平子真子逆トリ(仮)
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平逆トリ4(仮)
「そういえば平子さん、お風呂どうします?」
平子さんは一瞬目を輝かせたが直ぐに眉を顰めた。
「入りたいのは山々やけど傷がなァ……」
そうだった。まだ止血して大して時間も経っていないのだ、流石に傷口が開く。しかし土埃に塗れていらっしゃるし、ゴミ捨て場に倒れていらっしゃったし、血塗れだったし、そんなこんななのでやっばりさっぱりはしていただきたい。
「じゃあ身体は拭いて頭だけ洗うのはどうですか?」
「おっ、ええなァそれ」
平子さんの瞳に輝きが戻る。
そうですよね、さっぱりしたいですよね。
うんうん、と心中で頷いた。
なんなら私もお風呂に入れていないことを思い出した。
私は絶対的に後だけれど。
「よし、じゃあお風呂場へどうぞ!」
いや待てよ?
平子さんをお風呂場に誘導して手拭い等をちゃっちゃか準備してから思った。
これって、背中拭くの私じゃない?
「……」
無理無理無理無理無理無理無理無理無理。
推しの半裸見るの? 無理ですよ?
なんで平子さんはそんな涼しい顔して待ってるんですか????
「もう脱いでええか?」
いや駄目です。
喉まで出かかった本音を生唾と共に飲んで、気合いを入れ直す。
不純な思考をしている場合ではないだろう自分。平子さんが不快な思いをなさっている訳だから、迅速に対応しなければならないだろう。
顔をバチンと両手で叩く。
平子さんにはもちろんギョッとされました。2度目ですねそのお顔。
「ばっちこいです」
「目ェが座ってんで……」
なんなんだと不審がりつつも平子さんは死覇装から腕を抜いて、上半身は羽織を割いて縛った止血中の布のみになる。
「では前はご自分でお願いしますね」
熱々のお湯で絞った手拭いを平子さんに渡して、自分用も絞って背中を拭いていく。
月並みだが無駄のない均整のとれた身体付きとはこういうことを言うのだろうか。かなり痩せ型ではあるだろうがしっかり筋肉も付いていて、拭いていてごつごつする。
時々前に流した長い
実際夢かもしれないような出来事なのだが。
「……痒いところとかないですか?」
「ナイナイ。気持ちええわァ……」
平子さんはこくこくと頷いて、ほうと息を吐いた。
上半身を拭き終わり、今度は髪を洗うために空の湯船に入ってもらう。そこからにゅっと頭だけ出してもらい、桶に毛先を入れてシャワーでお湯を丁寧にかけてゆく。
髪が、柔らかい……!
本当に髪の毛なのか疑う程とろとろとした手触り。
何食って何でメンテナンスしてたらこんな手触りになるの……!?
表向きは冷静さを保ちながら粛々と洗髪するが、うちの安いシャンプーでこんなことして良いのだろうかと罪悪感が湧いてくる。せめてもの気持ちに出来るだけ丁寧に、丁寧に洗う。
「頭も痒いところないですか?」
「いや、大丈夫。自分上手いなァ、丁度ええ塩梅や」
ふわりとした優しい声。
つい先程までの罪悪感はどこへやら、何とも誇らしい気持ちが湧き上がってきた。平子さんは褒め上手かもしれない。ウキウキとマッサージなんかしながら続ける。頭皮だけでなく長い髪も毛先までふわふわと擦らないように気を付けて洗う。
一度着いた勢いは止まらず同じように丁寧にトリートメントまで終わらせてやっと一息ついた。
髪を軽く絞りバスタオルで包む。
ここまで長丁場になるなら頭から先に洗うべきだったかもしれない。
バスタオルを平子さんに支えてもらい、いそいそと扇風機の前まで先導する。肩に乾いたバスタオルを掛けてもらい、床にもバスタオルを敷き、トントンと水気を取っていく。
「髪がある程度乾いたら着るものも何か探しますね!」
「おおきに、ホンマありがとうな」
何だかお風呂で色々ほぐれたのか平子さんの態度が軟化している気がする。
何となし頬が緩んだ。
それなりに時間を要したが水分をある程度取れたので平子さんには私の大きめのハーフパンツとTシャツを渡して着替えてもらった。
さあ、いよいよドライヤーの時間だ。
仕事着から着替えてもいないことに今気付きつつ、腕まくりをして取り掛かる。
たっぷり1時間ほどかかってドライヤーは終了した。
扇風機が非常に涼しい。汗だくである。
ついに私のお風呂のターンが来たので、もうクタクタだがお風呂へ入る。入るのだ。気合いだ。
「平子さん先に寝ててもいいですからね」
と言い残して部屋を出た。
寝る場所のことなど考えもせずに。
