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「わぁー綺麗!」
「おー、すげー」
デート中、公園に立ち寄ると見事に紅葉した木々に出会った。見上げてばかりで転びそうになる***の手を引いて、抱き締めたままオレも鮮やかなトンネルを見上げる。風が吹く度に木漏れ日がきらきらと眩しくて思わず目を細めた。
しばらく黙って見上げていたら、腕の中がもぞもぞすることに気付いた。***がオレから抜け出そうともがいている。敢えて力を込めるとすごく嫌そうな声を出されてちょっと切ない。
「ちょ、そんなにオレから逃げたいんか」
「写真撮りたいからちょっと離して」
「はいはい」
腕を緩めると、悲しいことにオレの中から愛しい温もりが嬉々として逃げてゆく。目を付けていたのか一目散にある一本の木に近付いてカメラに収めているので、オレもその後ろ姿を撮ったりした。放っておいたらその背中はどんどん小さくなっていく。木の側のプレートに植物の蘊蓄が書いてあるのに気付いて、何となく***を追いつつ熱心に読んでいたら急に何かがぶつかってきた。
「うわっ!」
「...ラビ!」
「えっ?!...あ、***、おかえり...」
「ん...」
何だか急に元気がない。手を繋ぎ直して顔を覗き込んだら、やけに神妙な顔をしている。
「ラビを一瞬見失ってびっくりした...」
「...弾丸のようにいなくなったのはどっちさ」
「...髪の色、一緒なんだもん...」
「うん?あ...え?」
***の視線の先を辿る。木の枝とオレの顔。いや、髪の色と言ったか。毛先を摘んだら小さく頷いた。
「え、うそ...これで?」
「ラビを隠すなら秋だね...」
「何の話してる?」
「...お腹空かない?」
「***ちゃん話聞いてないね?」
誤魔化すように可愛らしく腕にぴったりくっつかれて、どうでもよくなってしまった。***をしっかり捕まえて来た道を戻りながら、秋の味覚を端末の検索ボックスに放り込んだ。
10月の戸惑い