第13話「新年会」
「うひゃあぁぁ!!」
郁は思わず意味不明が声をあげてしまい、慌てて両手で口を押さえる。
だがすでに遅く、頭には堂上の拳骨が炸裂していた。
年が明けた1月、特殊部隊はとある任務を受けた。
丸川書店が主催する新年会の護衛だ。
ホテルのイベントホールを借り切って作家たちを招待するもので、かなりの人数が集まる。
出席するのは作家と編集者だけでなく、映像化やゲーム化に関わったクリエイターや印刷会社の社員など。
とにかく丸川書店のコミックスに関わる人間が、一同に会するのだ。
通常、出版社のパーティに特殊部隊が出ることなどない。
だが今回は特別だった。
丸川書店で最も売れている漫画が、検閲対象になった。
良化法賛同団体が何か仕掛けてくる可能性があると危惧されたのだ。
堂上班もその任務に就き、パーティ会場にまぎれ込んでいた。
なるべく警護している感じを出さずに、さりげなく。
それが丸川書店側の依頼だった。
そして郁は、会場で上ずりまくっていた。
とにかく華やかなのだ。
女性たちは豪華にドレスアップして、ヘアもメイクもバッチリ決めている。
男性はみな普通にスーツだが、明るい色のネクタイなどを選んでいるのだろう。
色とりどりの衣装や、女性たちのつけているアクセサリーが揺れて煌めいている。
それだけでも充分だったのに、さらに。
「エメラルド編集部よ~!!」
どこからともなく黄色い声がした。
思わずそちらを見ると、イケメン集団がにこやかに微笑みながら会場を歩いている。
編集長の高野を筆頭に、羽鳥、木佐、美濃、そして律。
1人だけでも美人でスタイルもよく、モデルやタレントと見まごうほどの容姿端麗。
それが5人揃っているのだ。
思わず「うひゃあぁぁ!!」と声が出てしまった。
咎める堂上の拳の痛みさえ、感じないほどの衝撃だ。
ああ、写真撮りたい。
柴崎が堂上班の写真は高く売れるって言っていたけど、この衝撃は比じゃないよ。
戦闘職種には絶対に出せないって、この優雅さは!
郁の心の叫びは見事にダダ漏れており、堂上はもう1度拳骨を落とした。
だが別のところから上がった歓声が、またしても痛みを掻き消してしまう。
「ジャプンの編集長と、伊集院先生よ~!!」
その声の方を見た郁は、またしても「うひゃあぁぁ!!」と声を上げる。
エメラルド編集部の面々より少し年齢が上だが、その分深みを感じさせるイケメンが2人。
またしても「写真、撮りたい」と呟いた後、郁はあの人がそうなのかと思った。
伊集院響。
大人気漫画であり、先日検閲対象になってしまった「ザ☆漢」の作者だ。
あの人を守るのが、今日の仕事。
上ずってしまった気持ちを引き締めた郁の耳元で、堂上が「絶対に守るぞ」と告げる。
郁は「了解です」と答えながらも、丸川書店の採用基準は容姿なのかと思わざるを得なかった。
郁は思わず意味不明が声をあげてしまい、慌てて両手で口を押さえる。
だがすでに遅く、頭には堂上の拳骨が炸裂していた。
年が明けた1月、特殊部隊はとある任務を受けた。
丸川書店が主催する新年会の護衛だ。
ホテルのイベントホールを借り切って作家たちを招待するもので、かなりの人数が集まる。
出席するのは作家と編集者だけでなく、映像化やゲーム化に関わったクリエイターや印刷会社の社員など。
とにかく丸川書店のコミックスに関わる人間が、一同に会するのだ。
通常、出版社のパーティに特殊部隊が出ることなどない。
だが今回は特別だった。
丸川書店で最も売れている漫画が、検閲対象になった。
良化法賛同団体が何か仕掛けてくる可能性があると危惧されたのだ。
堂上班もその任務に就き、パーティ会場にまぎれ込んでいた。
なるべく警護している感じを出さずに、さりげなく。
それが丸川書店側の依頼だった。
そして郁は、会場で上ずりまくっていた。
とにかく華やかなのだ。
女性たちは豪華にドレスアップして、ヘアもメイクもバッチリ決めている。
男性はみな普通にスーツだが、明るい色のネクタイなどを選んでいるのだろう。
色とりどりの衣装や、女性たちのつけているアクセサリーが揺れて煌めいている。
それだけでも充分だったのに、さらに。
「エメラルド編集部よ~!!」
どこからともなく黄色い声がした。
思わずそちらを見ると、イケメン集団がにこやかに微笑みながら会場を歩いている。
編集長の高野を筆頭に、羽鳥、木佐、美濃、そして律。
1人だけでも美人でスタイルもよく、モデルやタレントと見まごうほどの容姿端麗。
それが5人揃っているのだ。
思わず「うひゃあぁぁ!!」と声が出てしまった。
咎める堂上の拳の痛みさえ、感じないほどの衝撃だ。
ああ、写真撮りたい。
柴崎が堂上班の写真は高く売れるって言っていたけど、この衝撃は比じゃないよ。
戦闘職種には絶対に出せないって、この優雅さは!
郁の心の叫びは見事にダダ漏れており、堂上はもう1度拳骨を落とした。
だが別のところから上がった歓声が、またしても痛みを掻き消してしまう。
「ジャプンの編集長と、伊集院先生よ~!!」
その声の方を見た郁は、またしても「うひゃあぁぁ!!」と声を上げる。
エメラルド編集部の面々より少し年齢が上だが、その分深みを感じさせるイケメンが2人。
またしても「写真、撮りたい」と呟いた後、郁はあの人がそうなのかと思った。
伊集院響。
大人気漫画であり、先日検閲対象になってしまった「ザ☆漢」の作者だ。
あの人を守るのが、今日の仕事。
上ずってしまった気持ちを引き締めた郁の耳元で、堂上が「絶対に守るぞ」と告げる。
郁は「了解です」と答えながらも、丸川書店の採用基準は容姿なのかと思わざるを得なかった。
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