短編
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Lovely Cat
任務のない、ゆったりした午後。
あまり人が来ない中庭、お気に入りの場所でコーヒーを持って日向ぼっこすることにした。気温はちょっと低いけど、日差しはとても暖かい。
辺りに茂る木々に、鳥の鳴き声。別の世界にいるみたいだ。
伸びをして深呼吸。気持ちいい。
ふと横に目をやると、ベンチの陰に...猫。
こんな世間から隔離されたところに猫がいるなんて思わなかった。どこからやってきたのだろうか。綺麗な黒猫が、丸い金色の瞳で見つめてくる。
「か、可愛い...」
猫は世界一可愛い生き物だ。あの目、あの顔、あのフォルム。猫という生き物をつくってくれた神様に感謝したい。
黒猫は相変わらずあたしをじっと見つめている。警戒してるんだろうな。あたしは興味がない振りをして、コーヒーを一口すする。猫も目線を外した。動かないあたり、怪しい者ではないと思ってもらえたようだ。
ベンチからそっと降りて、猫に近づく。誰かが食べ物をやっているのか、こんなところにいるわりに毛並みがいい子だ。怯えさせないように気をつけながら、話しかけてみる。
「にゃー」
もちろん猫語で。
翻訳したら何て言ってることになるのかわからないけど、取り敢えず鳴き真似してみる。猫が興味を示した。
にゃーにゃー言いながら、指を一本出して待つ。猫は恐る恐る近付いてきて、鼻先がちょんと触れた。挨拶できたみたいだ。顎をなでるときの形みたいにして待っていると、猫はその手にすっぽりと顔を乗せてきた。人に慣れているみたいだ。
「はあぁぁ可愛い...こんな子いたっけ...?」
なで続けていると、ゴロゴロ喉を鳴らして膝の上に乗ってきた。なんと警戒心のない猫だ。温かい重みを感じて幸せになる。
「ありがたや...」
思わず有難がってしまったとき、声が聞こえた。
振り向くと、見慣れた赤毛が肩を震わせている。
「あ、ラビ」
見られた...別に見られてもいいんだけど、なんか恥ずかしい。
「いつからいたの」
「***がにゃーにゃー言ってるあたりから」
「最初からじゃん...」
「猫抱っこして有難がってるとか、***面白すぎさ」
「にゃんこが抱っこさせてくれるのは当たり前じゃないんだからね!」
「にゃんこ」
「あ」
ついにラビが声を上げて笑った。にゃんこをにゃんこと呼んで何が悪い。ラビが近づいてきて、あたしと猫を覗き込む。
「気持ちよさそーな顔してんな」
「ねぇ可愛いよねぇ」
「***、にゃんこ相手だとそんなにデレデレしちゃうの?」
「だって可愛いもん、あっ」
ラビが手を伸ばした瞬間、猫が逃げてしまった。ラビが悔しそうな顔をしている。
「くっそー逃げられたさ」
「急にでっかい手が上からきたらびっくりするよ。猫と和解できないとはブックマン後継者もまだまだですね」
「どういうことさ...」
ベンチに腰掛けたラビが、地面に座ったままのあたしの頭をなでる。大きな手が髪を梳いて、頬、首筋に移動する。気持ちいいから大人しくされるがまま。
「......くっ...」
「えっなに何で笑うの」
「このにゃんこは可愛いなーと思って」
「......にゃー」
「...またそういう可愛いことする...」
手を引かれて、ラビの隣に座る。抱き締められたので首筋に頬を寄せると、なんだかいい匂いがした。今日はいつもより甘えてみようかな。そんな気分になる暖かい日差しだった。
(...なぁ***、寝るなら部屋行かね?)
(えーここで日向ぼっこしたい...)
任務のない、ゆったりした午後。
あまり人が来ない中庭、お気に入りの場所でコーヒーを持って日向ぼっこすることにした。気温はちょっと低いけど、日差しはとても暖かい。
辺りに茂る木々に、鳥の鳴き声。別の世界にいるみたいだ。
伸びをして深呼吸。気持ちいい。
ふと横に目をやると、ベンチの陰に...猫。
こんな世間から隔離されたところに猫がいるなんて思わなかった。どこからやってきたのだろうか。綺麗な黒猫が、丸い金色の瞳で見つめてくる。
「か、可愛い...」
猫は世界一可愛い生き物だ。あの目、あの顔、あのフォルム。猫という生き物をつくってくれた神様に感謝したい。
黒猫は相変わらずあたしをじっと見つめている。警戒してるんだろうな。あたしは興味がない振りをして、コーヒーを一口すする。猫も目線を外した。動かないあたり、怪しい者ではないと思ってもらえたようだ。
ベンチからそっと降りて、猫に近づく。誰かが食べ物をやっているのか、こんなところにいるわりに毛並みがいい子だ。怯えさせないように気をつけながら、話しかけてみる。
「にゃー」
もちろん猫語で。
翻訳したら何て言ってることになるのかわからないけど、取り敢えず鳴き真似してみる。猫が興味を示した。
にゃーにゃー言いながら、指を一本出して待つ。猫は恐る恐る近付いてきて、鼻先がちょんと触れた。挨拶できたみたいだ。顎をなでるときの形みたいにして待っていると、猫はその手にすっぽりと顔を乗せてきた。人に慣れているみたいだ。
「はあぁぁ可愛い...こんな子いたっけ...?」
なで続けていると、ゴロゴロ喉を鳴らして膝の上に乗ってきた。なんと警戒心のない猫だ。温かい重みを感じて幸せになる。
「ありがたや...」
思わず有難がってしまったとき、声が聞こえた。
振り向くと、見慣れた赤毛が肩を震わせている。
「あ、ラビ」
見られた...別に見られてもいいんだけど、なんか恥ずかしい。
「いつからいたの」
「***がにゃーにゃー言ってるあたりから」
「最初からじゃん...」
「猫抱っこして有難がってるとか、***面白すぎさ」
「にゃんこが抱っこさせてくれるのは当たり前じゃないんだからね!」
「にゃんこ」
「あ」
ついにラビが声を上げて笑った。にゃんこをにゃんこと呼んで何が悪い。ラビが近づいてきて、あたしと猫を覗き込む。
「気持ちよさそーな顔してんな」
「ねぇ可愛いよねぇ」
「***、にゃんこ相手だとそんなにデレデレしちゃうの?」
「だって可愛いもん、あっ」
ラビが手を伸ばした瞬間、猫が逃げてしまった。ラビが悔しそうな顔をしている。
「くっそー逃げられたさ」
「急にでっかい手が上からきたらびっくりするよ。猫と和解できないとはブックマン後継者もまだまだですね」
「どういうことさ...」
ベンチに腰掛けたラビが、地面に座ったままのあたしの頭をなでる。大きな手が髪を梳いて、頬、首筋に移動する。気持ちいいから大人しくされるがまま。
「......くっ...」
「えっなに何で笑うの」
「このにゃんこは可愛いなーと思って」
「......にゃー」
「...またそういう可愛いことする...」
手を引かれて、ラビの隣に座る。抱き締められたので首筋に頬を寄せると、なんだかいい匂いがした。今日はいつもより甘えてみようかな。そんな気分になる暖かい日差しだった。
(...なぁ***、寝るなら部屋行かね?)
(えーここで日向ぼっこしたい...)