短編
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Dolce
「いいじゃないですかーちょっとくらい」
「よくねー!やめろ!」
「もーやめなよアレン」
いつもの軽いケンカで、ラビの眼帯を少し引っ張ったら予想以上に抵抗された。ちょっとムキになって食堂から出ても追いかけ回していたら***にまで注意されて面白くない。ラビは僕からしても一回り、ラビなら二回りくらい小柄な***の後ろに隠れるように引っ付いた。女の子を盾にするとは卑怯だ。
ラビと***が付きっていることを知ってからもう随分経つが、僕はラビの味方をする人間がいることにもいまだにちょっと納得がいっていない。ラビはみんなにイジられて、テキトーにあしらわれているのが似合うのに。
「***も見たことないんですか?ラビの右目…恋人でしょ?」
二人がどこまでいってるかなんて別に興味もないし考えたくもないが、少なくとも寝込みを襲える関係ではあるはすだ。聞いてもいないのにラビが「***と一緒だとよく眠れるんさ〜」とか言ってきたことを思い出す。それでも***が眼帯の下を知っている様子はないので、純粋に気になった。
「見ないよ、嫌がるってわかってるし」
「…何言ってんですか物分かりのいいフリして…」
「フリじゃねーわ!…別に右目見せてくれないくらいで嫌いにならないよ」
なんか後ろにいるラビが何とも言えないドヤ顔で見てくるのはムカつくが、一瞬でとんでもない大きさの愛情を見せつけられて少しだけ面食らう。
ラビは特定の相手を作らない質だと思っていたのでどういう風の吹き回しなのかとしばらく疑っていた時期もあったが、きっと僕の知らないところで二人はたくさん話をして、二人だけでわかり合っていることが数えきれないほどあるのだ。寝ている間に勝手に秘密を暴かれないと思えるほどの信頼関係が二人の間にはある。何だそれ、めちゃくちゃ愛し合ってるじゃん。
…いいなぁ。
でも二人の、特にラビの前でいい関係ですねなんて言うのは癪なので、美味しいお菓子でかき消したくてさっき出てきた食堂にとんぼ返りした。
───────────────────────
「ったくクソガキが…」
「ラビもケンカに乗ってたじゃん…」
「だってさぁー」
オレはまぁ、イジられキャラというやつなんだろう。特別作っているわけでもないが、周りと「仲良く」なるには便利な気質だ。多少舐められるのも、オチに使われるのも慣れている。でも***は、オレに非がない時はオレの味方をしてくれた。もちろん普通に怒られる時もあるし、いつでも対等でいようとしてくれる。それが妙に嬉しいと感じ始めたのはいつからだろう。ふと交わった***の目がすごく優しいことに気付いて体温が上がる。いい女だな、と他人事みたいに思った。
「ラビ、顔触られるの好きじゃない…?」
キスするとき***がオレの顔に手を添えるたび、無意識に身を固くしてしまっていた。いつか眼帯を外してくれと言われるんじゃないかとどこかで思っていたのかもしれない。その時が来るまでこの眼帯は外せないし、どういうものかも話せない。***は最初に怪我かと聞いてきた以降今まで眼帯について触れてくることはなくて、逆に気にならないのかとオレから聞いたほどだった。***はなんてことないみたいに「見られたくないんでしょ?じゃあ見ないよ」と言ってくれたのに。
「ごめ…眼帯に手が当たるとなんか、気になっちゃって」
「ごめんね、顔触らないようにする」
「あ、いや、大丈夫…***なら、大丈夫だから…」
「…うん、ありがとう」
礼を言われるようなことなど一つもないのだが、***の優しさが嬉しかった。秘密を持ったままでも丸ごと愛してもらえる、そんなことが許されるなんて信じられなかった。それがすごく嬉しくて、安心して、オレも***の全部を愛したいと思えたのだ。
他人から都合が良いと言われようと、オレたちは確かにお互いが必要で、愛し合っている。
「なー***」
「んー?なに?」
「んー…好き」
「なに急に…?あたしも好き」
「えへへ」
***の腰を抱くと嬉しそうにするのでオレも嬉しくなる。
やっぱりもう少し先の未来でも***が隣にいてくれたらなぁなんて、そこまではまだ言えない。もし言ったとして返事がどちらでもこの愛情は変わらないし、逆もそうだろうという自信がある。
オレは今日も***が大好きだ。
(あらアレンちゃん戻ってきたの?)
(ジェリーさん、おっきいケーキください!こんな…これくらいの!とにかくおっきいの!)
(あらあらどうしたのよ…待ってね、監査官を呼ぶから)
「いいじゃないですかーちょっとくらい」
「よくねー!やめろ!」
「もーやめなよアレン」
いつもの軽いケンカで、ラビの眼帯を少し引っ張ったら予想以上に抵抗された。ちょっとムキになって食堂から出ても追いかけ回していたら***にまで注意されて面白くない。ラビは僕からしても一回り、ラビなら二回りくらい小柄な***の後ろに隠れるように引っ付いた。女の子を盾にするとは卑怯だ。
ラビと***が付きっていることを知ってからもう随分経つが、僕はラビの味方をする人間がいることにもいまだにちょっと納得がいっていない。ラビはみんなにイジられて、テキトーにあしらわれているのが似合うのに。
「***も見たことないんですか?ラビの右目…恋人でしょ?」
二人がどこまでいってるかなんて別に興味もないし考えたくもないが、少なくとも寝込みを襲える関係ではあるはすだ。聞いてもいないのにラビが「***と一緒だとよく眠れるんさ〜」とか言ってきたことを思い出す。それでも***が眼帯の下を知っている様子はないので、純粋に気になった。
「見ないよ、嫌がるってわかってるし」
「…何言ってんですか物分かりのいいフリして…」
「フリじゃねーわ!…別に右目見せてくれないくらいで嫌いにならないよ」
なんか後ろにいるラビが何とも言えないドヤ顔で見てくるのはムカつくが、一瞬でとんでもない大きさの愛情を見せつけられて少しだけ面食らう。
ラビは特定の相手を作らない質だと思っていたのでどういう風の吹き回しなのかとしばらく疑っていた時期もあったが、きっと僕の知らないところで二人はたくさん話をして、二人だけでわかり合っていることが数えきれないほどあるのだ。寝ている間に勝手に秘密を暴かれないと思えるほどの信頼関係が二人の間にはある。何だそれ、めちゃくちゃ愛し合ってるじゃん。
…いいなぁ。
でも二人の、特にラビの前でいい関係ですねなんて言うのは癪なので、美味しいお菓子でかき消したくてさっき出てきた食堂にとんぼ返りした。
───────────────────────
「ったくクソガキが…」
「ラビもケンカに乗ってたじゃん…」
「だってさぁー」
オレはまぁ、イジられキャラというやつなんだろう。特別作っているわけでもないが、周りと「仲良く」なるには便利な気質だ。多少舐められるのも、オチに使われるのも慣れている。でも***は、オレに非がない時はオレの味方をしてくれた。もちろん普通に怒られる時もあるし、いつでも対等でいようとしてくれる。それが妙に嬉しいと感じ始めたのはいつからだろう。ふと交わった***の目がすごく優しいことに気付いて体温が上がる。いい女だな、と他人事みたいに思った。
「ラビ、顔触られるの好きじゃない…?」
キスするとき***がオレの顔に手を添えるたび、無意識に身を固くしてしまっていた。いつか眼帯を外してくれと言われるんじゃないかとどこかで思っていたのかもしれない。その時が来るまでこの眼帯は外せないし、どういうものかも話せない。***は最初に怪我かと聞いてきた以降今まで眼帯について触れてくることはなくて、逆に気にならないのかとオレから聞いたほどだった。***はなんてことないみたいに「見られたくないんでしょ?じゃあ見ないよ」と言ってくれたのに。
「ごめ…眼帯に手が当たるとなんか、気になっちゃって」
「ごめんね、顔触らないようにする」
「あ、いや、大丈夫…***なら、大丈夫だから…」
「…うん、ありがとう」
礼を言われるようなことなど一つもないのだが、***の優しさが嬉しかった。秘密を持ったままでも丸ごと愛してもらえる、そんなことが許されるなんて信じられなかった。それがすごく嬉しくて、安心して、オレも***の全部を愛したいと思えたのだ。
他人から都合が良いと言われようと、オレたちは確かにお互いが必要で、愛し合っている。
「なー***」
「んー?なに?」
「んー…好き」
「なに急に…?あたしも好き」
「えへへ」
***の腰を抱くと嬉しそうにするのでオレも嬉しくなる。
やっぱりもう少し先の未来でも***が隣にいてくれたらなぁなんて、そこまではまだ言えない。もし言ったとして返事がどちらでもこの愛情は変わらないし、逆もそうだろうという自信がある。
オレは今日も***が大好きだ。
(あらアレンちゃん戻ってきたの?)
(ジェリーさん、おっきいケーキください!こんな…これくらいの!とにかくおっきいの!)
(あらあらどうしたのよ…待ってね、監査官を呼ぶから)