第11話
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ただそっと、優しく触れるだけのキス。
どくんどくん、と緊張で心音が聞こえる
しばらく重なるそれに、少しずつ息が苦しくなってきて薄目を開けてみると、
綺麗な瞳と目が合い、じっくり見られていたと気づくと恥ずかしくて顔を背けようとしたが
チロ、と杏寿郎さんの舌先が私の唇を舐めた。
「ん、…んん!」
ぐい、と舌で唇をこじ開けられて歯列をなぞり舌を吸われた。
甘い痺れに身体がビクッと反応した
逃げても逃げても追いかけて絡めとられる
しばらくそのまま貪られていて、すごく長い時間に感じた。実際はどのくらいだったのか定かではないけれど。
下にいる私に必然的に唾液が降りてきて、飲み下すが溢れて顎を伝う。
満足したのか、舌先を吸ってから離れていった。
はぁはぁと乱れた息を整えていると先ほど顎を伝った唾液を舐め取られる。
ぬるりと舌が這ったあとが冷たくピクリと身体が跳ねる
熱の篭った瞳で見つめられる
杏寿郎さんは、どうして、
「…は、なんて顔をしてるんだ。
そんな顔されたら、やめてやれないぞ…?」
「っなんで…?」
こんなこと、
「うーむ、君には直接言葉にしないと伝わらないようだ!
俺は、君の事が「姉上ー?そろそろ…っあ、兄上!す、すみませんでした…!!!」
………うむ」
お互いに気まずい空気だ。
悪気はなかったにしろ、すごいタイミングだ。
杏寿郎さんも私に背を向けているが、背負っているオーラが落ち込んでいるように見える。
……、君の事が。
その続きがわからないほど疎くない。
ほんとうに?
でも、私、杏寿郎さんに言えないこと、たくさんあるんですよ?
また、あんな目に遭うのは、いやだ
ごほん、と咳払いの音にハッとして杏寿郎さんを見るといつもの笑みに戻っていた。
「美音、」
「…すみません!!ちょっと予定を思い出したので、今日はもう帰らせていただきますね!…千の具合がまた悪くなってしまったら呼んでください!」
ごはんを作ってくれた千には大変申し訳ないけど…!
そうして私は、杏寿郎さんの顔をみれないまま部屋を出てそのまま煉獄邸をあとにした。