平子真子逆トリ(仮)
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平逆トリ9(仮)
「なァ、台所見たら朝飯も作りかけやったけど俺やろか?」
お茶を淹れて戻ってきた平子さんは先程の様子が嘘みたいにケロッとしていた。
「平子さんて料理も出来るんですか……?」
「簡単なンくらいはなァ」
「指の怪我もあるので正直めちゃくちゃ助かります、が平子さんは傷大丈夫ですか……?」
平子さんには失礼だが料理まで出来るとは思ってもなかったのでびっくり。
それはそれとしてやっぱり平子さんの傷が心配だ。料理くらいで悪化しないのかもしれないが、もししたらどうしよう。
「もう血ィも止まっとるし少しくらい平気や平気」
こちらを見ながら軽く肩を回す仕草をする平子さん。
確かに、指を怪我した人間が料理するよりは衛生的にも幾らか安心だろう。
「……ではお言葉に甘えて……」
と、言いかけてお腹が鳴ってしまった。割と冗談抜きに大きな音で自分でも恥より驚きが勝った。
平子さんの方を見てお腹を擦りながらへらりと笑う。
それを受けて平子さんはニヤリと笑った。
「そないアピールされてもうたら、そらもう大急ぎで作らんとな」
そう言って平子さんは部屋を出ていく。
私は残りのお茶をグイッと飲み干して、部屋の片付けに取り掛かることにした。
平子さんの料理を黙って待っていられるわけありますまい。
三十分くらい経っただろうか。
あれほど散らかっていた床はすっかりスッキリと片付き、机の上には出来上がったばかりの遅めの朝食が並んでいた。
白米、味噌汁、焼鮭。
シンプルイズベスト……!!
一昨日のスーパーの鮭が安くて良かった!!
平子さんの焼いた鮭が食べられるなんて!!
平子さんの刻んだ野菜、溶いた味噌の味噌汁が飲めるなんて!!
平子さんのよそった白米が
「なんや拝んでないではよ食べ」
いただきますではなく合掌をして、この世へ現れた平子さんという神への有難みに感涙していたところを頭頂部への手刀で引き戻される。
「すみません、いただきます!」
美味しい!!
自分で作る何億倍も美味しい!!
平子さんが作ったと思うともうどんな食事より美味しい!!
最後の晩餐はこれにしてください。
「食べながら泣くなや……不味いんかと思うやろ」
「美味しすぎて泣いてます……私は世界一幸せです」
「さよか……」
ああ、平子さんの呆れ顔で更に幸福度がアップ!!
天井知らずですね!! 召されそう。
