短編
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優しいあなた
目が覚めて、まず目に入ったのは赤毛だった。数回瞬きして、頭が覚醒してくると今度は重みを感じ出す。ラビがあたしにしっかりくっついて眠っていた。起こさないようにそっと身動ぎして、首のあたりに乗っかっていた腕の位置をずらす。朝の光に透けて明るいオレンジに見える髪を眺めながら、昨日のことを思い出した。
ラビはその日の朝から夜遅くまで記録作業をしていたみたいで、見かけないと思ったらずっと書庫室に籠もっていたらしい。報告書の整理をしてそろそろ寝ようとしていたあたしの行動を見計らったかのように、ベッドに足を掛けた瞬間ラビが部屋へやってきた。たくさん歩いたあと駄々をこねる子どもみたいに、眠い疲れたとあたしの名前を連呼しながらグズグズ言っていたのを思い出して、少し笑ってしまう。可愛くて頭を撫でていたらキスされて、押し倒されたかと思ったらそのまま寝てしまったのだった。
今日の予定を頭に巡らせながら、寝起きにしては思考がよく働くことに気付く。恋人と一緒にただ隣で眠るだけで、こんなに安眠できるものなのか。閉じられた瞳に安心して、じっくりその顔を眺める。整った輪郭を目でなぞっていると、ラビが少しうなってあたしを強く抱き締めた。寝てるはずなのに力が強い。ちょっと苦しい、と思ったけど、すぐに別のことに思考が持っていかれてしまった。
硬いものが、当たっている。
ただの生理現象なのはわかっているけど、昨夜ラビがやってきた時に少しだけ期待した気持ちを思い出してしまう。くっついて眠るだけで満たされていたけど、しっかり眠れた分、そっちの気力も回復したんだろうか。未だに眠り続けるラビを見ながら、少しだけ悪戯心が湧いてくる。
触ってみたい。
こっちだって、寝込みを襲われたことは何度かある。怒られた時の言い訳を探しながら、そっと手を伸ばして服の上から硬いものを触ってみた。手のひらで包むようにさすっていると、少し硬いくらいだったのがどんどん大きくなってきて、ちょっと面白い。ラビの顔を見ながら、慎重に前を寛げて下着の中に手を入れた。
「...んっ...ぅ...」
緩んでいた腕にまた強く抱き寄せられて、甘い吐息が耳にかかる。自分の心臓の音が聞こえてしまうんじゃないかと思いながら、すっかり大きくなったものを上下に扱く。溢れた先走りを掬って、塗りつけるように指を動かした。眉を寄せて耐えるように息を吐くラビがすごく色っぽくて、目が離せない。声を聞く度に、お腹の奥がきゅっとする感じがした。
少しだけ力を込めて扱いたとき、ぎゅっと閉じた瞳が薄らと開いた。瞳が探るように動いて、眉間に皺が寄る。
「...ンだよ...」
低く掠れた声。
神田みたい、とか呑気に思っている場合じゃなかった。かち合った翡翠の鋭さに驚いて、握り込んでいた手を離す。その瞬間、腕をシーツに縫い付けられて、唇に噛み付くようにキスされた。というか、半分本当に噛まれた気がする。あらかた口内を犯して、不機嫌そうに息を吐く。
「起こすんじゃねェっての...」
「え...ごめ...ぁっ」
乱暴に下着を脱がされる。ラビが大きくなったものを取り出して、不愉快そうに目を走らせた。手が伸びてきて反射的に目を瞑ったら、ゴムを手に取っただけだった。粗野な手付きで開封するのが珍しくてじっと見てしまう。こんな時でもちゃんとするんだ、と変な方向に関心している間に、膝を抱え上げられて一気に貫かれた。痛いと思ったのは一瞬で、何往復かすればすぐに愛液が馴染んで快楽に変わる。それだけ自分が濡れていたことに気付いて恥ずかしくなる。
「...っは...うわ...ぐっちゃぐちゃ...」
いつもいじわるしてくる時みたいなのじゃなく、独り言のような呟きが少し寂しい。荒い腰使いも腕の強さも全然違う人みたいで、でもこの人は確かにラビで、普段と違う恋人の姿に身体はどんどん濡れてきて、気持ちよくなってしまう。粘度の高い水音が部屋に充満していく。
ラビは熱い吐息を洩らしながら、何も言わずに腰を動かし続けている。自分が気持ち良くなるためだけの、気遣いのない律動。乱暴に揺さぶられるのがさすがにつらくなってきて、何とか息を吸って名前を呼んだ。
「あっ、ん、っ...あっ...ら、びっ...、ラビつ...」
奥を狙うように突いてくるので、口を開けば喘いでしまう。枕を掴んで力を逃しながら、必死に言葉を紡いだ。
「っ...ごめ、ん、なさっ...い、ラビ、ラビっ...」
生理的な涙が肌を伝う。奥にぐっと押し込むようにして、急に律動が止まった。お互いに肩で息をしながら、たっぷり10秒は見つめ合ったと思う。何度目かの瞬きの後、ラビが口を開いた。
「***...?」
「な、に...?」
「え...これ、夢じゃ、ない...?」
何を言ってるんだろうか。
頷いたら、ラビがカッと目を見開いた。
「ごめん!ごめんごめんごめん!... ***、えっ...ごめん!!」
「え?な、なに?」
「なんかオレぼんやりして、えっと、なんか起きたくないなーって思ったのは覚えてんだけど...ヤッバ...」
「寝ぼけ、てたの...?」
「いや、起きてたんだけど、ちょっと正気じゃなかったっていうか、いやそれが寝ぼけてるってことか?...え?!」
「お、落ち着いて」
ラビが取り乱しすぎてて、こっちが冷静になってきた。
突然、ラビが深刻な顔をする。
「... ***、オレ、なんにもしてないよね...?」
「なんにも、って?」
いや何もかもしたよ、と頭の中でツッコミを入れたけど、そういうことじゃないらしかった。
「前戯、してないよね...?いきなり突っ込んだ気がすんだけど...」
「...うん...」
「ちょ...最悪じゃんオレ!痛かった?痛かったよね?ごめんほんとごめん」
「いや、いい、けど...」
なんだこの人、めちゃくちゃ真面目じゃん。幸いあたしも濡れていたから、そこまで痛くはなくて正直気にしてない。
動いた拍子に、入ったままだったものがずるりと抜ける。あんなに中を圧迫していたのに、萎えるってこういうことなんだと妙な気付きを得た。ラビは気まずそうに自身を見つめ、静かにゴムを抜き取った。
くしゃくしゃになったゴムをぼんやりと眺める大の男の姿はなんか、すごくシュールだ。ティッシュに包まれたものがゴミ箱に消えるのを二人で眺めて、改めて向き合う。
「ほんっと悪ぃ...痛い思いさせたな」
「ううん、あのね、あたしが...触った、から」
ラビが自分を責めている空気がありありと伝わってくるので、正直に悪戯したことを話す。怒られるかと思ったけど、何故かラビの方が申し訳なさそうだった。
「オレさ、睡眠邪魔されると機嫌悪くなることあるんさ...昨日は昼寝せずにずっと記録してたから、余計寝起き悪くなっちゃったのかも...まさかこんなことするとは、ほんと、ごめん...」
「そっか、あたしもごめんね...」
ラビはいつも、寝起きで目が合うとにこって笑ってキスしてくれる。機嫌良く起きるところしか見たことなかったから、寝起きの悪さなんか全然知らなかった。そういえば、前にアレンが寝起きのラビはピリピリしてるって言ってた気がする。寝起きなんてだいたいみんな機嫌悪いでしょって思って流してたけど、これだったんだ。ごめん、アレン。
「***怖かったろ、ごめんな」
しゅんとした大型犬みたいで、可愛いと思ってしまう。大きな手が優しく頭を撫でてくれるから、胸元にひっついて甘えた。大きくて優しくてあったかい、いつものラビだ。だから余計にさっきのラビは、刺激が強すぎた。
「ねぇ、ラビ」
「ん?」
「...乱暴にされたくなったら、また寝てるとこ起こしていい?」
「えっ...」
しばらくポカンとしていたラビが、意味を理解して一気に百面相する。ベッドの端まで転がってあーとかうーとか唸った末、意を決したように口を開く。
「うーんと... そういうのはしたい時に言ってほしいかな... ***のこと傷付けちゃうのヤだし、プレイなら頑張るから...」
「...わかった」
首を伸ばして、口付ける。あたしのことを本当に大切に思ってくれるのが嬉しかった。ラビみたいに上手じゃないけど、舌を絡めたり唇を食んだりしてみる。唇を離して見つめると、何だかもう全部わかったような顔をしたラビと目が合った。
「なぁに、***」
「あのね...悪戯したこと、叱ってほしい、な...」
数回の瞬きの後、ラビがにーっと笑った。
「しょうがないなぁ...優しく、いじめてあげるさ」
手のひらを重ねて、優しいキスが降りてくる。蕩けるようなキスで、この人になら何をされてもいいと思ってしまった。
(***、やーっとオレの優しさに気付いた?)
(気付いてたもん、...好き)
(...うん、オレも好き)
目が覚めて、まず目に入ったのは赤毛だった。数回瞬きして、頭が覚醒してくると今度は重みを感じ出す。ラビがあたしにしっかりくっついて眠っていた。起こさないようにそっと身動ぎして、首のあたりに乗っかっていた腕の位置をずらす。朝の光に透けて明るいオレンジに見える髪を眺めながら、昨日のことを思い出した。
ラビはその日の朝から夜遅くまで記録作業をしていたみたいで、見かけないと思ったらずっと書庫室に籠もっていたらしい。報告書の整理をしてそろそろ寝ようとしていたあたしの行動を見計らったかのように、ベッドに足を掛けた瞬間ラビが部屋へやってきた。たくさん歩いたあと駄々をこねる子どもみたいに、眠い疲れたとあたしの名前を連呼しながらグズグズ言っていたのを思い出して、少し笑ってしまう。可愛くて頭を撫でていたらキスされて、押し倒されたかと思ったらそのまま寝てしまったのだった。
今日の予定を頭に巡らせながら、寝起きにしては思考がよく働くことに気付く。恋人と一緒にただ隣で眠るだけで、こんなに安眠できるものなのか。閉じられた瞳に安心して、じっくりその顔を眺める。整った輪郭を目でなぞっていると、ラビが少しうなってあたしを強く抱き締めた。寝てるはずなのに力が強い。ちょっと苦しい、と思ったけど、すぐに別のことに思考が持っていかれてしまった。
硬いものが、当たっている。
ただの生理現象なのはわかっているけど、昨夜ラビがやってきた時に少しだけ期待した気持ちを思い出してしまう。くっついて眠るだけで満たされていたけど、しっかり眠れた分、そっちの気力も回復したんだろうか。未だに眠り続けるラビを見ながら、少しだけ悪戯心が湧いてくる。
触ってみたい。
こっちだって、寝込みを襲われたことは何度かある。怒られた時の言い訳を探しながら、そっと手を伸ばして服の上から硬いものを触ってみた。手のひらで包むようにさすっていると、少し硬いくらいだったのがどんどん大きくなってきて、ちょっと面白い。ラビの顔を見ながら、慎重に前を寛げて下着の中に手を入れた。
「...んっ...ぅ...」
緩んでいた腕にまた強く抱き寄せられて、甘い吐息が耳にかかる。自分の心臓の音が聞こえてしまうんじゃないかと思いながら、すっかり大きくなったものを上下に扱く。溢れた先走りを掬って、塗りつけるように指を動かした。眉を寄せて耐えるように息を吐くラビがすごく色っぽくて、目が離せない。声を聞く度に、お腹の奥がきゅっとする感じがした。
少しだけ力を込めて扱いたとき、ぎゅっと閉じた瞳が薄らと開いた。瞳が探るように動いて、眉間に皺が寄る。
「...ンだよ...」
低く掠れた声。
神田みたい、とか呑気に思っている場合じゃなかった。かち合った翡翠の鋭さに驚いて、握り込んでいた手を離す。その瞬間、腕をシーツに縫い付けられて、唇に噛み付くようにキスされた。というか、半分本当に噛まれた気がする。あらかた口内を犯して、不機嫌そうに息を吐く。
「起こすんじゃねェっての...」
「え...ごめ...ぁっ」
乱暴に下着を脱がされる。ラビが大きくなったものを取り出して、不愉快そうに目を走らせた。手が伸びてきて反射的に目を瞑ったら、ゴムを手に取っただけだった。粗野な手付きで開封するのが珍しくてじっと見てしまう。こんな時でもちゃんとするんだ、と変な方向に関心している間に、膝を抱え上げられて一気に貫かれた。痛いと思ったのは一瞬で、何往復かすればすぐに愛液が馴染んで快楽に変わる。それだけ自分が濡れていたことに気付いて恥ずかしくなる。
「...っは...うわ...ぐっちゃぐちゃ...」
いつもいじわるしてくる時みたいなのじゃなく、独り言のような呟きが少し寂しい。荒い腰使いも腕の強さも全然違う人みたいで、でもこの人は確かにラビで、普段と違う恋人の姿に身体はどんどん濡れてきて、気持ちよくなってしまう。粘度の高い水音が部屋に充満していく。
ラビは熱い吐息を洩らしながら、何も言わずに腰を動かし続けている。自分が気持ち良くなるためだけの、気遣いのない律動。乱暴に揺さぶられるのがさすがにつらくなってきて、何とか息を吸って名前を呼んだ。
「あっ、ん、っ...あっ...ら、びっ...、ラビつ...」
奥を狙うように突いてくるので、口を開けば喘いでしまう。枕を掴んで力を逃しながら、必死に言葉を紡いだ。
「っ...ごめ、ん、なさっ...い、ラビ、ラビっ...」
生理的な涙が肌を伝う。奥にぐっと押し込むようにして、急に律動が止まった。お互いに肩で息をしながら、たっぷり10秒は見つめ合ったと思う。何度目かの瞬きの後、ラビが口を開いた。
「***...?」
「な、に...?」
「え...これ、夢じゃ、ない...?」
何を言ってるんだろうか。
頷いたら、ラビがカッと目を見開いた。
「ごめん!ごめんごめんごめん!... ***、えっ...ごめん!!」
「え?な、なに?」
「なんかオレぼんやりして、えっと、なんか起きたくないなーって思ったのは覚えてんだけど...ヤッバ...」
「寝ぼけ、てたの...?」
「いや、起きてたんだけど、ちょっと正気じゃなかったっていうか、いやそれが寝ぼけてるってことか?...え?!」
「お、落ち着いて」
ラビが取り乱しすぎてて、こっちが冷静になってきた。
突然、ラビが深刻な顔をする。
「... ***、オレ、なんにもしてないよね...?」
「なんにも、って?」
いや何もかもしたよ、と頭の中でツッコミを入れたけど、そういうことじゃないらしかった。
「前戯、してないよね...?いきなり突っ込んだ気がすんだけど...」
「...うん...」
「ちょ...最悪じゃんオレ!痛かった?痛かったよね?ごめんほんとごめん」
「いや、いい、けど...」
なんだこの人、めちゃくちゃ真面目じゃん。幸いあたしも濡れていたから、そこまで痛くはなくて正直気にしてない。
動いた拍子に、入ったままだったものがずるりと抜ける。あんなに中を圧迫していたのに、萎えるってこういうことなんだと妙な気付きを得た。ラビは気まずそうに自身を見つめ、静かにゴムを抜き取った。
くしゃくしゃになったゴムをぼんやりと眺める大の男の姿はなんか、すごくシュールだ。ティッシュに包まれたものがゴミ箱に消えるのを二人で眺めて、改めて向き合う。
「ほんっと悪ぃ...痛い思いさせたな」
「ううん、あのね、あたしが...触った、から」
ラビが自分を責めている空気がありありと伝わってくるので、正直に悪戯したことを話す。怒られるかと思ったけど、何故かラビの方が申し訳なさそうだった。
「オレさ、睡眠邪魔されると機嫌悪くなることあるんさ...昨日は昼寝せずにずっと記録してたから、余計寝起き悪くなっちゃったのかも...まさかこんなことするとは、ほんと、ごめん...」
「そっか、あたしもごめんね...」
ラビはいつも、寝起きで目が合うとにこって笑ってキスしてくれる。機嫌良く起きるところしか見たことなかったから、寝起きの悪さなんか全然知らなかった。そういえば、前にアレンが寝起きのラビはピリピリしてるって言ってた気がする。寝起きなんてだいたいみんな機嫌悪いでしょって思って流してたけど、これだったんだ。ごめん、アレン。
「***怖かったろ、ごめんな」
しゅんとした大型犬みたいで、可愛いと思ってしまう。大きな手が優しく頭を撫でてくれるから、胸元にひっついて甘えた。大きくて優しくてあったかい、いつものラビだ。だから余計にさっきのラビは、刺激が強すぎた。
「ねぇ、ラビ」
「ん?」
「...乱暴にされたくなったら、また寝てるとこ起こしていい?」
「えっ...」
しばらくポカンとしていたラビが、意味を理解して一気に百面相する。ベッドの端まで転がってあーとかうーとか唸った末、意を決したように口を開く。
「うーんと... そういうのはしたい時に言ってほしいかな... ***のこと傷付けちゃうのヤだし、プレイなら頑張るから...」
「...わかった」
首を伸ばして、口付ける。あたしのことを本当に大切に思ってくれるのが嬉しかった。ラビみたいに上手じゃないけど、舌を絡めたり唇を食んだりしてみる。唇を離して見つめると、何だかもう全部わかったような顔をしたラビと目が合った。
「なぁに、***」
「あのね...悪戯したこと、叱ってほしい、な...」
数回の瞬きの後、ラビがにーっと笑った。
「しょうがないなぁ...優しく、いじめてあげるさ」
手のひらを重ねて、優しいキスが降りてくる。蕩けるようなキスで、この人になら何をされてもいいと思ってしまった。
(***、やーっとオレの優しさに気付いた?)
(気付いてたもん、...好き)
(...うん、オレも好き)