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独り言

愛してる





 君の寝息だけが静かに響く部屋。
 何となく君の頬に触れてみる。

 よく眠ってる。何をしても起きないだろう。まぁでも、それは当然のことで、夕飯の時に出したお茶に強力な睡眠薬を入れておいたのだ。
 すぅっと頬に触れていた手を首までなぞらせて、もう片方の手も首に添える。

「……」

 徐々に力を入れていく。
 心臓の音がやけにうるさい。自然と息が荒くなる。
 君は起きない。
 更に力入れる。
 まだ君は起きない。
 もっと力を入れる。
 それでも君は起きない。

 このまま君を殺してしまおう。
 君さえいなければ、僕はこんなに心を乱されることはなかった。

 力を強めようとしたが、それは叶わなかった。

 ……君の顔を見てしまった。
 愛おしい、君の顔を。

 力が抜け、首から手が離れる。
 あれだけうるさかった心臓の音が嘘みたいに静かになり、再びこの部屋は静寂に包まれた。

 乾いた笑みが零れる。

「君を殺せたら、どれほど救われることか」

 出逢わなければよかった。
 君の額に口付けをし、「愛してる」と言って部屋を出た。
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