２人で自己紹介した後―

「現代で私は日本っていう島国に住んでて、１８歳の高校生だったんだ。」
「高校生？」
「学校のことだよ。」

美咲はエリックに自分が住んでいた日本のこと、学校のこと、現代の生活を話していた。
時節、羨ましそうな目で美咲の話を聞いているエリックに、「でも、学校行っても勉強はエリックほど頭よくなかったけどね…。」と言っておいた。


何故か…言えば言うほど…いたたまれなくなったから。

「別にいいじゃないか。僕はこんな顔でみんなから追い出されてる。おまけにジプシー達に見世物にされるくらいだ。…僕は一生、このまま人間に嫌われ続けるんだ。」

哀しい目をしてエリックは焚火に目を向ける。
エリックにとって、美咲のように゛普通゛の生活ができることを、誰よりも羨ましいと思っているのだろう。
自分も人並みに外の太陽を浴びたい。
何もしがらみもなく外で遊びたい。

そして

―誰かに愛されたい―

―それがエリックの１番の望み。

叶わない夢とわかっていても、望みを捨てきれないのだ。

そんなエリックに美咲は我慢できなくて、隣にいるエリックを思いっきり抱き締めた。
胸元で驚いた顔で目を見開いているエリックを余所に、さらにぎゅっと抱き締めた。

―そんなことないよ。
―エリックは…１人じゃないよっ！

そう伝えたくて。

「…エリックはとっても優しい子だよ。」

そう言って、ずっと小さなエリックを抱き締めていた―。