平子真子逆トリ(仮)
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
平逆トリ44(仮)
あれから数ヶ月。何度も夜笹さんとデートを重ね、最近はお家デートもする仲に。……流石に夜笹さん家限定だが。
しかし困ったことがある。
何をするにも平子さんとの遣り取りがよぎること。
手を握っても平子さんの手を思い出すし、肩を抱き寄せられても平子さんの腕を思い出す。この間なんか、キスしかけたのに平子さんを思い出して、気付かないふりをして避けてしまった。違和感バリバリである。
「ねー、答えたくなかったらいーんだけどさー……。オレ、なんかしたー……?」
横でソファに体育座りをした夜笹さんが、こてんと首を傾げて上目遣いに聞いてくる。あざとい。他に形容できない。
「いえ、何もしてないですよ」
「じゃあ避けられてる気がするのは気のせいー?」
思わず棒読みで返してしまった私に更なる追撃。
しかしながら流石に言えない。言えるわけがない。言ってしまったら終わりだ。
つい、へらへらと笑う。
「……」
目一杯笑って目を閉じていたが、謎の圧に目を開けると、鼻先すれすれまで夜笹さんの顔が迫っていた。赤みを帯びた瞳と至近距離で目が合う。腰に腕が周り、頬に手が添えられて、口に息がかかってからやっと、何が起こるか理解した。
反射的に胸を押し返すがびくともしない。
この期に及んで思い出したのは平子さんの所作だった。平子さんならどうするか、どう触れて、どう動くか。でも今触れそうなのは別の人。追い付かない頭に思考を放棄して目をぎゅっと閉じた。
「……」
いつまで経っても唇は降ってこない。
それどころかふっと手が解かれた。
「やーめたー」
「え」
「……明らさまにほっとしちゃってー」
夜笹さんが私の鼻先を摘む。
「そ、そんなこと……」
無いとは言えなかった。確かにホッとしたのだ。何も無くて。
「……別れよっか」
「……え?」
聞き間違いかと思った。また、プリクラの時に聞いた、低く小さな声で話すから。
「別れようって言ってるのー」
今度はいつもの明るくはっきりした声で、しっかり聞き取れてしまった。なんだか嘘みたいに全部ふわふわして、聞き取れても話の内容が入ってこない。
ここ数ヶ月楽しかった。ちゃんと楽しかったのだ。
さっき拒絶したのは私なのに、なんで涙が出るんだろう。
「まさか、泣いてくれるとは思わなかったなー」
涙の向こうには苦笑いする夜笹さん。
「誤解しないでねー、キス出来ないから別れるとかじゃないよー」
「はい」
自分が一番分かっている。
いや、分かった。
結局私の気持ちは変わらないのだ。
「応援してるよ」
最後に頭を撫でてくれたこの手は絶対に忘れまいと思った。
「じゃあねー、天崎さんにはオレから報告するからー」
夕陽の差す中、いつものゴミ捨て場前まで送ってもらい、夜笹さんに手を振って家に入る。
「ただいま帰りました」
「おう、おかえり」
さらりとしたお迎えの言葉。
改めて気持ちを自覚してしまえばそれさえ喜ばしい。少し前まで夜笹さんと仲良く過ごしていたのになんて都合がいい頭なんだろう。呆れて反吐が出る。
「平子さん、初恋人とお別れしました」
「……さよか」
やっぱり素っ気ない。前みたいな距離感に戻りたい。けど、それも私が拒絶したんだった。
「あの、以前優しくしていただいたのに怒っちゃって」
"ピンポーン"
「あ、私出ます……」
"ゴッ"
出た瞬間覚えのある衝撃。すぐに扉の外へ髪を引っ張られる。続けざまに二、三発お腹に食らって立てそうにない。引き摺られて膝も多分擦りむけた。
「なんしてんねん!!」
薄ぼんやりとした視界で見ると、平子さんがうちの親に掴み掛っているのが見える。
そんなことしなくてもいいのに、という気持ちと嬉しい気持ちが綯い交ぜになって、また涙が出てきた。
少し口論になったようだが、気の小さいうちの親はすぐにいなくなった。
「意識あるか?」
問われて首を縦に振ると、背中と膝裏に手を回し抱き上げられる。
「……またご迷惑かけてすみません」
「口切れとるんやから無理しなや」
確かに、口内には血の味が拡がっていた。
「ホンマは自分の親、何発かぶん殴ってやりたいねんけど、このご時世あかんねやろ?」
ぶんぶんと首を縦に振る。
「堪忍な」
苦々し気に謝る平子さんは何も悪くないのに、なんで謝るんだろう。でもやっぱりなんだか嬉しいのは私が歪んでいるんだろうか。
そうこう考えていると、ベッドに座らされて口の中にガーゼを突っ込まれる。
「またちょっと辛抱してや」
手当のためとは分かっていても好きな人の前で口を開けたままは恥ずかしい。余計に顔に血が集まりそうだ。前の通りなら一時間半くらいはこのまま。恥ずかしいにも程がある。
