「お久しぶりですっ。ヒナさん！」
「はい。こちらこそ、お久しぶりです。美咲ちゃん」

今日はコバエリとヒナがいる世界から美咲とエロックが遊びに来た。
お互い宮城県の七夕祭り以来、会うのは久しぶりだった。

そして、コバエリの世界に飛ばしてくれたアイシャも、今日は人間の姿で美咲達と一緒にいた。

「アイシャさんもお久しぶりです。ご体調の方はその後どうですか？」
「こんにちは、ヒナちゃん。ええ、お陰様で。もう大丈夫よ」

自分を心配し、気遣ってくれたヒナに対してアイシャは、その自慢の美貌でとびきりの微笑みを浮かべて答えた。


その一方。

「久しぶりだな、コバエリ」
「はて。私は貴方をお呼びした覚えはありませんが」

男性陣の方の挨拶はさっぱりしていた。
というよりは、コバエリにとってエロックは苦手というか、余り関わりたくないエリックの種類であったが。
かなまら祭りの例のお土産の件、それ以前にエロックの行動や言動はコバエリにとって卑猥且つ非礼で不快極まりなかったため、好感度もマイナス方向にガタ落ち状態なのである。
きっとこれから先、彼への好感度がプラスに上がることは永遠にないだろう、とコバエリ自身そう思っている。


「お茶を淹れてきますので、どうぞお掛けになってください」
「ありがとうございます、ヒナさん」
「さぁ、こちらにどうぞ。美咲さん」

コバエリは美咲を客間のソファーに案内した。
ちなみに敢えてエロックは無視した。

「わぁ、ありがとうございます。コバエリさん。お祭りの時は、アイシャ姉様を助けてくださって本当にありがとうございました」

「いえいえ。アイシャさんがお元気になって、私も嬉しいですよ」

コバエリは至って普通に美咲に対しては、微笑みを浮かべているような紳士的対応をしていた。

「寧ろ、彼女がそうなった原因は貴方のせいではなく、別の人間のせいなのですから」

コバエリはさりげなく視線だけをエロックに向けた。


「全く。相変わらずですね、貴方と言う人は…」