第一話 「挑戦」
01
軽やかに跳ねる髪、動きにあわせてふわりと膨らむ袖。
床を踏むシューズの音は時々リズムからはみ出すけれど、それすらも藍良のダンスの個性として光る。
大きく手を広げるたびに、まるで周りの空気までも一緒に踊っているように見える。
藍良に言わせれば「まだまだ」で「完璧じゃない」らしいけれど、それがいい。懸命に音に追いつこうとしてつま先を跳ね上げる仕草や、楽しそうに踊っている姿は見ているだけで胸が温かくなる。
愛らしい、を身体いっぱいに表現している姿。
一彩は気づけば、その姿を視線で追いかけていた。冷たいドリンクが体内に流れることで、身体が火照っていることを自覚した。
「ふえェ……マヨさんの扱きしんどすぎィ」
藍良が肩で息をしながら隣に座り込む。一彩は藍良のぶんのドリンクを手渡した。ふと触れた手が柔らかい。ごくごくと飲み下す喉、首筋を伝う汗をつい見つめてしまう。
ぐいっと髪をかき上げる仕草に、思わず瞬きをする。その時の感情に名前をつけられないまま、隣にいる藍良の体温だけがじんわりと近く感じられた。
二人の目の前では、マヨイが巽のレッスンに移っていた。先輩たちのダンスを眺めながら、一彩が口を開く。
「藍良は、僕のこと好き?」
見つめたら、藍良が「は?」という顔をして振り返った。当然だろう。
「好き、だけど。……何? どうしたの?」
また何か変な事言ってる、と藍良の声が笑っている。
一彩はその返事を聞いて口角を上げた。上手く笑えていたかは分からない。口から滑り出てしまった言葉を、無かったことにする方法なんて無いのだから。
Les Monique -レモニカ-
軽やかに跳ねる髪、動きにあわせてふわりと膨らむ袖。
床を踏むシューズの音は時々リズムからはみ出すけれど、それすらも藍良のダンスの個性として光る。
大きく手を広げるたびに、まるで周りの空気までも一緒に踊っているように見える。
藍良に言わせれば「まだまだ」で「完璧じゃない」らしいけれど、それがいい。懸命に音に追いつこうとしてつま先を跳ね上げる仕草や、楽しそうに踊っている姿は見ているだけで胸が温かくなる。
愛らしい、を身体いっぱいに表現している姿。
一彩は気づけば、その姿を視線で追いかけていた。冷たいドリンクが体内に流れることで、身体が火照っていることを自覚した。
「ふえェ……マヨさんの扱きしんどすぎィ」
藍良が肩で息をしながら隣に座り込む。一彩は藍良のぶんのドリンクを手渡した。ふと触れた手が柔らかい。ごくごくと飲み下す喉、首筋を伝う汗をつい見つめてしまう。
ぐいっと髪をかき上げる仕草に、思わず瞬きをする。その時の感情に名前をつけられないまま、隣にいる藍良の体温だけがじんわりと近く感じられた。
二人の目の前では、マヨイが巽のレッスンに移っていた。先輩たちのダンスを眺めながら、一彩が口を開く。
「藍良は、僕のこと好き?」
見つめたら、藍良が「は?」という顔をして振り返った。当然だろう。
「好き、だけど。……何? どうしたの?」
また何か変な事言ってる、と藍良の声が笑っている。
一彩はその返事を聞いて口角を上げた。上手く笑えていたかは分からない。口から滑り出てしまった言葉を、無かったことにする方法なんて無いのだから。
Les Monique -レモニカ-
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