短編
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
想いを伝えて
今日はパーティーだって言われたから、食堂に顔を出した。飾り付けを見ても何のパーティーだかわからないけど、楽しければ何でもいい。主催のコムイさんだって、きっとそういう感じだろう。みんなで笑って過ごすことが、何よりの癒しになる。
「あ、***!おかえりなさい」
「ただいま!アレンもおかえり」
任務ですれ違いがちだったアレンと挨拶する。相変わらず驚きのスピードでテーブルの上の料理を平らげていて、厨房からジェリーさんの嬉しい悲鳴が上がっている。食べ尽くされないうちにと思って、違うテーブルからいくつかサンドイッチをつまむ。美味しい。
そのテーブルでしばらく側にいたファインダーとお喋りして、また別のテーブルへ移ろうと歩き出したら神田がいた。
「あ、神田。やっほー」
「どいつもこいつも浮かれやがって...」
「何だかんだで来てるじゃん神田も」
「俺は飯を食いに来たんだ!なのに寄ってたかって、飲ませやがっ...うっ」
「わっ神田!神田ーーー!!」
吐くかと思ったけど座り込んだだけだった。よかった。動けないみたいだからお水のグラスを渡して、まぁ頑張れと背中を叩いてまた歩き出した。男の子だから少しくらい放っといたって大丈夫だよね。
奥へ行くと、しっとりと静かな一角があった。リーバーさんや元帥たちの大人組コーナーらしい。あの落ち着いたムードになれるほどまだ大人じゃないから、遠くから手を振るだけにしておいた。
甘いものが多いテーブルには自然と女の子が集まっていて、ミランダやリナリーとしばしプチ女子会。女の子に混ざってブックマンがプリン片手に幸せそうにしている姿にほっこりする。スイーツで心が満たされたところで、今度お茶しようねと約束してそこを離れた。改めて広いホールをぐるりと見渡してみる。
無意識に探した赤毛はいない。
いつもならこんなところには一番乗りで駆けつけるのに、忙しいのかなぁ。そんな風に思いながら、テラスで空を眺めてグラスを傾ける。次は何を飲もう。
飲み物を取りにうろうろしていたら、何人かが小さなテーブルを囲んでいる。見知った顔もあるので近付いてみたら、ラビとジョニーがチェス勝負をしていた。なぁんだこんなこところにいた。広めに脚を組んで頬杖をつき、少し眉間に皺を寄せている。この喧騒の中、あたしのことにも気付かないで静かにチェス盤に集中しているラビを素直にかっこいいと思った。
その辺にあるグラスを手に取って、勝負を見守る輪の中にそっと入る。チェスのことはよくわからないけど、二人の表情や周りの反応からいい勝負なのだということは察した。ジョニーがチェスが強いというのは知ってるけど、ラビもそこそこらしい。やっぱり頭がいいんだなぁと改めて思う。顔見知り程度の科学班の人が、ラビ結構強いな、と呟いたのが聞こえて嬉しくなった。真剣な顔。駒を動かす指先。たまに漏れる唸り声。
「かっこいい...」
気付いたら声に出してしまっていて、そんなに大きい声じゃなかったはずなのに注目されてしまった。それもそのはず、よく見たら輪の中は男ばかりで、女の声がしたらすぐにわかる。
「あ」
「え、あ、***」
「あの、どうぞお構いなく」
「あ、うん」
そうやって駒を動かすラビはもうすっかり気が抜けていて、それから数手であっさり負けてしまった。健闘を讃える歓声が上がる中、ラビはみんなから女の声で集中切らしてんじゃねぇよなんて言われていて、すごく申し訳ない。こっそり抜けようとしたら、グラスを持ったラビに肩を抱かれてテラスに連れていかれた。後ろから飛んできたからかいに対して、***はオレのだって大きい声で言ったのを聞いてちょっと照れる。そのまま隅の方まで行くと、グラスの中身を煽ってラビが盛大にため息を吐いた。
「っだーーーー今日こそイケると思ったのになーーーーーーー!!」
「ごめんなさい本当にごめんなさい」
「いいっていいって。ってか、かっこわりぃとこ見せちまってそっちの方が悔しいさ...」
「そんなことない!かっこよかったよ、すごく」
「...ほんと?」
「うん...惚れ直し、ちゃった」
ラビが数回目を瞬かせて、眉を下げて笑った。困ったような、照れ笑い。
「へへ...じゃあ、今日は負けでもいいや」
腰を抱かれて、静かに唇が重なる。
更に、惚れ直した。
「...さむっ」
「大丈夫?」
風が吹いて、ふいに肌寒さを感じた。たまにはと思って少しドレスアップしてきたから、いつもより開いた首元に風が冷たい。ラビが着ていたロングのカーディガンを羽織らせてくれる。気遣いと、露わになった半袖から伸びる腕にきゅんとした。
「あ」
「ん?」
「あー...オレ今日駄目だな、一番大事なことまだ言ってなかったさ」
「なに?」
「***、そのドレス似合ってて可愛い」
「ありが、と」
髪を撫でてラビが笑う。どうしちゃったんだろう。お酒の所為なのか、今日のラビはやけにかっこいい。思ったことが素直に口から溢れる。
「ラビも、かっこいいよ」
「うん、ありがと」
頬を撫でる大きな手が、あったかくて気持ちいい。いつの間にかとても静かな時間が流れていて、さっきのリーバーさんたちを思い出す。大人って、気付かないうちになっているものなのかもしれない。まだ全然大人じゃないけど。もっと大人になっても、あたしはラビの隣にいるかな。想いが溢れてしまうのも、お酒の所為にしておく。
「ラビかっこいい。世界一かっこいい。大好き」
「どした?酔ってる?」
「酔ってる。好き」
「オレも酔ってるから、この可愛い子持って帰っちゃおうかな」
腰を抱かれて、出口へ歩き出す。
ありきたりだけど、好きな人に好きだと言えるこの瞬間を尊いと、心から思った。
―――――――――――――――――――――――
「ラビ、ラビっ...好き、だい、すきっ...」
「***っ...好きさ、***」
貫かれながら、出来るだけ言葉を多くして気持ちを伝える。何だかそうしたい気分だった。ラビは腰を動かしながら、あたしの言葉に逐一反応してくれる。それだけで嬉しい。
「今日はいっぱい***の声聞けて嬉しいさ。...何かあった?」
「何でも、ないっ...酔ってる、の」
「そう?なら、いいけど」
「んっ、あっ、...ラビ、あの、ね」
「なぁに?」
「いちばんね、好き」
「っ...うん」
「ラビとね、エッチするの、好き、なの」
「そっか、嬉しい、っ...」
「あぁっ...ラビと、エッチするのがね、いちばん、気持ちい、っ...ラ、ビ...?」
ラビの動きが止まる。お互い肩で息をして、しばらく見つめ合った。ラビがあたしの頬をつついて笑う。
「なーに言ってんの。...オレしか知らないくせに」
「...あ」
ちょっと間違えた。
ぼけっとしていたら、手首を押さえつけられて少し乱暴に奥を突かれる。自分でもびっくりするくらい大きな声が出て、恥ずかしくて唇を噛んだらラビがニヤリと笑った。
「なぁに***、浮気でもした?」
「ぃっ、あっ...して、ないっ」
「やたら褒めてくれるけど、罪悪感?」
「違うって、ばぁっ」
本当に違うのに、責められて泣きそうになる。身体を揺さぶられて喋るのも苦しいのにラビはずっとニヤニヤしていて、気付いた。この人、わかってて楽しんでる。
「あぅっ、も、やだ、ラビっ」
「そんなこと言って***、もっといじめてほしいって顔、してるさ。可愛い」
「っ...してないっ」
否定したけど、嘘だった。本当はちょっとくらいいじめてくれないかなって思ってた。ていうか、いつも思ってる。喘ぐしか出来なくなってきた頃、一度大きく突かれて動きが緩やかになった。奥も好きだけど、ゆっくり擦られるのも気持ちいい。手首が解放されて、頭を包み込むように撫でてくれた。優しいキスが気持ちよくて目を閉じる。
「本当に浮気なんかしたら、こんなのじゃ済まないからね」
「もっといじめる...?」
「そりゃあもう、すっごく」
「じゃあ、しちゃおう、かな」
「えぇっ?」
びっくりしてる。いたずらが成功したみたいな気持ちで笑いそうになったけど、ラビが不機嫌そうな顔をしたからすぐに引っ込める。押すなと書かれたスイッチを押しちゃったみたいだ。入ったままだったそれを引き抜かれて、うつ伏せにされる。入り口を探るように擦るからちょっと腰を上げたら、すぐにラビが入ってきた。当たるところが変わって、さっきまでとは違う気持ちよさが襲ってくる。
「もー...いつからそんな、いけないこと考える子になったの?***ちゃんは」
「あっ!あぁっ...ごめんなさ、いっ...」
「...オレ拗ねたからね、責任取って」
拗ねたんだ。ちょっと可愛い。そんなこと考えてる余裕なんかないことは、身体がわかっている。お尻を掴まれて何度も突き上げられるから、何か言おうとしても、ほとんど喘ぎ声しか出てこなかった。
「オレの機嫌が直るまで寝かせないからね、***」
「んっ...ぅ、はぁっ...う、んっ...」
「いい子。あ、悪い子の方が嬉しい?いじめられるのが大好きないけない子だもんね、***ちゃんは」
「やぁっ、ごめ、なさっ...ぅ、あぁっ」
何を言われてもドキドキしちゃうから、もうどうしようもない。シーツを掴むあたしの手を、ラビの手のひらが包み込む。ラビの体重で身動きが取れない。心も身体も支配された気分になって、でもそれがすごく嬉しい。
「ラビ、きもちい、あっ、...んっ」
「***可愛い、***っ...」
「だいすきっ...」
「うん、大好き、***、...ッ」
ラビの荒い息遣いが耳を支配する。手をぎゅっと握られて、あたしも限界が近い。お互いに名前を呼びながら、ほとんど同時に果てた。
ラビが引き抜かれて、中から液体がこぼれるのを感じる。その後のラビの動作を、うつ伏せのままぼんやり眺めた。仰向けに寝転がって天井を見つめている。これが賢者タイムってやつなのかな。しばらくして、あたしの方を見るとにこりと笑った。やだ、きゅんとした。
腕を広げられたから、気怠い身体を動かしてラビの胸に頬を寄せる。ラビが嬉しそうに笑った。上に乗っかって柔らかいほっぺたを伸ばしてやっても、へらへら笑っている。
「***、酔い冷めた?」
「んー、うん」
「オレとするのが一番なんだっけ?」
「...その話するの?」
「だって可愛かったから。もっかい言ってほしいなー」
「酔ってたから言ったの」
「じゃあ酔ってよ、オレに」
「え」
ラビの上から落とされて、視界が逆になる。キザな言葉に笑いそうになったけど、本当にかっこいいからタチが悪い。優しいキスが降ってくる。
「***、可愛い」
「...ん」
「めちゃくちゃ可愛い。世界一可愛い。好き」
「な、なに?」
「***がいっぱい褒めてくれたから、オレもお返しするさ」
「いいよ別にっ」
「可愛くて綺麗で、いい匂いで、抱き心地よくて、エロくて最高」
「...最後のやつ褒めてる?」
「大好き、***」
翡翠の瞳に射抜かれる。
何を褒められるより、その言葉がいちばん嬉しい。優しく抱き締めてくれて、とてもとても幸せだ。
暖かい色の髪を梳いて、丁寧に口付けた。
(かっこいいって言ったの、オレのことだよね?)
(そう、だけど)
(何がかっこよかったか教えてよ、細かく)
(顔...)
(え)
今日はパーティーだって言われたから、食堂に顔を出した。飾り付けを見ても何のパーティーだかわからないけど、楽しければ何でもいい。主催のコムイさんだって、きっとそういう感じだろう。みんなで笑って過ごすことが、何よりの癒しになる。
「あ、***!おかえりなさい」
「ただいま!アレンもおかえり」
任務ですれ違いがちだったアレンと挨拶する。相変わらず驚きのスピードでテーブルの上の料理を平らげていて、厨房からジェリーさんの嬉しい悲鳴が上がっている。食べ尽くされないうちにと思って、違うテーブルからいくつかサンドイッチをつまむ。美味しい。
そのテーブルでしばらく側にいたファインダーとお喋りして、また別のテーブルへ移ろうと歩き出したら神田がいた。
「あ、神田。やっほー」
「どいつもこいつも浮かれやがって...」
「何だかんだで来てるじゃん神田も」
「俺は飯を食いに来たんだ!なのに寄ってたかって、飲ませやがっ...うっ」
「わっ神田!神田ーーー!!」
吐くかと思ったけど座り込んだだけだった。よかった。動けないみたいだからお水のグラスを渡して、まぁ頑張れと背中を叩いてまた歩き出した。男の子だから少しくらい放っといたって大丈夫だよね。
奥へ行くと、しっとりと静かな一角があった。リーバーさんや元帥たちの大人組コーナーらしい。あの落ち着いたムードになれるほどまだ大人じゃないから、遠くから手を振るだけにしておいた。
甘いものが多いテーブルには自然と女の子が集まっていて、ミランダやリナリーとしばしプチ女子会。女の子に混ざってブックマンがプリン片手に幸せそうにしている姿にほっこりする。スイーツで心が満たされたところで、今度お茶しようねと約束してそこを離れた。改めて広いホールをぐるりと見渡してみる。
無意識に探した赤毛はいない。
いつもならこんなところには一番乗りで駆けつけるのに、忙しいのかなぁ。そんな風に思いながら、テラスで空を眺めてグラスを傾ける。次は何を飲もう。
飲み物を取りにうろうろしていたら、何人かが小さなテーブルを囲んでいる。見知った顔もあるので近付いてみたら、ラビとジョニーがチェス勝負をしていた。なぁんだこんなこところにいた。広めに脚を組んで頬杖をつき、少し眉間に皺を寄せている。この喧騒の中、あたしのことにも気付かないで静かにチェス盤に集中しているラビを素直にかっこいいと思った。
その辺にあるグラスを手に取って、勝負を見守る輪の中にそっと入る。チェスのことはよくわからないけど、二人の表情や周りの反応からいい勝負なのだということは察した。ジョニーがチェスが強いというのは知ってるけど、ラビもそこそこらしい。やっぱり頭がいいんだなぁと改めて思う。顔見知り程度の科学班の人が、ラビ結構強いな、と呟いたのが聞こえて嬉しくなった。真剣な顔。駒を動かす指先。たまに漏れる唸り声。
「かっこいい...」
気付いたら声に出してしまっていて、そんなに大きい声じゃなかったはずなのに注目されてしまった。それもそのはず、よく見たら輪の中は男ばかりで、女の声がしたらすぐにわかる。
「あ」
「え、あ、***」
「あの、どうぞお構いなく」
「あ、うん」
そうやって駒を動かすラビはもうすっかり気が抜けていて、それから数手であっさり負けてしまった。健闘を讃える歓声が上がる中、ラビはみんなから女の声で集中切らしてんじゃねぇよなんて言われていて、すごく申し訳ない。こっそり抜けようとしたら、グラスを持ったラビに肩を抱かれてテラスに連れていかれた。後ろから飛んできたからかいに対して、***はオレのだって大きい声で言ったのを聞いてちょっと照れる。そのまま隅の方まで行くと、グラスの中身を煽ってラビが盛大にため息を吐いた。
「っだーーーー今日こそイケると思ったのになーーーーーーー!!」
「ごめんなさい本当にごめんなさい」
「いいっていいって。ってか、かっこわりぃとこ見せちまってそっちの方が悔しいさ...」
「そんなことない!かっこよかったよ、すごく」
「...ほんと?」
「うん...惚れ直し、ちゃった」
ラビが数回目を瞬かせて、眉を下げて笑った。困ったような、照れ笑い。
「へへ...じゃあ、今日は負けでもいいや」
腰を抱かれて、静かに唇が重なる。
更に、惚れ直した。
「...さむっ」
「大丈夫?」
風が吹いて、ふいに肌寒さを感じた。たまにはと思って少しドレスアップしてきたから、いつもより開いた首元に風が冷たい。ラビが着ていたロングのカーディガンを羽織らせてくれる。気遣いと、露わになった半袖から伸びる腕にきゅんとした。
「あ」
「ん?」
「あー...オレ今日駄目だな、一番大事なことまだ言ってなかったさ」
「なに?」
「***、そのドレス似合ってて可愛い」
「ありが、と」
髪を撫でてラビが笑う。どうしちゃったんだろう。お酒の所為なのか、今日のラビはやけにかっこいい。思ったことが素直に口から溢れる。
「ラビも、かっこいいよ」
「うん、ありがと」
頬を撫でる大きな手が、あったかくて気持ちいい。いつの間にかとても静かな時間が流れていて、さっきのリーバーさんたちを思い出す。大人って、気付かないうちになっているものなのかもしれない。まだ全然大人じゃないけど。もっと大人になっても、あたしはラビの隣にいるかな。想いが溢れてしまうのも、お酒の所為にしておく。
「ラビかっこいい。世界一かっこいい。大好き」
「どした?酔ってる?」
「酔ってる。好き」
「オレも酔ってるから、この可愛い子持って帰っちゃおうかな」
腰を抱かれて、出口へ歩き出す。
ありきたりだけど、好きな人に好きだと言えるこの瞬間を尊いと、心から思った。
―――――――――――――――――――――――
「ラビ、ラビっ...好き、だい、すきっ...」
「***っ...好きさ、***」
貫かれながら、出来るだけ言葉を多くして気持ちを伝える。何だかそうしたい気分だった。ラビは腰を動かしながら、あたしの言葉に逐一反応してくれる。それだけで嬉しい。
「今日はいっぱい***の声聞けて嬉しいさ。...何かあった?」
「何でも、ないっ...酔ってる、の」
「そう?なら、いいけど」
「んっ、あっ、...ラビ、あの、ね」
「なぁに?」
「いちばんね、好き」
「っ...うん」
「ラビとね、エッチするの、好き、なの」
「そっか、嬉しい、っ...」
「あぁっ...ラビと、エッチするのがね、いちばん、気持ちい、っ...ラ、ビ...?」
ラビの動きが止まる。お互い肩で息をして、しばらく見つめ合った。ラビがあたしの頬をつついて笑う。
「なーに言ってんの。...オレしか知らないくせに」
「...あ」
ちょっと間違えた。
ぼけっとしていたら、手首を押さえつけられて少し乱暴に奥を突かれる。自分でもびっくりするくらい大きな声が出て、恥ずかしくて唇を噛んだらラビがニヤリと笑った。
「なぁに***、浮気でもした?」
「ぃっ、あっ...して、ないっ」
「やたら褒めてくれるけど、罪悪感?」
「違うって、ばぁっ」
本当に違うのに、責められて泣きそうになる。身体を揺さぶられて喋るのも苦しいのにラビはずっとニヤニヤしていて、気付いた。この人、わかってて楽しんでる。
「あぅっ、も、やだ、ラビっ」
「そんなこと言って***、もっといじめてほしいって顔、してるさ。可愛い」
「っ...してないっ」
否定したけど、嘘だった。本当はちょっとくらいいじめてくれないかなって思ってた。ていうか、いつも思ってる。喘ぐしか出来なくなってきた頃、一度大きく突かれて動きが緩やかになった。奥も好きだけど、ゆっくり擦られるのも気持ちいい。手首が解放されて、頭を包み込むように撫でてくれた。優しいキスが気持ちよくて目を閉じる。
「本当に浮気なんかしたら、こんなのじゃ済まないからね」
「もっといじめる...?」
「そりゃあもう、すっごく」
「じゃあ、しちゃおう、かな」
「えぇっ?」
びっくりしてる。いたずらが成功したみたいな気持ちで笑いそうになったけど、ラビが不機嫌そうな顔をしたからすぐに引っ込める。押すなと書かれたスイッチを押しちゃったみたいだ。入ったままだったそれを引き抜かれて、うつ伏せにされる。入り口を探るように擦るからちょっと腰を上げたら、すぐにラビが入ってきた。当たるところが変わって、さっきまでとは違う気持ちよさが襲ってくる。
「もー...いつからそんな、いけないこと考える子になったの?***ちゃんは」
「あっ!あぁっ...ごめんなさ、いっ...」
「...オレ拗ねたからね、責任取って」
拗ねたんだ。ちょっと可愛い。そんなこと考えてる余裕なんかないことは、身体がわかっている。お尻を掴まれて何度も突き上げられるから、何か言おうとしても、ほとんど喘ぎ声しか出てこなかった。
「オレの機嫌が直るまで寝かせないからね、***」
「んっ...ぅ、はぁっ...う、んっ...」
「いい子。あ、悪い子の方が嬉しい?いじめられるのが大好きないけない子だもんね、***ちゃんは」
「やぁっ、ごめ、なさっ...ぅ、あぁっ」
何を言われてもドキドキしちゃうから、もうどうしようもない。シーツを掴むあたしの手を、ラビの手のひらが包み込む。ラビの体重で身動きが取れない。心も身体も支配された気分になって、でもそれがすごく嬉しい。
「ラビ、きもちい、あっ、...んっ」
「***可愛い、***っ...」
「だいすきっ...」
「うん、大好き、***、...ッ」
ラビの荒い息遣いが耳を支配する。手をぎゅっと握られて、あたしも限界が近い。お互いに名前を呼びながら、ほとんど同時に果てた。
ラビが引き抜かれて、中から液体がこぼれるのを感じる。その後のラビの動作を、うつ伏せのままぼんやり眺めた。仰向けに寝転がって天井を見つめている。これが賢者タイムってやつなのかな。しばらくして、あたしの方を見るとにこりと笑った。やだ、きゅんとした。
腕を広げられたから、気怠い身体を動かしてラビの胸に頬を寄せる。ラビが嬉しそうに笑った。上に乗っかって柔らかいほっぺたを伸ばしてやっても、へらへら笑っている。
「***、酔い冷めた?」
「んー、うん」
「オレとするのが一番なんだっけ?」
「...その話するの?」
「だって可愛かったから。もっかい言ってほしいなー」
「酔ってたから言ったの」
「じゃあ酔ってよ、オレに」
「え」
ラビの上から落とされて、視界が逆になる。キザな言葉に笑いそうになったけど、本当にかっこいいからタチが悪い。優しいキスが降ってくる。
「***、可愛い」
「...ん」
「めちゃくちゃ可愛い。世界一可愛い。好き」
「な、なに?」
「***がいっぱい褒めてくれたから、オレもお返しするさ」
「いいよ別にっ」
「可愛くて綺麗で、いい匂いで、抱き心地よくて、エロくて最高」
「...最後のやつ褒めてる?」
「大好き、***」
翡翠の瞳に射抜かれる。
何を褒められるより、その言葉がいちばん嬉しい。優しく抱き締めてくれて、とてもとても幸せだ。
暖かい色の髪を梳いて、丁寧に口付けた。
(かっこいいって言ったの、オレのことだよね?)
(そう、だけど)
(何がかっこよかったか教えてよ、細かく)
(顔...)
(え)