短編
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手を繋ごう
「も~どこ行ったんさ***~!」
地図から顔を上げるともう隣にいたはずの***がいなかった。彼女は目を離すとすぐにいなくなってしまう。任務中、知らない街で急にいなくなるのはかなり心配になるのでやめてほしい。
目を付けたのはすぐ近くのカップケーキ屋。***が好きそうな店構えだ。覗いてみると案の定、店員と談笑する***の姿。オレは慌てて店に駆け込んだ。
「***!いた!」
「あ、ラビ。これおすすめなんだってー」
「へぇ~そうなん...じゃなくて、急にいなくなるなって!」
軽く小突くと、ごめんごめんと軽く言いながらさっきのおすすめとやらを二種類買っている。なんだか身体に悪そうな鮮やかな色のカップケーキだ。お店のおねーさんが可愛いのでしばし見とれていると、***がまたいない。慌てて外に出ると、近くのベンチに座ってさっそくカップケーキを食べようとしていた。
「...自由か」
「ラビだってお姉さんに見とれてたじゃん」
「あ、あれは不可抗力さ」
「ふーん...で、この街で奇怪現象が起きてるのは間違いなさそうだね」
「え?なんか話聞いてきたん?」
「当たり前でしょー?でなきゃこんな毒々しい色のカップケーキ食べないって」
「いや、カップケーキ屋である必要はなかったさ、たぶん」
食いたかっただけだろ。と思ったが、軽くあしらわれるのは目に見えているので黙っておいた。
***はいつも勝手にいなくなっては、こうやってちょっとずつ情報を集めてくる。だから強くも言えないのだが、たまに本当に「行ってみただけ」の時もあるのでタチが悪い。
仕方なく隣に座ると、一緒に買ったコーヒーを渡された。オレのことが見えてんだか見えてないんだかイマイチわからん。こういう猫みたいなところが可愛いんだけど。寒さに負けて温かい湯気を出すコーヒーを一口すする。あぁ、寒い日に外で飲むホットコーヒーはうまい。落ち着きかけてハッとした。今日こそちゃんと言ってやらねば。
「***、勝手にいなくなるなって、いつも言ってるさ?」
「だぁって、めんどくさいんだもん」
「あのな...」
ユウほどではないが、***もなかなかに単独行動が好きだ。こうやってコミュニケーションが取れる分マシなのかもしれない。
「心配するし!っていうか、すぐいなくなるわりに迷子になるからタチ悪いさ」
「...ゴーレムいるし、迷ったら人に聞くからいいもん...それに......」
どんな減らず口が飛び出すかと思い脚に頬杖をついて聞いていたが、***が言ったのは意外な言葉だった。
「...ラビが絶対、見つけてくれるから」
一瞬、思考が停止した。
これは、甘えられてるってことか...?そういえば、任務中***が急にいなくなって困るという話を他のところでは聞いたことがない。
不自然に目をそらしながら二個目のカップケーキを頬張る横顔に、なんだかものすごい愛しさがこみ上げてきた。この天邪鬼。
「はぁーやっぱ***は可愛いさ...」
「...なに?」
「なんでもないさ。でも、今後急にいなくなんのはナシ!オレも連れてって」
「えぇーめんどくさい...」
「だめ。取り敢えず一緒にいる時は手繋ご」
「はぁ?!」
人前ではあまりベタベタしたがらない***だが、せめて手ぐらい繋いでほしい。という、言外のメッセージを込めた。それが伝わったのか伝わらなかったのか、バンダナをぐっと下げて目隠しされた。側のゴミ箱に乱暴にものを突っ込んだ音がする。
「んもー***ちゃんったら照れ屋さん」
「うるさいっもう行く!」
「へいへい...うへぁっ」
バンダナを直しながら立ち上がると、***が手を掴んできた。びっくりして変な声が出る。
「なに、変な声出して...手、繋ぐって言ったじゃん...」
「うわぁ...オレ今めちゃくちゃ感動してるさ...!」
「なに言ってんの...?」
軽蔑するような目をしているが、この顔は嫌がっていない。はっきりわかった。***はオレが嫌いなわけではなく、いちゃいちゃするのが嫌いなわけでもなく、単純に照れ屋さんなのだ。自分から手を繋ぐのが恥ずかしいからオレの言葉を待っていたのかもしれない、なんて、都合の良いことを考えてしまう。とにかく可愛い。可愛すぎる。
そのうち、***の腰を抱きながら歩ける日も来るのだろうか。そう考えながら、***の少し汗ばんだ手を握りしめた。
(おかえりラビ、***ちゃん。あれ、手繋いでるなんて珍しいね〜。仲良くなったのかな?)
(いやーコムイ、オレらもとからラブラブだったさ)
(ラビ、そろそろ手離して...!)
「も~どこ行ったんさ***~!」
地図から顔を上げるともう隣にいたはずの***がいなかった。彼女は目を離すとすぐにいなくなってしまう。任務中、知らない街で急にいなくなるのはかなり心配になるのでやめてほしい。
目を付けたのはすぐ近くのカップケーキ屋。***が好きそうな店構えだ。覗いてみると案の定、店員と談笑する***の姿。オレは慌てて店に駆け込んだ。
「***!いた!」
「あ、ラビ。これおすすめなんだってー」
「へぇ~そうなん...じゃなくて、急にいなくなるなって!」
軽く小突くと、ごめんごめんと軽く言いながらさっきのおすすめとやらを二種類買っている。なんだか身体に悪そうな鮮やかな色のカップケーキだ。お店のおねーさんが可愛いのでしばし見とれていると、***がまたいない。慌てて外に出ると、近くのベンチに座ってさっそくカップケーキを食べようとしていた。
「...自由か」
「ラビだってお姉さんに見とれてたじゃん」
「あ、あれは不可抗力さ」
「ふーん...で、この街で奇怪現象が起きてるのは間違いなさそうだね」
「え?なんか話聞いてきたん?」
「当たり前でしょー?でなきゃこんな毒々しい色のカップケーキ食べないって」
「いや、カップケーキ屋である必要はなかったさ、たぶん」
食いたかっただけだろ。と思ったが、軽くあしらわれるのは目に見えているので黙っておいた。
***はいつも勝手にいなくなっては、こうやってちょっとずつ情報を集めてくる。だから強くも言えないのだが、たまに本当に「行ってみただけ」の時もあるのでタチが悪い。
仕方なく隣に座ると、一緒に買ったコーヒーを渡された。オレのことが見えてんだか見えてないんだかイマイチわからん。こういう猫みたいなところが可愛いんだけど。寒さに負けて温かい湯気を出すコーヒーを一口すする。あぁ、寒い日に外で飲むホットコーヒーはうまい。落ち着きかけてハッとした。今日こそちゃんと言ってやらねば。
「***、勝手にいなくなるなって、いつも言ってるさ?」
「だぁって、めんどくさいんだもん」
「あのな...」
ユウほどではないが、***もなかなかに単独行動が好きだ。こうやってコミュニケーションが取れる分マシなのかもしれない。
「心配するし!っていうか、すぐいなくなるわりに迷子になるからタチ悪いさ」
「...ゴーレムいるし、迷ったら人に聞くからいいもん...それに......」
どんな減らず口が飛び出すかと思い脚に頬杖をついて聞いていたが、***が言ったのは意外な言葉だった。
「...ラビが絶対、見つけてくれるから」
一瞬、思考が停止した。
これは、甘えられてるってことか...?そういえば、任務中***が急にいなくなって困るという話を他のところでは聞いたことがない。
不自然に目をそらしながら二個目のカップケーキを頬張る横顔に、なんだかものすごい愛しさがこみ上げてきた。この天邪鬼。
「はぁーやっぱ***は可愛いさ...」
「...なに?」
「なんでもないさ。でも、今後急にいなくなんのはナシ!オレも連れてって」
「えぇーめんどくさい...」
「だめ。取り敢えず一緒にいる時は手繋ご」
「はぁ?!」
人前ではあまりベタベタしたがらない***だが、せめて手ぐらい繋いでほしい。という、言外のメッセージを込めた。それが伝わったのか伝わらなかったのか、バンダナをぐっと下げて目隠しされた。側のゴミ箱に乱暴にものを突っ込んだ音がする。
「んもー***ちゃんったら照れ屋さん」
「うるさいっもう行く!」
「へいへい...うへぁっ」
バンダナを直しながら立ち上がると、***が手を掴んできた。びっくりして変な声が出る。
「なに、変な声出して...手、繋ぐって言ったじゃん...」
「うわぁ...オレ今めちゃくちゃ感動してるさ...!」
「なに言ってんの...?」
軽蔑するような目をしているが、この顔は嫌がっていない。はっきりわかった。***はオレが嫌いなわけではなく、いちゃいちゃするのが嫌いなわけでもなく、単純に照れ屋さんなのだ。自分から手を繋ぐのが恥ずかしいからオレの言葉を待っていたのかもしれない、なんて、都合の良いことを考えてしまう。とにかく可愛い。可愛すぎる。
そのうち、***の腰を抱きながら歩ける日も来るのだろうか。そう考えながら、***の少し汗ばんだ手を握りしめた。
(おかえりラビ、***ちゃん。あれ、手繋いでるなんて珍しいね〜。仲良くなったのかな?)
(いやーコムイ、オレらもとからラブラブだったさ)
(ラビ、そろそろ手離して...!)