原作先生とお散歩
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「美咲、よかったら二人で散歩に出掛けよう」
「えっ!いいんですか?」
「ああ。私が色んな所を案内してあげるよ」
「嬉しいです!エリックさんとお出掛けできるなんて」
原作のオペラ座の怪人エリックからのお誘いを受けた美咲は素直に喜んだが、同時に他のエリック達のことを考えて、眉を下げた。
「でも、みんなは・・・」
「心配ないさ。さ、早く準備しておいで」
原作先生に背中を押されながら、美咲は自分の部屋に戻って外へ出るためのドレスに着替え始めた。
美咲は知ることはなかったが、原作先生の圧倒的権力と圧力に押されたエロック達は、渋々ながらも外出を了承した。
***
いったん馬車に乗って、公園の手前で降りた。
革袋をしたエリックの手を取りながら、美咲は馬車から降りた。
がっしりしたエロックの手よりも細く華奢な彼の手は、力を入れたら折れてしまうんじゃないかと心配になるが、そこは奇術もオペラ座の秘密の通路を作ってしまうほどの繊細で、力強い、女性を支えられる男の手だった。
地面に足が着いたと同時に、ふんわりとドレスの裾が流れる。
顔を上げると、緑の森と湖がよく見える広い公園が一面に見えた。
「わあぁ・・・。すごく広い」
「それでは、行きましょう。マドモアゼル」
エリックは帽子をかぶり、片手で杖をつきながら、美咲の手を取ってゆっくり歩き始めた。
「こうやってゆっくりお散歩するの・・・久しぶりです。
そういえば、エリックさんがいた世界とこの世界は、エリックさんが知っている場所と違っていたりしませんか?」
「いや、場所の名前や景色はほぼ変わっていないよ。同じフランスだからかな」
「よかった。エリックさんは別の世界からいらっしゃったから、同じフランスでも、もし自分の馴染みのある場所と食い違ってたら、不安になるんじゃないかなぁって思っていたので」
「それは無いから、心配ないよ。
寧ろ、キミの方が国も時代も違う世界から来たのだから、最初は戸惑ったんじゃないかね?」
「ええ。一人だけだったら、きっと怖くなってわたし何もできなかったと思います。
でも・・・いつもエロックさんが一緒に居てくれたから、そういう心配も無くて・・・あ、でもやっぱりまだここの土地勘がなくって迷っちゃいそうで、一人では出掛けられません」
「キミはいつからあの男と一緒にいるんだ?」
「えーっと、途中途中で時代を飛び越えてしまってはいるんですが・・・最初はエロックさんがジプシーと一緒に暮らしていた子どもの時でしたね」
「子どもの時からだと!?」
「はい。あとはエロックさんがローマで建築の修行をしていた15歳くらいの時と、あとはマザンデランの時と・・・それで今に至ります」
「マザンデランの時・・・あんな危険な場所にまで、キミは彼と一緒にいたのか?」
信じられない、とでも言うように目を見開きながら原作先生は問う。
「はい。今までエロックさんと一緒にいた中でも、あの時が一番危なくて、どちらかといえば辛い事が多かったかもしれません。でもある程度時間が経った今では、大切な思い出でもあると思えるようになってきました」
原作のエリックでも、あの頃のマザンデランの薔薇の時代はできれば忘れたいと思うほど、辛い出来事だった。
残虐な趣向を持つ太閤を楽しませるために作られた拷問部屋が生み出されたのも、あれがきっかけだった。
美咲がマザンデランで実際にどんな経験をしたのか、詳細を聞かなくても自分は理解できる。
あそこは、こうして今でも醜い顔の自分の手を優しく握ってくれる純粋な美咲には相応しくない場所だ。
どうして―それほどまでに―・・・。
原作先生は美咲に問わずにはいられなかった。
「キミはどうして、それほどまでオペラ座の怪人が好きなんだ?」
「え?」
エリックからの唐突な質問に、美咲は彼の白い仮面で覆われた顔を見上げた。
「一緒に住んでいるあの男達は、随分キミの事を気に入っているように見えたからね。
でも、彼等だって私と同じように、仮面の下には醜い顔がある。
それを理解しておきながら、キミはどうして彼等と一緒にいられるんだろうか、と思ってね。普通の人間や・・・そして私が愛していたクリスティーヌでさえ、私を恐れたというのに・・・」
「わたしは・・・」
美咲はどう答えたらいいのか迷いながらも、口を開いた。
「えっ!いいんですか?」
「ああ。私が色んな所を案内してあげるよ」
「嬉しいです!エリックさんとお出掛けできるなんて」
原作のオペラ座の怪人エリックからのお誘いを受けた美咲は素直に喜んだが、同時に他のエリック達のことを考えて、眉を下げた。
「でも、みんなは・・・」
「心配ないさ。さ、早く準備しておいで」
原作先生に背中を押されながら、美咲は自分の部屋に戻って外へ出るためのドレスに着替え始めた。
美咲は知ることはなかったが、原作先生の圧倒的権力と圧力に押されたエロック達は、渋々ながらも外出を了承した。
***
いったん馬車に乗って、公園の手前で降りた。
革袋をしたエリックの手を取りながら、美咲は馬車から降りた。
がっしりしたエロックの手よりも細く華奢な彼の手は、力を入れたら折れてしまうんじゃないかと心配になるが、そこは奇術もオペラ座の秘密の通路を作ってしまうほどの繊細で、力強い、女性を支えられる男の手だった。
地面に足が着いたと同時に、ふんわりとドレスの裾が流れる。
顔を上げると、緑の森と湖がよく見える広い公園が一面に見えた。
「わあぁ・・・。すごく広い」
「それでは、行きましょう。マドモアゼル」
エリックは帽子をかぶり、片手で杖をつきながら、美咲の手を取ってゆっくり歩き始めた。
「こうやってゆっくりお散歩するの・・・久しぶりです。
そういえば、エリックさんがいた世界とこの世界は、エリックさんが知っている場所と違っていたりしませんか?」
「いや、場所の名前や景色はほぼ変わっていないよ。同じフランスだからかな」
「よかった。エリックさんは別の世界からいらっしゃったから、同じフランスでも、もし自分の馴染みのある場所と食い違ってたら、不安になるんじゃないかなぁって思っていたので」
「それは無いから、心配ないよ。
寧ろ、キミの方が国も時代も違う世界から来たのだから、最初は戸惑ったんじゃないかね?」
「ええ。一人だけだったら、きっと怖くなってわたし何もできなかったと思います。
でも・・・いつもエロックさんが一緒に居てくれたから、そういう心配も無くて・・・あ、でもやっぱりまだここの土地勘がなくって迷っちゃいそうで、一人では出掛けられません」
「キミはいつからあの男と一緒にいるんだ?」
「えーっと、途中途中で時代を飛び越えてしまってはいるんですが・・・最初はエロックさんがジプシーと一緒に暮らしていた子どもの時でしたね」
「子どもの時からだと!?」
「はい。あとはエロックさんがローマで建築の修行をしていた15歳くらいの時と、あとはマザンデランの時と・・・それで今に至ります」
「マザンデランの時・・・あんな危険な場所にまで、キミは彼と一緒にいたのか?」
信じられない、とでも言うように目を見開きながら原作先生は問う。
「はい。今までエロックさんと一緒にいた中でも、あの時が一番危なくて、どちらかといえば辛い事が多かったかもしれません。でもある程度時間が経った今では、大切な思い出でもあると思えるようになってきました」
原作のエリックでも、あの頃のマザンデランの薔薇の時代はできれば忘れたいと思うほど、辛い出来事だった。
残虐な趣向を持つ太閤を楽しませるために作られた拷問部屋が生み出されたのも、あれがきっかけだった。
美咲がマザンデランで実際にどんな経験をしたのか、詳細を聞かなくても自分は理解できる。
あそこは、こうして今でも醜い顔の自分の手を優しく握ってくれる純粋な美咲には相応しくない場所だ。
どうして―それほどまでに―・・・。
原作先生は美咲に問わずにはいられなかった。
「キミはどうして、それほどまでオペラ座の怪人が好きなんだ?」
「え?」
エリックからの唐突な質問に、美咲は彼の白い仮面で覆われた顔を見上げた。
「一緒に住んでいるあの男達は、随分キミの事を気に入っているように見えたからね。
でも、彼等だって私と同じように、仮面の下には醜い顔がある。
それを理解しておきながら、キミはどうして彼等と一緒にいられるんだろうか、と思ってね。普通の人間や・・・そして私が愛していたクリスティーヌでさえ、私を恐れたというのに・・・」
「わたしは・・・」
美咲はどう答えたらいいのか迷いながらも、口を開いた。