14話 最後は笑うだけ
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「うっ…ひっく…う゛ぅ…」
あれから―何分、何時間経ったのだろうか。
美咲はまだ、自室のベッドの上で蹲りながら、泣いていた。
それとは反対に、ベッド横の窓ガラスからは、明るい太陽の光がカーテン越しに優しく彼女を照らしていた。
知らなかった。
ルチアーナが…わたしのことをあんな風に思っていたなんて。
わたしのこと…大嫌いだって。
でもわたし…ルチアーナの勢いに負けて、彼女になにも言えなかった。
それが、すごく悔しい―。
勿論、ルチアーナにじゃない。言い返せなかった弱いわたしに対してだ。
そして何より一番悔しかったのは、知らない間に自分がルチアーナをひどく傷つけていたことに、気づいていなかったことだ。
ルチアーナは癇癪の激しい性格だ。
だからジョバンニさんはいつも、ルチアーナと同じくらい怒った口調でいつも彼女を諌めていた。
それは実の親子だからこそ、我が儘ができる娘の特権だ。
働きながら住んでいるエリックと違ってただの居候の私は、そんな我が儘を言っていい立場じゃない。
それでも、私はエリックと一緒にいたい。
そのためには、この家に住まわせてもらうしかないのだ。
だからこそ、極力ジョバンニさん達の迷惑にならないように、私でもできるくらいのお手伝いなら何でもした。
たとえそれが失敗したとしても、ジョバンニさんは怒鳴ることもなく、いつも優しい言葉をかけてくれた。
それが、私には素直に嬉しかった。
本当の父親でなくても、私を娘のように接してくれるジョバンニさんに。
でも…。
きっとルチアーナは、自分の父親が、娘でもないただの居候のわたしと仲良くしているのを見て、嫉妬していたのかもしれない。
わたしがジョバンニさんとエリックを奪う?
ううん、そんなことしないよ。するわけないじゃん。
でも、実の娘であるルチア―ナにとっては、わたしがいることが面白くないのだろう。
でもそうならわたし、どうしてルチアーナに何も言えなかったんだろ?
彼女の姉達のように、ルチアーナを怒らせるのが嫌だったから?
自分が逃げれば、争いを避けられると思ったから?
ルチアーナはわたしと違って、ああやって自分が思ったことを我慢しないでちゃんと言える。
それも彼女の場合は逆に、はっきり言い過ぎるくらいなほどだ。
でもルチアーナの欠点は、自分の本当の気持ちを相手に伝えられないことだけれど…。
わたしと同じ末っ子でも、姉妹の中では一番甘やかされて育ったから、彼女は"我慢する"ことを知らないのかもしれない―。
むしろ彼女の姉達の方が、妹のご機嫌を損ねないよう甘やかしていた―ということもあるのかもしれない。
…ん?
末っ子…?
それまで泣いていたはずだった美咲は、あることに気がついた。
―あぁ、そっか。
"お姉ちゃん"―って、こんな気持ちなんだ。
妹として生まれてきたわたしも、こうやってくだらないことでお姉ちゃんと喧嘩したことは元の世界で何度もあった。
大半の原因は妹のわたしの我儘だったかもしれない。
でも、姉がいてくれたおかげで、救われたことも、良かったこともいっぱいあった。
だったら今度は、わたしがお姉さんとしてルチアーナを助けてあげたい。
今はどうしていいのかわからなくても、いつか、ルチアーナが素直に自分の気持ちをエリックに伝えられるようにしてあげたい。
ここで逃げたら、お姉さん失格だもんね。
よし、行ってみよう。
まずはルチアーナに、私の気持ちをちゃんと伝えなくちゃ。
胸の中に抱えていたものが、泣いた分少しだけ軽くなった気がする。
頭も、最初より今は冷静に考えられるようになった。
美咲は落ち着きを取り戻すと、涙を拭って立ち上がった。
あれから―何分、何時間経ったのだろうか。
美咲はまだ、自室のベッドの上で蹲りながら、泣いていた。
それとは反対に、ベッド横の窓ガラスからは、明るい太陽の光がカーテン越しに優しく彼女を照らしていた。
知らなかった。
ルチアーナが…わたしのことをあんな風に思っていたなんて。
わたしのこと…大嫌いだって。
でもわたし…ルチアーナの勢いに負けて、彼女になにも言えなかった。
それが、すごく悔しい―。
勿論、ルチアーナにじゃない。言い返せなかった弱いわたしに対してだ。
そして何より一番悔しかったのは、知らない間に自分がルチアーナをひどく傷つけていたことに、気づいていなかったことだ。
ルチアーナは癇癪の激しい性格だ。
だからジョバンニさんはいつも、ルチアーナと同じくらい怒った口調でいつも彼女を諌めていた。
それは実の親子だからこそ、我が儘ができる娘の特権だ。
働きながら住んでいるエリックと違ってただの居候の私は、そんな我が儘を言っていい立場じゃない。
それでも、私はエリックと一緒にいたい。
そのためには、この家に住まわせてもらうしかないのだ。
だからこそ、極力ジョバンニさん達の迷惑にならないように、私でもできるくらいのお手伝いなら何でもした。
たとえそれが失敗したとしても、ジョバンニさんは怒鳴ることもなく、いつも優しい言葉をかけてくれた。
それが、私には素直に嬉しかった。
本当の父親でなくても、私を娘のように接してくれるジョバンニさんに。
でも…。
きっとルチアーナは、自分の父親が、娘でもないただの居候のわたしと仲良くしているのを見て、嫉妬していたのかもしれない。
わたしがジョバンニさんとエリックを奪う?
ううん、そんなことしないよ。するわけないじゃん。
でも、実の娘であるルチア―ナにとっては、わたしがいることが面白くないのだろう。
でもそうならわたし、どうしてルチアーナに何も言えなかったんだろ?
彼女の姉達のように、ルチアーナを怒らせるのが嫌だったから?
自分が逃げれば、争いを避けられると思ったから?
ルチアーナはわたしと違って、ああやって自分が思ったことを我慢しないでちゃんと言える。
それも彼女の場合は逆に、はっきり言い過ぎるくらいなほどだ。
でもルチアーナの欠点は、自分の本当の気持ちを相手に伝えられないことだけれど…。
わたしと同じ末っ子でも、姉妹の中では一番甘やかされて育ったから、彼女は"我慢する"ことを知らないのかもしれない―。
むしろ彼女の姉達の方が、妹のご機嫌を損ねないよう甘やかしていた―ということもあるのかもしれない。
…ん?
末っ子…?
それまで泣いていたはずだった美咲は、あることに気がついた。
―あぁ、そっか。
"お姉ちゃん"―って、こんな気持ちなんだ。
妹として生まれてきたわたしも、こうやってくだらないことでお姉ちゃんと喧嘩したことは元の世界で何度もあった。
大半の原因は妹のわたしの我儘だったかもしれない。
でも、姉がいてくれたおかげで、救われたことも、良かったこともいっぱいあった。
だったら今度は、わたしがお姉さんとしてルチアーナを助けてあげたい。
今はどうしていいのかわからなくても、いつか、ルチアーナが素直に自分の気持ちをエリックに伝えられるようにしてあげたい。
ここで逃げたら、お姉さん失格だもんね。
よし、行ってみよう。
まずはルチアーナに、私の気持ちをちゃんと伝えなくちゃ。
胸の中に抱えていたものが、泣いた分少しだけ軽くなった気がする。
頭も、最初より今は冷静に考えられるようになった。
美咲は落ち着きを取り戻すと、涙を拭って立ち上がった。