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拍手ネタ1 ~子エリック視点~
僕はずっと……ひとりぼっちだった。
醜い顔をした僕に、母から送られた最初の衣服は―仮面―だった。
泣きながらそれを渡した僕の母は、最後まで僕を拒絶した。
家を抜け出して、ジプシーに捕まって。
最初こそは、汚い檻に入れられ、見世物にされ、普通の人間とはかけ離れた醜い生き物とされてきた。
それが今や、僕は力と一時の自由をこうして手に入れている。
最初はそれだけで何も不満はなかった。
僕はただのジェヴァールに飼い慣らされたいい見世物でいつづけるのだと思った。
それでも、ただ1つだけ、悩みはあった。
年齢が経つと共に、思春期特有の欲望だけは、僕を苦しめた。
ジプシーには年頃の女性が少ないというわけではない。
だから、触れてみたいと思う欲望を持たなかったと言えば、嘘になる。
僕だって…1人の男なのだ。
だからこそ、今のこの状態に僕は焦りを感じている。
彼女が…僕の隣で眠っているのだ。
突然現れて、僕の顔を見ても恐れずに、僕と一緒に同居することになった彼女が。
まだ日が昇っていない、朝には暗すぎる時間帯。
起きてみれば彼女の寝顔が目の前にあったことに驚きを隠せなかった。
彼女は未だに隣でぐっすり眠っている。
触れようと思えば、触れられる距離まで近い。
ぷくりと綺麗な形をしたピンク色の唇に自然と目がいく。
触れてみたい、キスしてみたいと、欲望がどんどん沸き上がってくる。
今なら…。
と僕は愚かなことを考えてしまう。でも…。
今まで、女性には一切関わるどころか、拒絶されていた僕にとって、これはある意味チャンスなのではないだろうか?
ふと、そう思った。
彼女なら、拒絶しないだろうと甘い考えがよぎる。
僕は欲望に勝てず、彼女の顔に自分のそれを近づけた。
すうすう、と彼女の息遣いが間近で聞こえる。
彼女の唇に触れるまであと数ミリだった時…
「……んっ…」
「!!」
とっさに僕は離れた。
僕は…彼女に何をしようとした?
ただでさえ、眠っている無防備な彼女なのに。
これでは、ジェヴァールと他のジプシー達と変わらないじゃないか!
そこまで、僕は堕ちるつもりはない。
―ごめんよ―
眠っている彼女に心の中で強く謝った。
でも、何度も言うけど、僕も男なんだということを、彼女には理解して欲しい。
今は、これだけは、許して欲しい。
そう思って、僕は彼女の額にほんの少しだけのキスをした―。
まだ起きるには早い―。
もう少し、もう少しだけ、僕に良い夢を見せてくれと、瞼の奥で僕はそう願った。
僕はずっと……ひとりぼっちだった。
醜い顔をした僕に、母から送られた最初の衣服は―仮面―だった。
泣きながらそれを渡した僕の母は、最後まで僕を拒絶した。
家を抜け出して、ジプシーに捕まって。
最初こそは、汚い檻に入れられ、見世物にされ、普通の人間とはかけ離れた醜い生き物とされてきた。
それが今や、僕は力と一時の自由をこうして手に入れている。
最初はそれだけで何も不満はなかった。
僕はただのジェヴァールに飼い慣らされたいい見世物でいつづけるのだと思った。
それでも、ただ1つだけ、悩みはあった。
年齢が経つと共に、思春期特有の欲望だけは、僕を苦しめた。
ジプシーには年頃の女性が少ないというわけではない。
だから、触れてみたいと思う欲望を持たなかったと言えば、嘘になる。
僕だって…1人の男なのだ。
だからこそ、今のこの状態に僕は焦りを感じている。
彼女が…僕の隣で眠っているのだ。
突然現れて、僕の顔を見ても恐れずに、僕と一緒に同居することになった彼女が。
まだ日が昇っていない、朝には暗すぎる時間帯。
起きてみれば彼女の寝顔が目の前にあったことに驚きを隠せなかった。
彼女は未だに隣でぐっすり眠っている。
触れようと思えば、触れられる距離まで近い。
ぷくりと綺麗な形をしたピンク色の唇に自然と目がいく。
触れてみたい、キスしてみたいと、欲望がどんどん沸き上がってくる。
今なら…。
と僕は愚かなことを考えてしまう。でも…。
今まで、女性には一切関わるどころか、拒絶されていた僕にとって、これはある意味チャンスなのではないだろうか?
ふと、そう思った。
彼女なら、拒絶しないだろうと甘い考えがよぎる。
僕は欲望に勝てず、彼女の顔に自分のそれを近づけた。
すうすう、と彼女の息遣いが間近で聞こえる。
彼女の唇に触れるまであと数ミリだった時…
「……んっ…」
「!!」
とっさに僕は離れた。
僕は…彼女に何をしようとした?
ただでさえ、眠っている無防備な彼女なのに。
これでは、ジェヴァールと他のジプシー達と変わらないじゃないか!
そこまで、僕は堕ちるつもりはない。
―ごめんよ―
眠っている彼女に心の中で強く謝った。
でも、何度も言うけど、僕も男なんだということを、彼女には理解して欲しい。
今は、これだけは、許して欲しい。
そう思って、僕は彼女の額にほんの少しだけのキスをした―。
まだ起きるには早い―。
もう少し、もう少しだけ、僕に良い夢を見せてくれと、瞼の奥で僕はそう願った。
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