短編
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stay
「***、行こっか」
「ん」
身体の少し後ろに手を伸ばすと、すぐに指が絡んできた。食堂から部屋へ戻る道すがら、なんてことない距離をぴったりくっついて歩く。***はとにかく、手を繋ぐのが好きだ。オレも嫌いじゃないけど、移動する時には決まってオレの手か服の裾を掴んでくるのだ。まるで片時も離れていたくないとでも言うようで、嬉しくて堪らない。
「あ」
「ん?」
***が中庭を見て立ち止まる。引っ張られて屋根のある廊下から陽の当たるところまで歩いてみると、ふわりと花の香りがした。植え込みに咲いた白い花が、一帯を甘い香りで満たしている。***が何度か大きく息を吸い込むのを眺めながら腰を抱くと、こちらを見上げてふっと笑った。何か、面白いことを見つけた時の顔。
「...何さ」
「ううん...ラビはほんと、ひっつき虫だねぇ」
「えー?それは***の方じゃんか」
「そうかなぁ」
***は腰を抱くオレの腕を見る。確かに今はオレからひっついたけど。ちょっと気恥ずかしいが、これで離すのも何だかシャクなのでそのままにする。そうすると、腰に回していた手を***がぎゅっと握ってきた。オレは現行犯を逃すかという気持ちでそれを強く握り返す。
「***だってすぐ手繋いでくるさ」
「...だって、手繋ぐの好き」
「そういうのをひっつき虫って言うんじゃねぇの」
「ラビの手、好きなんだもん...」
「...ふぅん」
繋いでいない方の手を取って、まるでマッサージするように触られる。***の手はオレと違って小さくて柔らかくて、触られていると気持ちいい。不思議なもので、恋人の身体はどこか一部が触れているだけでも安心して、リラックスできるものだ。***がオレの胸に頬を寄せて、ぎゅっと抱きついてきた。オレも同じ強さで抱きしめ返す。ただ理由もなく求められて、理由もなく愛情を返せるのは気分がいい。
ゴロゴロ喉でも鳴らしそうな***の頭を撫でて、白い花に目をやる。いくつか花をつけた一枝を、心の中で謝って手折った。
「ラビ...?」
「部屋戻ろ。これがあったらさ、ここにいる気分でできるし、ね」
しばらくぽかんとしていた***の表情が、色を増していく。花とオレを交互に見て、何か言いかけてはやめる。心なしか、触れている場所が熱い。
「...えっち」
「***こそ、すごいエッチな顔してるさ。何考えたの?」
「べつに、なにも...」
「ふふ。ほら、行くよ」
手を差し出すまでもなく、細い指が絡み付いてくる。花の香りと小さな手の温もりを一緒に包んで、ゆっくり歩き出した。
(いい匂いかいでたら眠くなってきちゃったな...)
(...お昼寝しよっか)
「***、行こっか」
「ん」
身体の少し後ろに手を伸ばすと、すぐに指が絡んできた。食堂から部屋へ戻る道すがら、なんてことない距離をぴったりくっついて歩く。***はとにかく、手を繋ぐのが好きだ。オレも嫌いじゃないけど、移動する時には決まってオレの手か服の裾を掴んでくるのだ。まるで片時も離れていたくないとでも言うようで、嬉しくて堪らない。
「あ」
「ん?」
***が中庭を見て立ち止まる。引っ張られて屋根のある廊下から陽の当たるところまで歩いてみると、ふわりと花の香りがした。植え込みに咲いた白い花が、一帯を甘い香りで満たしている。***が何度か大きく息を吸い込むのを眺めながら腰を抱くと、こちらを見上げてふっと笑った。何か、面白いことを見つけた時の顔。
「...何さ」
「ううん...ラビはほんと、ひっつき虫だねぇ」
「えー?それは***の方じゃんか」
「そうかなぁ」
***は腰を抱くオレの腕を見る。確かに今はオレからひっついたけど。ちょっと気恥ずかしいが、これで離すのも何だかシャクなのでそのままにする。そうすると、腰に回していた手を***がぎゅっと握ってきた。オレは現行犯を逃すかという気持ちでそれを強く握り返す。
「***だってすぐ手繋いでくるさ」
「...だって、手繋ぐの好き」
「そういうのをひっつき虫って言うんじゃねぇの」
「ラビの手、好きなんだもん...」
「...ふぅん」
繋いでいない方の手を取って、まるでマッサージするように触られる。***の手はオレと違って小さくて柔らかくて、触られていると気持ちいい。不思議なもので、恋人の身体はどこか一部が触れているだけでも安心して、リラックスできるものだ。***がオレの胸に頬を寄せて、ぎゅっと抱きついてきた。オレも同じ強さで抱きしめ返す。ただ理由もなく求められて、理由もなく愛情を返せるのは気分がいい。
ゴロゴロ喉でも鳴らしそうな***の頭を撫でて、白い花に目をやる。いくつか花をつけた一枝を、心の中で謝って手折った。
「ラビ...?」
「部屋戻ろ。これがあったらさ、ここにいる気分でできるし、ね」
しばらくぽかんとしていた***の表情が、色を増していく。花とオレを交互に見て、何か言いかけてはやめる。心なしか、触れている場所が熱い。
「...えっち」
「***こそ、すごいエッチな顔してるさ。何考えたの?」
「べつに、なにも...」
「ふふ。ほら、行くよ」
手を差し出すまでもなく、細い指が絡み付いてくる。花の香りと小さな手の温もりを一緒に包んで、ゆっくり歩き出した。
(いい匂いかいでたら眠くなってきちゃったな...)
(...お昼寝しよっか)