短編
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Makeover
別にたいしたことではない。そりゃリナリーの髪は特別綺麗な分ショックもあったけど、似合ってたし。何よりリナリーはもともと可愛いし。
でもあたしはどうだろう。理容師に整えてもらった毛先を引っ張ってみる。数日前まで背中を覆っていた髪は、今は肩くらいの長さになっていた。別に頑張って伸ばしていたわけじゃないし特別美髪ってわけでもない。
そうは言っても、自分で変えようと決めたわけではなく戦闘で切れてしまったとあればそれなりにショックはあった。
中途半端にざっくり切れた髪を見たリナリーはあたしより傷付いたような顔をして、抱き締めてくれて、理容師のところまで付き添ってくれた。いちばん短くなったところで整えてもらったら、傷んだところが全部なくなって綺麗に見えた。
リナリーも似合ってると言ってくれたし、気に入った柄の布をカチューシャみたいに結んでみて、鏡の前で結構可愛いじゃんとか思うほどには整理がついた。
ラビは、何て言うかな。
『明日には帰れそうさ。***はもう教団だろ?怪我してない?』
「んー…ちょっとかすり傷あるけど大丈夫。ラビは?」
『オレもそんなもんさ。…じゃあ、明日ね。おやすみ』
「気を付けてね。おやすみ」
あたしが自分の髪に少し慣れてきた頃、ラビからもうすぐ帰ってくると連絡があった。髪のことは何となく言い出せなかったけど、別にわざわざ言うことでもないし…という気もする。
「***の髪、真っ黒で綺麗さー」
「黒髪なら神田とかリナリーのほうが綺麗だよ」
「オレは***の髪が好きなの。このウェーブ自前だろ?似合ってて可愛いさ」
「…ふーん」
ウェーブなんて良いもんじゃないただの癖毛なのに、ラビは何でもかんでも褒めてくれるから一緒にいるとくすぐったいことばかりだ。ラビがあたしの髪を指でくるくる巻きながらキスしてくれたことを思い出す。あの時みたいに笑ってくれるか少しだけ不安だった。
―――――――――――――――――――――――
ラビが到着したらしい。帰りの知らせを聞いたらいつもはすぐに迎えに行くけど、今回はちょっと緊張して足が向かない。ラビはどんな反応をするだろう。驚きはするだろうけど、その先は考えたくなくて想像するのをやめてしまう。逡巡している間に、ラビの方から連絡が入ってしまった。ちょっと拗ねたような声だ。
『***どこー?』
「あー、部屋にいる…報告書溜まってて」
『じゃあそっち行くさ』
「…うん」
10分はかかると思ったのに、5分で足音が近づいて来た。伸で階段飛ばしたな。後で誰かに怒られないといいけど。
大きいノックの音に釣られるように、あたしも思い切って大きい音を立ててドアを開ける。
「***ただい…ま……あれ?」
「…おかえり」
予想通りびっくりした顔のラビを招き入れる。ラビはそっと近付いてきたかと思ったら、しばらく四方八方から眺め回して神妙な顔でふーんなるほど、とか言い出して、なんかムカついてきた。
「ちょっと、なに…」
「かっわいい…!なに?どしたの?!」
「えっ、と…」
可愛い可愛いと言いながらおでこに頬に何度もキスが降ってくる。そんなに嬉しそうにされると思わなくて、こっちがびっくりする。ラビは毛先を弄んで、結構いったなーと呑気に笑った。経緯を話したら慌てて頭や首に怪我がないか確認してきて、大丈夫だと言ったら安心した顔と一緒に特大のため息をついた。
「…かすり傷だけって言ったじゃん……」
「ご、ごめん」
かなり長い時間黙って抱きしめられていた気がする。ラビは何度も髪を撫でて、そのうち頭に巻かれた布を弄り始めた。左耳の下あたりでリボンみたいに結んだ布の先を引っ張って、ラビがにこーっと笑う。
「お揃いさ」
「え…あ、ラビ、バンダナは?」
「切れちったー、また新しいの頼まねーと…でも***がそれならしばらくこれでいっかな」
そういえば、いつものバンダナの代わりに黒い布を巻いて髪を上げていた。バンダナが切れたってことは激しい戦闘だったんだろう。慌てて怪我がないか確かめるために背伸びして顔を近付けたら、そのままキスされる。頭を触ろうとすると何度もキスしてきて、思わず笑ってしまった。
「もー、ラビ」
「大丈夫、怪我してないさ」
「うん…よかった」
「***も、大丈夫?」
「うん」
「…その髪可愛いよ、***」
「うん、ありがと」
ラビが優しく頭を撫でてくれたから、あたしも撫で返す。そのままラビの首に腕を回して、精一杯背伸びしてあたしからキスをした。
(今度綺麗な柄の布プレゼントしよ…)
(バンダナの代わりになる布探しとこ…)
別にたいしたことではない。そりゃリナリーの髪は特別綺麗な分ショックもあったけど、似合ってたし。何よりリナリーはもともと可愛いし。
でもあたしはどうだろう。理容師に整えてもらった毛先を引っ張ってみる。数日前まで背中を覆っていた髪は、今は肩くらいの長さになっていた。別に頑張って伸ばしていたわけじゃないし特別美髪ってわけでもない。
そうは言っても、自分で変えようと決めたわけではなく戦闘で切れてしまったとあればそれなりにショックはあった。
中途半端にざっくり切れた髪を見たリナリーはあたしより傷付いたような顔をして、抱き締めてくれて、理容師のところまで付き添ってくれた。いちばん短くなったところで整えてもらったら、傷んだところが全部なくなって綺麗に見えた。
リナリーも似合ってると言ってくれたし、気に入った柄の布をカチューシャみたいに結んでみて、鏡の前で結構可愛いじゃんとか思うほどには整理がついた。
ラビは、何て言うかな。
『明日には帰れそうさ。***はもう教団だろ?怪我してない?』
「んー…ちょっとかすり傷あるけど大丈夫。ラビは?」
『オレもそんなもんさ。…じゃあ、明日ね。おやすみ』
「気を付けてね。おやすみ」
あたしが自分の髪に少し慣れてきた頃、ラビからもうすぐ帰ってくると連絡があった。髪のことは何となく言い出せなかったけど、別にわざわざ言うことでもないし…という気もする。
「***の髪、真っ黒で綺麗さー」
「黒髪なら神田とかリナリーのほうが綺麗だよ」
「オレは***の髪が好きなの。このウェーブ自前だろ?似合ってて可愛いさ」
「…ふーん」
ウェーブなんて良いもんじゃないただの癖毛なのに、ラビは何でもかんでも褒めてくれるから一緒にいるとくすぐったいことばかりだ。ラビがあたしの髪を指でくるくる巻きながらキスしてくれたことを思い出す。あの時みたいに笑ってくれるか少しだけ不安だった。
―――――――――――――――――――――――
ラビが到着したらしい。帰りの知らせを聞いたらいつもはすぐに迎えに行くけど、今回はちょっと緊張して足が向かない。ラビはどんな反応をするだろう。驚きはするだろうけど、その先は考えたくなくて想像するのをやめてしまう。逡巡している間に、ラビの方から連絡が入ってしまった。ちょっと拗ねたような声だ。
『***どこー?』
「あー、部屋にいる…報告書溜まってて」
『じゃあそっち行くさ』
「…うん」
10分はかかると思ったのに、5分で足音が近づいて来た。伸で階段飛ばしたな。後で誰かに怒られないといいけど。
大きいノックの音に釣られるように、あたしも思い切って大きい音を立ててドアを開ける。
「***ただい…ま……あれ?」
「…おかえり」
予想通りびっくりした顔のラビを招き入れる。ラビはそっと近付いてきたかと思ったら、しばらく四方八方から眺め回して神妙な顔でふーんなるほど、とか言い出して、なんかムカついてきた。
「ちょっと、なに…」
「かっわいい…!なに?どしたの?!」
「えっ、と…」
可愛い可愛いと言いながらおでこに頬に何度もキスが降ってくる。そんなに嬉しそうにされると思わなくて、こっちがびっくりする。ラビは毛先を弄んで、結構いったなーと呑気に笑った。経緯を話したら慌てて頭や首に怪我がないか確認してきて、大丈夫だと言ったら安心した顔と一緒に特大のため息をついた。
「…かすり傷だけって言ったじゃん……」
「ご、ごめん」
かなり長い時間黙って抱きしめられていた気がする。ラビは何度も髪を撫でて、そのうち頭に巻かれた布を弄り始めた。左耳の下あたりでリボンみたいに結んだ布の先を引っ張って、ラビがにこーっと笑う。
「お揃いさ」
「え…あ、ラビ、バンダナは?」
「切れちったー、また新しいの頼まねーと…でも***がそれならしばらくこれでいっかな」
そういえば、いつものバンダナの代わりに黒い布を巻いて髪を上げていた。バンダナが切れたってことは激しい戦闘だったんだろう。慌てて怪我がないか確かめるために背伸びして顔を近付けたら、そのままキスされる。頭を触ろうとすると何度もキスしてきて、思わず笑ってしまった。
「もー、ラビ」
「大丈夫、怪我してないさ」
「うん…よかった」
「***も、大丈夫?」
「うん」
「…その髪可愛いよ、***」
「うん、ありがと」
ラビが優しく頭を撫でてくれたから、あたしも撫で返す。そのままラビの首に腕を回して、精一杯背伸びしてあたしからキスをした。
(今度綺麗な柄の布プレゼントしよ…)
(バンダナの代わりになる布探しとこ…)