短編
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眠くなるまで一緒にいて
急に目が覚めた。何度か寝返りを打って、眠れそうにないことを悟って上半身を起こす。このままぼーっとしているか、散歩にでも行ってみるか、頭の中で選択肢を点滅させていると静かに廊下を歩く音が聞こえる。誰か帰ってきたのだろうか。また思考の海に戻ろうとしたけど、足音が部屋の前を行ったり来たりするので耳を澄ませる。何度目かで足音が止まり、静かに鍵が差し込まれて扉がゆっくり開いた。あたし以外に部屋の鍵を持っているのは一人しかいないから、誰だか確信して廊下の光が差し込む扉に顔を向けた。
「………っっっくりした……」
「…何で侵入した方が驚いてんの…」
「いやだって、起きてると思ってなくて……ハイッテイイデスカ…」
「ドウゾ…」
目が合った瞬間、ラビがびくりと肩を跳ねさせた。何故かカタコトっぽいラビをこちらもカタコトっぽく招き入れてみる。コートを脱いで盛大なため息とともに椅子に落ちたラビは、よく見たらボロボロだった。
「おかえり…大変だったの?」
「ただいまぁ…別に難しくなかったけどさ、数が多くて…」
ラビは広範囲攻撃ができる武器の特性上、敵数の多いところに行かされがちだ。そういうのをいちばんめんどくさがるくせに、頭を使って効率よく多数の敵を倒せるのでますますそういう任務を任されるのは皮肉なものだ。ベッドから出て、放っておくとこのまま椅子と一体化しそうなラビに近付く。
「シャワー浴びておいでよ。なんか食べる?貰ってこようか?」
「んー食べたい…ような…別にいいような…」
「…一緒に寝たいからシャワー浴びてきて?」
「はい」
キスと一緒に耳元で囁くと溶けていた顔が面白いようにハッキリした。テキパキとバスルームに向かうのを見送って、あたしも気分転換がてらなにか軽食をもらいに食堂へ向かった。
───────────────────────
どっちでもいい感じだったくせに、ラビはもらってきたサンドイッチに豪快にかぶりついた。ひと口の大きさに驚きながら、あたしもちゃっかり自分のミルクティーを啜る。ミルク多めで眠りを誘うにはちょうどいい。
「***起きてたの?」
「んー、なんか目が覚めちゃって。どうしようかなって思ってたら、侵入者が…」
「侵入者って…侵入者だけどさ…」
「どうかした?」
この時間なら寝ているのはわかっていただろうし、構われに来たわけではなさそうだ。
「別に、顔見たかっただけさ…」
「そっか…ふふ」
「なに?」
「起きててよかったなーと思って」
「なんで?」
「だって、寝てたら話出来なかったもん」
同じミルクティーを啜るラビの頬にキスをする。普通に寝ていたら会えるのは数時間後になっていたし、美味しいミルクティーも飲めて少し得した気分だ。ラビはあたしの顔をじっと見つめたあとカップの中身を一気に煽って、伏目がちに笑った。
「…起きててくれて、助かったかも」
「…うん?」
「いや、なんでもないさ」
その笑顔にはいつもの天真爛漫さがなくて、もしかして何かあったのかもしれないと思った。任務は難しくなかったと言ったけど、別件で落ち込むことでもあったんだろうか。空になったラビと自分のカップをテーブルに置いて、膝立ちになっていつもあたしがしてもらうようにラビの頭を自分の胸に閉じ込めた。
「んぶ」
「よしよし」
「………」
乾かしたばかりのふわふわの髪をできるだけ優しく撫でる。ラビは黙ってあたしの背中に腕を回して控えめに服を握った。どれくらいそうしていたのかラビがゆっくり顔を上げて、滅多に見られない上目遣いに可愛いなと思う。
「ねー***、このまま寝たい…」
「ん…おいで」
灯を消して二人でベッドに寝転ぶ。いつもラビがしてくれるみたいに腕を広げたら、赤毛があたしの胸元に収まった。なんだか嬉しそうですごく可愛い。さっきみたいに髪を撫でていたらいくらもしないうちに寝息が聞こえ始めて、あたしもさっきまでの目の冴えが嘘のように瞼が重くなってくる。
起きたら元気になっていますように。
そう思いながら、意識を手放すまで頭を撫でていた。
(ねー***、***可愛い好き大好き***)
(げ、元気になりすぎ)
急に目が覚めた。何度か寝返りを打って、眠れそうにないことを悟って上半身を起こす。このままぼーっとしているか、散歩にでも行ってみるか、頭の中で選択肢を点滅させていると静かに廊下を歩く音が聞こえる。誰か帰ってきたのだろうか。また思考の海に戻ろうとしたけど、足音が部屋の前を行ったり来たりするので耳を澄ませる。何度目かで足音が止まり、静かに鍵が差し込まれて扉がゆっくり開いた。あたし以外に部屋の鍵を持っているのは一人しかいないから、誰だか確信して廊下の光が差し込む扉に顔を向けた。
「………っっっくりした……」
「…何で侵入した方が驚いてんの…」
「いやだって、起きてると思ってなくて……ハイッテイイデスカ…」
「ドウゾ…」
目が合った瞬間、ラビがびくりと肩を跳ねさせた。何故かカタコトっぽいラビをこちらもカタコトっぽく招き入れてみる。コートを脱いで盛大なため息とともに椅子に落ちたラビは、よく見たらボロボロだった。
「おかえり…大変だったの?」
「ただいまぁ…別に難しくなかったけどさ、数が多くて…」
ラビは広範囲攻撃ができる武器の特性上、敵数の多いところに行かされがちだ。そういうのをいちばんめんどくさがるくせに、頭を使って効率よく多数の敵を倒せるのでますますそういう任務を任されるのは皮肉なものだ。ベッドから出て、放っておくとこのまま椅子と一体化しそうなラビに近付く。
「シャワー浴びておいでよ。なんか食べる?貰ってこようか?」
「んー食べたい…ような…別にいいような…」
「…一緒に寝たいからシャワー浴びてきて?」
「はい」
キスと一緒に耳元で囁くと溶けていた顔が面白いようにハッキリした。テキパキとバスルームに向かうのを見送って、あたしも気分転換がてらなにか軽食をもらいに食堂へ向かった。
───────────────────────
どっちでもいい感じだったくせに、ラビはもらってきたサンドイッチに豪快にかぶりついた。ひと口の大きさに驚きながら、あたしもちゃっかり自分のミルクティーを啜る。ミルク多めで眠りを誘うにはちょうどいい。
「***起きてたの?」
「んー、なんか目が覚めちゃって。どうしようかなって思ってたら、侵入者が…」
「侵入者って…侵入者だけどさ…」
「どうかした?」
この時間なら寝ているのはわかっていただろうし、構われに来たわけではなさそうだ。
「別に、顔見たかっただけさ…」
「そっか…ふふ」
「なに?」
「起きててよかったなーと思って」
「なんで?」
「だって、寝てたら話出来なかったもん」
同じミルクティーを啜るラビの頬にキスをする。普通に寝ていたら会えるのは数時間後になっていたし、美味しいミルクティーも飲めて少し得した気分だ。ラビはあたしの顔をじっと見つめたあとカップの中身を一気に煽って、伏目がちに笑った。
「…起きててくれて、助かったかも」
「…うん?」
「いや、なんでもないさ」
その笑顔にはいつもの天真爛漫さがなくて、もしかして何かあったのかもしれないと思った。任務は難しくなかったと言ったけど、別件で落ち込むことでもあったんだろうか。空になったラビと自分のカップをテーブルに置いて、膝立ちになっていつもあたしがしてもらうようにラビの頭を自分の胸に閉じ込めた。
「んぶ」
「よしよし」
「………」
乾かしたばかりのふわふわの髪をできるだけ優しく撫でる。ラビは黙ってあたしの背中に腕を回して控えめに服を握った。どれくらいそうしていたのかラビがゆっくり顔を上げて、滅多に見られない上目遣いに可愛いなと思う。
「ねー***、このまま寝たい…」
「ん…おいで」
灯を消して二人でベッドに寝転ぶ。いつもラビがしてくれるみたいに腕を広げたら、赤毛があたしの胸元に収まった。なんだか嬉しそうですごく可愛い。さっきみたいに髪を撫でていたらいくらもしないうちに寝息が聞こえ始めて、あたしもさっきまでの目の冴えが嘘のように瞼が重くなってくる。
起きたら元気になっていますように。
そう思いながら、意識を手放すまで頭を撫でていた。
(ねー***、***可愛い好き大好き***)
(げ、元気になりすぎ)