして美味しくなかったのだろうか。
そう思った時ー。




「…おい"煙突の下のルエリーヌ"」

物静かな声で呼ばれたルエリーヌは思わず背筋を伸ばした。

だが、聞こえてきたのはとても優しい言葉だった。

「…なかなかだな。……君が料理上手だとは知らなかった。……どうやら私は君を見下していたようだ」

想像とは違うラフィーに、ルエリーヌは戸惑いつつも唾を飲み込んだ。


正直、その後の事はあまり覚えていなかった。


……中間試験を受けたまでは記憶にあるのだが、ラフィーに言われた言葉が頭の中でずっと繰り返されているせいで、自然と顔が緩む。


傍から見たら、きっと変な人だろう。
でも、想像していたよりラフィーは以外と照れ屋なのかも知れない。

あの時、ぶっきらぼうに言ったのは照れ隠しなのではないかと思うとまた頬がゆるんでしまう。


そんな様子のルエリーヌに疑いの目が向けられる事になろうとは。

この時は思いもしていなかった………。
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