第19話「自由」
「先日の検閲の件で、丸川書店から感謝すると連絡があった。」
連絡事項を読み上げる緒形の口から、淡々とその言葉は告げられた。
退屈し、半分眠りかけていた郁は一気に覚醒した。
定期的に行われる、図書特殊部隊の全体会議。
シフトの関係などで、特殊部隊が全員が一同に揃うことはめったにない。
そんなメンバーが全員揃う貴重な日だ。
賑やかなのが好きな郁は、実は秘かにこの会議が好きだったりする。
だが内容が事務的な業務連絡が多いことが難点だ。
どうしても少しすると、眠気が差してくる。
さすがに眠るのはあんまりなので、必死に目を開けていようとする。
だがそれに気を取られて、終わってみたら内容のかなりの部分が入っていなかったなんてこともある。
残念ながら堂上には、それが見透かされているらしい。
重要な議題の時にはトントンと肩を叩かれ「ここはちゃんと聞け」と耳打ちされたりする。
今回もそろそろ眠くなってきたと思った時、それは告げられた。
「先日の検閲の件で、丸川書店から感謝すると連絡があった。」
緒形の口から、淡々とその言葉は告げられた。
ちなみにこの会議は基本的には、緒形が進行する。
玄田は横にドンと構えていて、たまに口を挟む程度だ。
本人曰く「いざというときのために緒形に隊長らしいことをやらせておく」とのこと。
だが実際は単に細々した仕事が面倒なだけだろうと、全員が考えている。
退屈し、半分眠りかけていた郁は一気に覚醒した。
そして数日前のあの検閲を思い出す。
丸川書店の人気漫画「ザ☆漢」とエメラルドの新作「図書館戦争」。
この2つを奪うために、良化隊は結構な数の人員を送り込んできた。
いつにない激しい戦闘で、かなり攻め込まれたのだ。
かろうじて何とか守り切った頃には、郁だけでなく何人かがその場に座り込んでしまうほど疲弊していた。
「ありがとうございました。これからも色々あるのでよろしくお願いします、とのことだ。」
それを聞いた郁は、笑顔になった。
検閲で本を守ることはあるけれど、お礼を言われることは案外少ない。
言われないと感謝されていないなんて思わないけれど、やっぱり言葉はテンションを上げてくれるのだ。
だがすぐに違和感に気付いた。
これからも色々って、どういう意味?
「丸川書店はあの2作品をここで終わらせないってことだろ。」
首を傾げた郁に、堂上がそっと耳打ちしてくれた。
検閲対象になった「ザ☆漢」はすでに連載休止中。
1回しか掲載していない「図書館戦争」もそうなることは予想できる。
そうしなければ他の作品が出せなくなるからだ。
ファンのみならず、本を愛するすべての人たちがそのことを残念に思っていた。
だけどジャプン、エメラルドの両編集部は諦めていないのだ。
これからも色々という短い言葉に、その決意が込められている。
郁はポツリと「絶対に守らなきゃ」と思ったつもりが、その言葉は見事にダダ漏れていたようだ。
堂上は厳しい口調で「静かに」と告げたが、その口元は笑っていた。
だがそんないい雰囲気で終わらないところが、郁の郁たる所以だ。
いくつかの短い連絡事項の後、緒形は「茨城県立図書館に出動する」と告げたのだ。
郁は盛大に悲鳴を上げることになり、怒った堂上に口を押えられることになった。
連絡事項を読み上げる緒形の口から、淡々とその言葉は告げられた。
退屈し、半分眠りかけていた郁は一気に覚醒した。
定期的に行われる、図書特殊部隊の全体会議。
シフトの関係などで、特殊部隊が全員が一同に揃うことはめったにない。
そんなメンバーが全員揃う貴重な日だ。
賑やかなのが好きな郁は、実は秘かにこの会議が好きだったりする。
だが内容が事務的な業務連絡が多いことが難点だ。
どうしても少しすると、眠気が差してくる。
さすがに眠るのはあんまりなので、必死に目を開けていようとする。
だがそれに気を取られて、終わってみたら内容のかなりの部分が入っていなかったなんてこともある。
残念ながら堂上には、それが見透かされているらしい。
重要な議題の時にはトントンと肩を叩かれ「ここはちゃんと聞け」と耳打ちされたりする。
今回もそろそろ眠くなってきたと思った時、それは告げられた。
「先日の検閲の件で、丸川書店から感謝すると連絡があった。」
緒形の口から、淡々とその言葉は告げられた。
ちなみにこの会議は基本的には、緒形が進行する。
玄田は横にドンと構えていて、たまに口を挟む程度だ。
本人曰く「いざというときのために緒形に隊長らしいことをやらせておく」とのこと。
だが実際は単に細々した仕事が面倒なだけだろうと、全員が考えている。
退屈し、半分眠りかけていた郁は一気に覚醒した。
そして数日前のあの検閲を思い出す。
丸川書店の人気漫画「ザ☆漢」とエメラルドの新作「図書館戦争」。
この2つを奪うために、良化隊は結構な数の人員を送り込んできた。
いつにない激しい戦闘で、かなり攻め込まれたのだ。
かろうじて何とか守り切った頃には、郁だけでなく何人かがその場に座り込んでしまうほど疲弊していた。
「ありがとうございました。これからも色々あるのでよろしくお願いします、とのことだ。」
それを聞いた郁は、笑顔になった。
検閲で本を守ることはあるけれど、お礼を言われることは案外少ない。
言われないと感謝されていないなんて思わないけれど、やっぱり言葉はテンションを上げてくれるのだ。
だがすぐに違和感に気付いた。
これからも色々って、どういう意味?
「丸川書店はあの2作品をここで終わらせないってことだろ。」
首を傾げた郁に、堂上がそっと耳打ちしてくれた。
検閲対象になった「ザ☆漢」はすでに連載休止中。
1回しか掲載していない「図書館戦争」もそうなることは予想できる。
そうしなければ他の作品が出せなくなるからだ。
ファンのみならず、本を愛するすべての人たちがそのことを残念に思っていた。
だけどジャプン、エメラルドの両編集部は諦めていないのだ。
これからも色々という短い言葉に、その決意が込められている。
郁はポツリと「絶対に守らなきゃ」と思ったつもりが、その言葉は見事にダダ漏れていたようだ。
堂上は厳しい口調で「静かに」と告げたが、その口元は笑っていた。
だがそんないい雰囲気で終わらないところが、郁の郁たる所以だ。
いくつかの短い連絡事項の後、緒形は「茨城県立図書館に出動する」と告げたのだ。
郁は盛大に悲鳴を上げることになり、怒った堂上に口を押えられることになった。
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