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何とはなしに点けているテレビを眺めながら、***は棒状の菓子をさくさくと口に詰め込んでいる。特に見ているわけではないが、興味を惹かれたものがあると口の動きがゆっくりになって、それが終わるとまた軽快な音を立てる。まるで小動物の食事風景みたいで可愛らしい。じっと見ているのがバレたのか、***がちらりとこちらに目線を向けた。それが一度テレビに戻り、またこちらを向く。
「...なに?」
「いや、うさぎみたいで可愛いなーって」
「ラビのくせに...」
「オレの名前はうさぎとは関係ないんだってば」
「知ってる」
新しいのを手に取ってさくさくと削っていく様子はやっぱり小動物みたいだ。指が細いからか、オレが持っているのと***が持っているのとでは長さが違うのではないかと錯覚する。
この菓子を持ってきたのは***で、学校で友達と食べたのが余ったから、という何だか言い訳っぽいことを言いつつ残ったもう一袋を開封したのだった。チョコレートにキャラメルソースが螺旋を描く、少し洒落た味。今なら、それはそれは甘いキスができるんだろう。甘ったるさをコーヒーで少しすっきりさせてもう一本齧ろうとしたら、***の持っていたもので口を塞がれた。
「ん...?」
「......」
***が何も言わないので、仕方なく食べ進めていく。当然菓子は短くなって、唇と少し冷たい指先が触れた。
「な、なに...?」
「あの...」
やけに歯切れが悪い。これはもしかして、もしかすると。ニヤけそうになる口元をなんとか誤魔化しながら、さっきの***と同じように小さな唇にチョコレートの付いた方をあてがった。微動だにしないので、先を少し奥へ押し込むようにする。
「...落ちちゃう」
「ん...」
咥えて、と言わなかった自分の理性を讃えつつ、反対側から咀嚼していく。***はやけに大人しく、オレの唇が到着するのを待っていた。
最後の一口を噛み切って、触れるだけのキスをした。いや、そのつもりだったが、***の体温で溶けたチョコレートを舌先で舐め取った。オレの腕を握りしめる手は、さっきより随分と熱い。
「...夢が叶った、って顔じゃなさそうさ」
「別に、夢ってほどでは...」
「***って意外にベタなの好きなんだな〜」
というか、誘い方が下手すぎる。そこが好きだし、オレにはわかるから別にいいんだけど。
「...これ持ってくればノリでさくっとしてくれると思ったのに...」
「なんさそれ...まさか***がこういうことしたがると思わないじゃん」
わがままというか他力本願というか、しかし甘えられていると思えばそれほど悪くない。何故か悔しそうな顔をしている***の頭を撫でて、一本その手に握らせる。
「今度は***ちゃんからしてほしいなー」
顔を覗き込むと、少し嬉しそうにチョコレートの螺旋が差し出される。
やっぱり、甘い。
11月の駆け引き