第1章 高鳴る胸

2階に着いた生徒達は先生にしてされた部屋へと入っていく中、306号室と書かれた鍵を渡されたルエリーヌは、宿舎へと続く廊下を進んでいた。


宿舎は学校の建物より少し離れており、南西側にある渡り廊下を渡った所だ。

宿舎の1階には、生徒が使える広く、大きな図書室があるらしい。

渡り廊下を進むと更に3つに別れ、右に進むとAからEのクラス。左がFとGクラス。真ん中が生徒が団らん出来る広間となっている。



渡り廊下を進むにつれ、左側に少し古臭さが残る宿舎が見えてきた。

そこが、FとGクラスの宿舎なのだが、この宿舎はあまり使われていない部屋もあり、部屋によってはおばけ屋敷のような部屋もあるという……。


更に廊下を左に進み、番号のかかれた部屋を探し、1番奥の部屋へと辿り着いたルエリーヌ。

緑色の扉にあった鍵穴に鍵をはめ、カチャリと鍵の開く音がしたので、その扉を開けたのだが、目の前に広がる光景に思わず足が竦んでしまった。



そこの部屋は、所々が壊れ……天井には手のひらほどの穴が空き、その天井にある煙突のようなものからは水が滴り、床に生えていた小さな草花を育てているようにも見えた。


ここは仮にも勉強部屋だというのに、机や椅子には真っ白なホコリが溜まり、ベッドの上には薄茶色に汚れたシーツが丸まっていた。

更には、本棚の周りには蜘蛛の巣がかかり、その下には昆虫の死骸がいくつも転がっていた。

 


……一体、この部屋は何年使われていなかったのだろう?そう考えるだけでも頭が痛くなりそうだった。
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