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独り言

救済





‪数日前に買ったモデルガンを寝る前に机の中から取り出して、スライドを引き、銃口を頭に向け、密着させる。
‪非日常的な銃の重さを感じながら死ぬ興奮を抑えつつ、目を瞑って今日の振り返り。‬
‪どれだけ今日を「最期の日」に設定して後悔のないよう精一杯生きても、いつだって後悔は付いて回る。‬
あれすればよかったなーとか、しなければよかったなーとか考えたりして、‬「今日死ぬんだから仕方ない」で片付ける。
「死」や「自殺」という不謹慎なワードランキング上位を争う行為をしているが、不思議と気分は悪くなかった。
家族の顔やクラスメイトの顔を思い出す。
決して悪い人たちじゃない、僕が適応出来なかっただけだ。
彼らは僕の死体を見てどう思うのだろうか。
そんな事を考えながら、ゆっくりとハンマーを下げる。
この音を聴いてると、いよいよ死ぬ気になる。
一瞬、怖くなってトリガーを引くことを躊躇ってしまう。
だけど、この恐怖を味わいたいんだ、今から僕は死ぬんだ、と気持ちを持ち直す。
それなりに平凡で不幸な人生だったよ。
そんな言葉を心の中で吐き捨てて、死の衝動のままにトリガーを引く。

カチッ

3秒間のフリーズ。
唐突な虚無感に襲われる。
モデルガンだから死ぬなんてこと、ありえない。
「疲れたな」
夢から醒めたような気持ちに浸りながら、掠れた声でそう言って、僕は眠りについた。
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