短編
名前変換
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僕の半分
彼と話したことがある大半がイメージするラビは、女の子が好きで、ちょっとエッチなものが好きで、明るくて騒がしくてお喋り。今目の前にいる男の人は、静かに集中して、性欲とは無縁そうな知的な表情で分厚い本に目を走らせている。どちらもラビだけど、どちらかが嘘なんじゃないかと思うほどギャップが大きい。あたしは報告書を書き終えて、頬杖をつく。ラビがこちらを見向きもしないのをいいことに、遠慮なく恋人の真面目な顔を見つめた。
他の人がイメージするであろうラビと、あたしがイメージするラビは少し違うと思う。それがラビにとって良いか悪いかはわからないけど、違うイメージを持つということは、他の人とは違う一面を見せてくれているということかもしれない。それはちょっと嬉しい。
そういえば、ストライクゾーンは広めなどと言っているけど、あたしの知る限り誰でも彼でも目を奪われているようなところは見たことがない。まぁ他ではどうだか知らないけれど、あたしが側にいる時にそんな仕草を見せない、という程度には軽薄じゃないと言える。とはいえ、わかりやすく肌の露出があるものには普通に釘付けだったりするので、ちょっとエッチなものが好きなのはポーズではないと踏んでいる。
あたしだけが知ってるラビの顔がいくつあるかと、ふと考えてみる。人懐っこい笑みも真面目な顔も、あたし専用ではない。あたしだけだと思えるのはやっぱり、二人っきりの部屋で名前を呼んでくれるとき。とても優しくて甘い目線がはちみつのように絡みついて、時には奥の激しい欲情に貫かれて動けなくなる。そこまでいくとやはり思考はベッドの中に引き摺られて、本のページを辿る指や、少し捲った袖から見える逞しい腕にいろいろと思い出してしまって何だかぼーっとしてくる。あの優しい顔も声も、あたしにしか見せないものと思って自惚れておきたい。
「... ***、***」
何度か呼ばれて我に帰った。
気付くと分厚い本は脇に置かれ、ラビがあたしと同じように頬杖をついてこちらを見ていた。ちょっとぼーっとした顔してたかも、恥ずかしい。
「...終わった?」
「うん。それより、***がめちゃくちゃエッチな顔してるからびっくりしちゃったさ」
「え、は、えっ?!」
どんな顔をしてたのかと思って、手で隠したら笑われた。手が伸びてきて、髪をぐしゃぐしゃにするみたいに頭を撫でられる。
「だいじょーぶ、側から見たらちょーっと眠そうって感じの顔さ。オレはその顔、エッチなこと考えてる時の顔って知ってるけど」
「うー...」
「さーて、昼寝したいし、部屋戻るさ」
ひとつ伸びをして、広げた本を手際よく片付け始めた。いつもダラダラと動くのに、やけに動作が機敏だ。片付けの算段なのか、何かぶつぶつ言っているラビに近寄ってみた。
「...ラビ、したいの?」
「...えっ」
ラビが勢いよく下を見る。何を考えたかわかって笑いそうになってしまった。
「うわー焦ったさ...無意識に勃ってたかと思った...」
「勃ってないよ...したいんだ」
「うん、まぁ、***とはいつでもしたいけど...ていうか、今は***の方がしたそうじゃんか」
「う...」
確かに、先にそういうアクションをしたのはあたしの方だった。自分を棚に上げたのがちょっと申し訳なくなって詰まったら、何故かラビの方が困った顔をした。
「...ごめん、オレが、めちゃくちゃしたい」
「...ん...あたし、も」
背伸びしたら、ラビも少し屈んでくれて唇が重なる。別に特別なことじゃなくたって、一緒にいればいろいろ感じ取れるようになるらしい。あたしが転ばないようにさりげなく支えてくれたのがわかって、嬉しかった。
「先、戻ってるね」
「え、うん... ***?どした?」
「なんでもなーい」
「ふーん...」
何だか期待した視線を感じる。ちょっと恥ずかしくなって、報告書を雑に抱えて自室へ急いだ。
たまにはセクシーな下着で喜ばせてあげようかなぁなんて企みも、もしかするともうバレているかもしれない。
(なーんか企んでると思ったけど、そうきたかー... ***って最高さ)
(...嬉しい?)
(...めちゃくちゃ嬉しい、そういうとこ大好き)
彼と話したことがある大半がイメージするラビは、女の子が好きで、ちょっとエッチなものが好きで、明るくて騒がしくてお喋り。今目の前にいる男の人は、静かに集中して、性欲とは無縁そうな知的な表情で分厚い本に目を走らせている。どちらもラビだけど、どちらかが嘘なんじゃないかと思うほどギャップが大きい。あたしは報告書を書き終えて、頬杖をつく。ラビがこちらを見向きもしないのをいいことに、遠慮なく恋人の真面目な顔を見つめた。
他の人がイメージするであろうラビと、あたしがイメージするラビは少し違うと思う。それがラビにとって良いか悪いかはわからないけど、違うイメージを持つということは、他の人とは違う一面を見せてくれているということかもしれない。それはちょっと嬉しい。
そういえば、ストライクゾーンは広めなどと言っているけど、あたしの知る限り誰でも彼でも目を奪われているようなところは見たことがない。まぁ他ではどうだか知らないけれど、あたしが側にいる時にそんな仕草を見せない、という程度には軽薄じゃないと言える。とはいえ、わかりやすく肌の露出があるものには普通に釘付けだったりするので、ちょっとエッチなものが好きなのはポーズではないと踏んでいる。
あたしだけが知ってるラビの顔がいくつあるかと、ふと考えてみる。人懐っこい笑みも真面目な顔も、あたし専用ではない。あたしだけだと思えるのはやっぱり、二人っきりの部屋で名前を呼んでくれるとき。とても優しくて甘い目線がはちみつのように絡みついて、時には奥の激しい欲情に貫かれて動けなくなる。そこまでいくとやはり思考はベッドの中に引き摺られて、本のページを辿る指や、少し捲った袖から見える逞しい腕にいろいろと思い出してしまって何だかぼーっとしてくる。あの優しい顔も声も、あたしにしか見せないものと思って自惚れておきたい。
「... ***、***」
何度か呼ばれて我に帰った。
気付くと分厚い本は脇に置かれ、ラビがあたしと同じように頬杖をついてこちらを見ていた。ちょっとぼーっとした顔してたかも、恥ずかしい。
「...終わった?」
「うん。それより、***がめちゃくちゃエッチな顔してるからびっくりしちゃったさ」
「え、は、えっ?!」
どんな顔をしてたのかと思って、手で隠したら笑われた。手が伸びてきて、髪をぐしゃぐしゃにするみたいに頭を撫でられる。
「だいじょーぶ、側から見たらちょーっと眠そうって感じの顔さ。オレはその顔、エッチなこと考えてる時の顔って知ってるけど」
「うー...」
「さーて、昼寝したいし、部屋戻るさ」
ひとつ伸びをして、広げた本を手際よく片付け始めた。いつもダラダラと動くのに、やけに動作が機敏だ。片付けの算段なのか、何かぶつぶつ言っているラビに近寄ってみた。
「...ラビ、したいの?」
「...えっ」
ラビが勢いよく下を見る。何を考えたかわかって笑いそうになってしまった。
「うわー焦ったさ...無意識に勃ってたかと思った...」
「勃ってないよ...したいんだ」
「うん、まぁ、***とはいつでもしたいけど...ていうか、今は***の方がしたそうじゃんか」
「う...」
確かに、先にそういうアクションをしたのはあたしの方だった。自分を棚に上げたのがちょっと申し訳なくなって詰まったら、何故かラビの方が困った顔をした。
「...ごめん、オレが、めちゃくちゃしたい」
「...ん...あたし、も」
背伸びしたら、ラビも少し屈んでくれて唇が重なる。別に特別なことじゃなくたって、一緒にいればいろいろ感じ取れるようになるらしい。あたしが転ばないようにさりげなく支えてくれたのがわかって、嬉しかった。
「先、戻ってるね」
「え、うん... ***?どした?」
「なんでもなーい」
「ふーん...」
何だか期待した視線を感じる。ちょっと恥ずかしくなって、報告書を雑に抱えて自室へ急いだ。
たまにはセクシーな下着で喜ばせてあげようかなぁなんて企みも、もしかするともうバレているかもしれない。
(なーんか企んでると思ったけど、そうきたかー... ***って最高さ)
(...嬉しい?)
(...めちゃくちゃ嬉しい、そういうとこ大好き)