短編
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By the Sea
眠れないなら、ドライブでも行かない?
そう言われて、今あたしはラビが運転する車の助手席で揺られている。夏休みですっかり昼夜逆転した頭は、てっぺんを過ぎても冴えている。BGMはないけど、その静かさが心地いい。
「どこ向かってるの?」
「そりゃあ...人気のないとこに***を連れ込んでエッチなことを...」
「は?」
「冗談だぁって...真夜中のドライブと言ったら、海でしょ」
「そうなの?」
「そうなの。...嫌?」
「ううん...見たいな、海」
窓の外に目をやると、都会的な街並みは遥か遠く。違う世界に入っていくみたいで、少しわくわくする。
緩やかなカーブが終わる頃、海が見え始めた。
―――――――――――――――――――――――
適当な場所に車を停めて、外に出る。湿気を含んだ風がスカートを揺らした。
「うわー、すげーな」
「うん...」
月の光でキラキラしているけど、その向こうは闇が広がっている。飲み込まれそうな気がしてラビのシャツを掴んだら、どうした、と抱き締められた。優しくて低い声に一瞬くらっとしてしまって、取り繕うようにまた海に目をやる。
「...貝殻ひろう」
「自由研究?」
「そう」
自由研究なんかないけど。テキトーに返事をして、砂浜を歩く。いいものがないかと探しながら、波打ち際を手を繋いでゆっくり歩く。
しばらく歩いて、目当てのものを見つけた。しゃがみこんで、月の光にかざしてみる。
「ほー...きれい」
「でも欠けてるさ」
「これはこれでいいじゃん」
「ふーん」
またテキトーに返事をする。いくつか拾った貝殻をケータイと小銭だけ入れてきた小さなバッグにそっとしまって、来た道を戻った。
しばらく無言で歩いていたけど、ふいにラビが口を開いた。
「あのさ...泳がない?......裸で」
「え......」
ラビを見上げると、本気なのか冗談なのかわからない顔をしていた。たぶん、ふざけている。
「...泳がないよ」
「えぇ~」
「タオルとか持ってないし」
「そこ?」
「そこ」
「...今度、水着持って来よう」
「うん...」
「あ、言ったな?今年こそ水着着てよ?!」
「えぇー」
付き合って結構長く経つけど、水着姿はまだ見せたことがなかった。何となく機会を逃しているだけだ。そう、ラビの水着姿はきっとかっこいいから、女の子たちが見とれてしまうに違いないとか、思っているわけではない。それにラビはその視線を満更でもなさそうな顔をして受け入れるに違いないから、想像したらそっちの方がムカつく。
車のあるところまで戻ってきた。側のベンチに腰掛けて海を眺める。
「水着着てほしいなら、痕つけないでね」
「えー?***はオレのなのに?」
「もー、そんなことしなくてもいいの」
「だって、***の水着姿絶対可愛いもん...オレのだって目印つけとかなきゃ」
「はいはい、着ないよ?」
「やだ」
大きな身体で、あたしの首筋に顔を埋めるようにして寄りかかってくる。キスを求めて首を伸ばしてくる姿も可愛く感じて、唇をついばみながら今年こそは水着を買いに行ってみようかなぁなんて思いが過った時、首筋に吸い付いてこようとしたので慌てて止める。
「こら、今の話聞いてた?」
「聞いてた、***がオレのだって話でしょ」
「...そうだね」
「***つれなーい」
「あっ、ちょっと、だめっ」
後ろからホールドされて、首もとから侵入してきた手が胸を弄る。唇は塞がれてしまって制止の言葉は喉の奥へ引っ込んだ。さすがに外ではしたくないのに、それでも触られたら気持ちがいい。全部わかっていてやっているであろうラビの頭を小突く。
「いて」
「駄目だってば!」
「誰もいないのに?」
「だめ」
「...こんなになってるのに?」
「だ、だめっ...ちょ、やだっ」
拒む暇もなくスカートを捲られ、下着の中に手が入ってきた。思ったより濡れていて、ちょっと胸を触られただけなのに恥ずかしい。いや、その前のキスから不覚にも濡れ始めていたことは自覚していた。
「説得力なくない?」
「う...でも、ここじゃ、やだっ......あっ」
「んー、どうしようかなー」
中指が入ってきた。咄嗟に周りを見渡すが、誰もいない。心は理性の方がギリギリ勝っているのに、身体は刺激に正直だった。中で指をゆっくり動かしながら、ラビがわざとらしく考え込む。じれったくて、目線が車に向いてしまう。待ってましたとばかりにその仕草を捉えて、今思い付いたような口振りで言った。
「じゃあ...車の中で続き、しよっか?」
「っ......ん...」
ラビが引き抜いた指をアイスか何かのように舐める。優越感に浸るラビの表情はムカつく以外の何ものでもないのに、暑さと愛撫で溶かされた身体では従うしかなかった。
―――――――――――――――――――――――
車を絶妙な位置に動かして、二人で後部座席に入る。何だか変な気分だった。キスをして、お互いの身体を触り合う。ふと、不安がよぎった。
「あのさ、その...持ってる...?」
「ん...?あー、持ってるさもちろん」
ラビが見慣れたものを運転席から取り出して見せる。ていうかなんで持ってるの。普段持ち歩かないでしょ。
「それ、大丈夫だよね...?」
「うん、だって今日オレの部屋から持ってきたやつだもん」
「そうなの...え、なんで?」
「備えあれば何とやらって、言うでしょ?」
「...まさかこういうつもりで」
「そんなことないさー。てか、持ってないくせに誘うやつよりはマシでしょ?」
「そう...そうかな...?」
「そうでしょ」
なんか流されてる気がする。行きの車の中で冗談と言っていたことが今本当になろうとしているのだ。これは、もしかしなくても。
「嵌められた...」
「***、ハメるのは今からさ」
「...そういうこと真面目な顔で言わないでくれる」
「ごめんごめん」
宥めるように優しくキスしてくるラビの背中を掴む。当然車の中でするのは初めてで、勝手がわからない。キスをしながらいい体勢を探すけれど、どれもイマイチに感じた。それに夏用の日除けは全方位あるわけではないから、覗けば中は見える。それでも灯りをつけない限り、そこまではっきり見えるわけではないけど。脚の間を撫でられながら、やっぱり少し不安になった。
「ねぇ、ほんとに大丈夫かな...」
「大丈夫だって。オレが慎重に、計算に計算を重ねて人気のない時間と場所を割り出したんだから」
「...それは、計画的犯行だってことを認めてるよね...っあっ」
言葉を遮るように、指が下着の隙間から滑り込んでくる。濡れそぼったそこは二本の指を簡単に飲み込んでしまった。
「***のここ、すんごい締め付けてくるさ...興奮してるの?」
「あ、だって...きもち、い」
「...***、可愛い」
何度か往復したあと指を引き抜かれ、座席の背を倒された。ラビが前を寛げてゴムを着けるのを見ながら、挿入しやすいように両膝を立てて大きく開く。
「おぉー、いい眺め」
「だって、こうしないと...」
「うん、ありがと」
下着がずらされて、先が入り口を擦る。ゆっくりと腰を進めながら、ラビが目を覗き込んでくる。
「***、不安?」
「ちょっと、だけ...」
「大丈夫。なんかあったら、オレが守ってあげるから」
「...う、ん、っあぁ!」
頷いてすぐ、急な動作で深く貫かれる。ラビはあたしの膝裏を抱えながら、ゆっくりとギリギリまで引き抜いては、少しスピードをつけて奥まで突くのを繰り返す。
「あっ...に、これ、だめっ...んぅっ」
「っ...気持ち、よくない?」
「きもち、いから、だめなのっ...あっ...っ!」
「よか、った...あ、でもこれ、オレが我慢できないかも...」
「い、よ...動い、て」
「でもあんまガタガタ、揺れてると...もし誰か通ったら、っ、明らかにセックスしてる感じになる、けど」
「いい、から...もっと、ほしい」
「...***、そんな可愛いこと言われたら、加減できないさ...」
一呼吸置いて、激しいピストンが始まる。ラビの呼吸も動作もベッドの上より遥かに激しくて、荒かった。それでも特殊なシチュエーションのおかげか、快感ばかりが押し寄せる。身体が溶けてしまいそうな感覚になりながら、ラビの服を掴んで耐える。
「ッ...***の中、あったかくて...気持ち、良い...」
「あっ、ラビ、ラビっ...きもち、いっ...んっ、あぁっ」
「っ...出す、よっ」
「ん、ラビっ...」
「ぁっ、***ッ...」
奥の奥に注ぎ込むようにしてラビが達するのを感じながら、全身で抱きしめた。一瞬意識が飛んだ後、ラビが白濁液を溜めたものを外すのを見ながら、だんだんと頭が冷静になってくる。緊張しながら周りを見渡したけど、どこからも視線を感じることはなかった。それどころか、世界にはあたしたちしか存在していないみたいに、闇と静寂が広がっている。安心して長いため息が出た。そして、何故か一点を見つめて動かないラビを見る。
「...ラビ?」
「あの、***さん...ティッシュ、持ってない?」
「...詰めが甘い!」
拳を小指側から振り下ろす。結構本気だった。自分もダメージを受けた手を軽く振って、助手席に置いていた自分のバッグを探る。ティッシュを取り出した手でついでに背中も叩いた。
「いたい!ごめん、ごめんってば...」
「...はい」
「サンキュー...やっぱ女の子は準備がいいな~」
「ティッシュも呆れて泣いてるよ」
「ティッシュが泣いてるように見えるほど濡れたの?***ってば詩的なこと言う...あ」
濡れた下着と脚の間を拭いながら睨んだら、またラビの動きが止まった。
「えっと、ゴミ入れていい袋とか持ってる...?」
「...ほんっとに、これだからラビは...あ、あった」
「さっすがー。やっぱオレ***がいないとダメさぁー」
「どうだか」
普段なら深く頷くところだけど、今は同意したくなかった。
服を整えて、運転席と助手席に戻る。来る前に買ったお茶はもうぬるくなっていた。しばらくぼーっとした後、どちらともなくシートベルトを締める。
「帰ったらベッドでしようね」
「しない。寝る」
「えー」
言いながら、ラビがエンジンをかける。戻る方向へ車を動かす姿を見ながら、やっぱりかっこいい、と思ってしまう。
「ねぇ、明日休み?」
「休み休み。明日も明後日も明々後日も休み。夏休みだから」
「じゃあ、水着買いに行くの付き合ってね」
「え」
ラビがアクセルから足を離してこちらを見る。その顔はどんどん輝いて、勢いよく抱きつき、たかったのだろうけどシートベルトに邪魔されてできなかった。真顔になって止まったシートベルトを戻す姿は本当に、
「...馬鹿なの?」
「だって、***がとんでもないこと言うから...ほんと?ほんとに水着着てくれるの?」
「水着着るんじゃなくて、泳ぐのが目的でしょうが」
「え、別に泳がなくてもいいんだけど」
「なに言ってんの?」
「風呂のシャワーで遊んでそのままセッ...あ、いや、冗談です」
「...もう冗談って言われても信用しないし、水着の女の子をそういう目で見てるならやっぱ水着はやめる」
「違うって、***しかそういう目で見てないってオレは!信じて!」
さっきの輝いた表情から一転、本当に泣きそうになりながら見つめてくる。思ったより必死な顔をしていた。
「***のこと大好きすぎてちょっと変なこと考えちゃうだけなんだって、ほんっと頼むからお願い信じて***だけだから!」
「わかった、わかったから前向いてアクセル踏んで。ベッドでするんでしょ?」
「え」
「...嫌だったら、とっくに別れてる」
「うん、そうだね、うん」
今度はお互いに近づき合って、キスをした。嬉しそうな顔でハンドルを握るラビに、やっぱりこの人じゃなきゃ駄目だと思った。車が動き出す。
「***に会えてよかったなーオレ」
「...あたしも」
「え?なに?」
「なんでもなーい。安全運転でお願いします」
「りょーかい」
遠ざかっていく海を見ながら、何色の水着にするかを考え始めた。
(オレの彼女は最高だなぁ)
(オレの彼女は最高だなぁ、とか思ってそうなとこが最高だなぁ)
眠れないなら、ドライブでも行かない?
そう言われて、今あたしはラビが運転する車の助手席で揺られている。夏休みですっかり昼夜逆転した頭は、てっぺんを過ぎても冴えている。BGMはないけど、その静かさが心地いい。
「どこ向かってるの?」
「そりゃあ...人気のないとこに***を連れ込んでエッチなことを...」
「は?」
「冗談だぁって...真夜中のドライブと言ったら、海でしょ」
「そうなの?」
「そうなの。...嫌?」
「ううん...見たいな、海」
窓の外に目をやると、都会的な街並みは遥か遠く。違う世界に入っていくみたいで、少しわくわくする。
緩やかなカーブが終わる頃、海が見え始めた。
―――――――――――――――――――――――
適当な場所に車を停めて、外に出る。湿気を含んだ風がスカートを揺らした。
「うわー、すげーな」
「うん...」
月の光でキラキラしているけど、その向こうは闇が広がっている。飲み込まれそうな気がしてラビのシャツを掴んだら、どうした、と抱き締められた。優しくて低い声に一瞬くらっとしてしまって、取り繕うようにまた海に目をやる。
「...貝殻ひろう」
「自由研究?」
「そう」
自由研究なんかないけど。テキトーに返事をして、砂浜を歩く。いいものがないかと探しながら、波打ち際を手を繋いでゆっくり歩く。
しばらく歩いて、目当てのものを見つけた。しゃがみこんで、月の光にかざしてみる。
「ほー...きれい」
「でも欠けてるさ」
「これはこれでいいじゃん」
「ふーん」
またテキトーに返事をする。いくつか拾った貝殻をケータイと小銭だけ入れてきた小さなバッグにそっとしまって、来た道を戻った。
しばらく無言で歩いていたけど、ふいにラビが口を開いた。
「あのさ...泳がない?......裸で」
「え......」
ラビを見上げると、本気なのか冗談なのかわからない顔をしていた。たぶん、ふざけている。
「...泳がないよ」
「えぇ~」
「タオルとか持ってないし」
「そこ?」
「そこ」
「...今度、水着持って来よう」
「うん...」
「あ、言ったな?今年こそ水着着てよ?!」
「えぇー」
付き合って結構長く経つけど、水着姿はまだ見せたことがなかった。何となく機会を逃しているだけだ。そう、ラビの水着姿はきっとかっこいいから、女の子たちが見とれてしまうに違いないとか、思っているわけではない。それにラビはその視線を満更でもなさそうな顔をして受け入れるに違いないから、想像したらそっちの方がムカつく。
車のあるところまで戻ってきた。側のベンチに腰掛けて海を眺める。
「水着着てほしいなら、痕つけないでね」
「えー?***はオレのなのに?」
「もー、そんなことしなくてもいいの」
「だって、***の水着姿絶対可愛いもん...オレのだって目印つけとかなきゃ」
「はいはい、着ないよ?」
「やだ」
大きな身体で、あたしの首筋に顔を埋めるようにして寄りかかってくる。キスを求めて首を伸ばしてくる姿も可愛く感じて、唇をついばみながら今年こそは水着を買いに行ってみようかなぁなんて思いが過った時、首筋に吸い付いてこようとしたので慌てて止める。
「こら、今の話聞いてた?」
「聞いてた、***がオレのだって話でしょ」
「...そうだね」
「***つれなーい」
「あっ、ちょっと、だめっ」
後ろからホールドされて、首もとから侵入してきた手が胸を弄る。唇は塞がれてしまって制止の言葉は喉の奥へ引っ込んだ。さすがに外ではしたくないのに、それでも触られたら気持ちがいい。全部わかっていてやっているであろうラビの頭を小突く。
「いて」
「駄目だってば!」
「誰もいないのに?」
「だめ」
「...こんなになってるのに?」
「だ、だめっ...ちょ、やだっ」
拒む暇もなくスカートを捲られ、下着の中に手が入ってきた。思ったより濡れていて、ちょっと胸を触られただけなのに恥ずかしい。いや、その前のキスから不覚にも濡れ始めていたことは自覚していた。
「説得力なくない?」
「う...でも、ここじゃ、やだっ......あっ」
「んー、どうしようかなー」
中指が入ってきた。咄嗟に周りを見渡すが、誰もいない。心は理性の方がギリギリ勝っているのに、身体は刺激に正直だった。中で指をゆっくり動かしながら、ラビがわざとらしく考え込む。じれったくて、目線が車に向いてしまう。待ってましたとばかりにその仕草を捉えて、今思い付いたような口振りで言った。
「じゃあ...車の中で続き、しよっか?」
「っ......ん...」
ラビが引き抜いた指をアイスか何かのように舐める。優越感に浸るラビの表情はムカつく以外の何ものでもないのに、暑さと愛撫で溶かされた身体では従うしかなかった。
―――――――――――――――――――――――
車を絶妙な位置に動かして、二人で後部座席に入る。何だか変な気分だった。キスをして、お互いの身体を触り合う。ふと、不安がよぎった。
「あのさ、その...持ってる...?」
「ん...?あー、持ってるさもちろん」
ラビが見慣れたものを運転席から取り出して見せる。ていうかなんで持ってるの。普段持ち歩かないでしょ。
「それ、大丈夫だよね...?」
「うん、だって今日オレの部屋から持ってきたやつだもん」
「そうなの...え、なんで?」
「備えあれば何とやらって、言うでしょ?」
「...まさかこういうつもりで」
「そんなことないさー。てか、持ってないくせに誘うやつよりはマシでしょ?」
「そう...そうかな...?」
「そうでしょ」
なんか流されてる気がする。行きの車の中で冗談と言っていたことが今本当になろうとしているのだ。これは、もしかしなくても。
「嵌められた...」
「***、ハメるのは今からさ」
「...そういうこと真面目な顔で言わないでくれる」
「ごめんごめん」
宥めるように優しくキスしてくるラビの背中を掴む。当然車の中でするのは初めてで、勝手がわからない。キスをしながらいい体勢を探すけれど、どれもイマイチに感じた。それに夏用の日除けは全方位あるわけではないから、覗けば中は見える。それでも灯りをつけない限り、そこまではっきり見えるわけではないけど。脚の間を撫でられながら、やっぱり少し不安になった。
「ねぇ、ほんとに大丈夫かな...」
「大丈夫だって。オレが慎重に、計算に計算を重ねて人気のない時間と場所を割り出したんだから」
「...それは、計画的犯行だってことを認めてるよね...っあっ」
言葉を遮るように、指が下着の隙間から滑り込んでくる。濡れそぼったそこは二本の指を簡単に飲み込んでしまった。
「***のここ、すんごい締め付けてくるさ...興奮してるの?」
「あ、だって...きもち、い」
「...***、可愛い」
何度か往復したあと指を引き抜かれ、座席の背を倒された。ラビが前を寛げてゴムを着けるのを見ながら、挿入しやすいように両膝を立てて大きく開く。
「おぉー、いい眺め」
「だって、こうしないと...」
「うん、ありがと」
下着がずらされて、先が入り口を擦る。ゆっくりと腰を進めながら、ラビが目を覗き込んでくる。
「***、不安?」
「ちょっと、だけ...」
「大丈夫。なんかあったら、オレが守ってあげるから」
「...う、ん、っあぁ!」
頷いてすぐ、急な動作で深く貫かれる。ラビはあたしの膝裏を抱えながら、ゆっくりとギリギリまで引き抜いては、少しスピードをつけて奥まで突くのを繰り返す。
「あっ...に、これ、だめっ...んぅっ」
「っ...気持ち、よくない?」
「きもち、いから、だめなのっ...あっ...っ!」
「よか、った...あ、でもこれ、オレが我慢できないかも...」
「い、よ...動い、て」
「でもあんまガタガタ、揺れてると...もし誰か通ったら、っ、明らかにセックスしてる感じになる、けど」
「いい、から...もっと、ほしい」
「...***、そんな可愛いこと言われたら、加減できないさ...」
一呼吸置いて、激しいピストンが始まる。ラビの呼吸も動作もベッドの上より遥かに激しくて、荒かった。それでも特殊なシチュエーションのおかげか、快感ばかりが押し寄せる。身体が溶けてしまいそうな感覚になりながら、ラビの服を掴んで耐える。
「ッ...***の中、あったかくて...気持ち、良い...」
「あっ、ラビ、ラビっ...きもち、いっ...んっ、あぁっ」
「っ...出す、よっ」
「ん、ラビっ...」
「ぁっ、***ッ...」
奥の奥に注ぎ込むようにしてラビが達するのを感じながら、全身で抱きしめた。一瞬意識が飛んだ後、ラビが白濁液を溜めたものを外すのを見ながら、だんだんと頭が冷静になってくる。緊張しながら周りを見渡したけど、どこからも視線を感じることはなかった。それどころか、世界にはあたしたちしか存在していないみたいに、闇と静寂が広がっている。安心して長いため息が出た。そして、何故か一点を見つめて動かないラビを見る。
「...ラビ?」
「あの、***さん...ティッシュ、持ってない?」
「...詰めが甘い!」
拳を小指側から振り下ろす。結構本気だった。自分もダメージを受けた手を軽く振って、助手席に置いていた自分のバッグを探る。ティッシュを取り出した手でついでに背中も叩いた。
「いたい!ごめん、ごめんってば...」
「...はい」
「サンキュー...やっぱ女の子は準備がいいな~」
「ティッシュも呆れて泣いてるよ」
「ティッシュが泣いてるように見えるほど濡れたの?***ってば詩的なこと言う...あ」
濡れた下着と脚の間を拭いながら睨んだら、またラビの動きが止まった。
「えっと、ゴミ入れていい袋とか持ってる...?」
「...ほんっとに、これだからラビは...あ、あった」
「さっすがー。やっぱオレ***がいないとダメさぁー」
「どうだか」
普段なら深く頷くところだけど、今は同意したくなかった。
服を整えて、運転席と助手席に戻る。来る前に買ったお茶はもうぬるくなっていた。しばらくぼーっとした後、どちらともなくシートベルトを締める。
「帰ったらベッドでしようね」
「しない。寝る」
「えー」
言いながら、ラビがエンジンをかける。戻る方向へ車を動かす姿を見ながら、やっぱりかっこいい、と思ってしまう。
「ねぇ、明日休み?」
「休み休み。明日も明後日も明々後日も休み。夏休みだから」
「じゃあ、水着買いに行くの付き合ってね」
「え」
ラビがアクセルから足を離してこちらを見る。その顔はどんどん輝いて、勢いよく抱きつき、たかったのだろうけどシートベルトに邪魔されてできなかった。真顔になって止まったシートベルトを戻す姿は本当に、
「...馬鹿なの?」
「だって、***がとんでもないこと言うから...ほんと?ほんとに水着着てくれるの?」
「水着着るんじゃなくて、泳ぐのが目的でしょうが」
「え、別に泳がなくてもいいんだけど」
「なに言ってんの?」
「風呂のシャワーで遊んでそのままセッ...あ、いや、冗談です」
「...もう冗談って言われても信用しないし、水着の女の子をそういう目で見てるならやっぱ水着はやめる」
「違うって、***しかそういう目で見てないってオレは!信じて!」
さっきの輝いた表情から一転、本当に泣きそうになりながら見つめてくる。思ったより必死な顔をしていた。
「***のこと大好きすぎてちょっと変なこと考えちゃうだけなんだって、ほんっと頼むからお願い信じて***だけだから!」
「わかった、わかったから前向いてアクセル踏んで。ベッドでするんでしょ?」
「え」
「...嫌だったら、とっくに別れてる」
「うん、そうだね、うん」
今度はお互いに近づき合って、キスをした。嬉しそうな顔でハンドルを握るラビに、やっぱりこの人じゃなきゃ駄目だと思った。車が動き出す。
「***に会えてよかったなーオレ」
「...あたしも」
「え?なに?」
「なんでもなーい。安全運転でお願いします」
「りょーかい」
遠ざかっていく海を見ながら、何色の水着にするかを考え始めた。
(オレの彼女は最高だなぁ)
(オレの彼女は最高だなぁ、とか思ってそうなとこが最高だなぁ)