平子真子逆トリ(仮)
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
平逆トリ30(仮)
昨日はあのままいつものように過ごして眠った。
今日からまた仕事だ。
だがしかし。
それ以上に問題があった。
平子さんを好きなことを自覚したのはいいのだが、そもそも告白する前から失恋している件について。
「忘れモンとかないか?」
「多分大丈夫です! 行ってきます!」
「おう、気ィ付けてなァ」
まるでお母さんと子どものような遣り取りのあと出発。
念の為合鍵も渡しておいたが、平子さんは多分今日一日ゲームをして時間を潰すのではないかと思う。
とか呑気に考えてる間じゃあありませんね?
最初から失恋前提の恋なんて誰がしたいんだ。流石にそんなモノ好きじゃあない。
「諦めるために他所に目を向けるべき……?」
でもあんな麗しい人がそばにいて他に目を向けるのって無理じゃない?
……合コンとか行くべきなんだろうか……。
出勤前から仕事とは別のことでこんなに頭を悩ませることになろうとは。
それに昨日のことを謝り損ねた。いい歳して泣いてばかりな気がする。そのせいか軽く頭痛もする。頭痛薬を飲んでくるべきだった。
出勤して一番に上司の嫌味な目線。
まああれだけ休めば睨みたくもなるか。
気付かぬふりをしてにっこり笑顔で挨拶をする。横を通り抜けて制服に着替え、店中のテーブルを拭いてまわる。
もうここまでで分かるだろうが、私の職場は飲食店だ。
飲食店なんていつでも人手不足みたいなものなのだから有給なぞ使われたくないのくらい分かっていた。
「昏水さん、顔色悪いけど大丈夫?」
みんなが冷ややかな目線の中、優しく声を掛けてくる人物。一人しか思い当たらない。
「ありがとうございます。大丈夫ですよ、天崎さん」
「そう? ならいいんだけど……」
あ、いるじゃん。平子さんにもいくらか釣り合う丁度いい人。……いや、いくらか、はだいぶ失礼だな。
それにこの人も誰かとどうこうなる想像なんてつかない人だ。
「あ、休んでる間に夏のメニューに変わったから目を通しておいてね」
「はい」
「……」
だあああああ疲れた!!
なんだ今日の忙しさは!!
しかもこの店絶対おかしいんだよ。昼休み挟んで夜まで交代無しで働いて、夜中まで翌日の準備させられてから退勤なんだ。しかも途中でタイムカード切らされるから残業代もフルでは出ない。労基に訴えたら一発な気がする。それなのに残業がいつも決まった二人か三人だけとかだから不満を言う人が少なくて、労基に訴える暇もなけりゃ勇気もない。だからそのまま超ブラック企業。
案の定、今日も私と天崎さんだけが残業だった。
「お疲れ様、昏水さん」
「お疲れ様です」
スッと天崎さんの横をすり抜ける。
「あっ、ねぇ!」
「はい?」
「顔色悪かったし、時間もいつもより遅いから送るよ」
突然呼び止められてなんだと思ったら……。
確かに今日はいつもより更に時間が遅い。平子さんも今頃心配しているだろうか。
「えっと、じゃあお言葉に甘えて……」
「うん、じゃあ店の前に車回すから待っててね」
「今日やたら忙しかったねぇ」
天崎さんがけらけらと笑う。
そんな涼しい顔してるのあなたくらいですよ。
私は今から明日の筋肉痛が怖い。
「そうですね、正直バテました」
「あんまり時間ないけど朝の出勤までゆっくり休んでね」
「そうします。……あ、そこのゴミ捨て場の前で大丈夫です」
天崎さんはにこりと頷いて停車してくれた。
お礼を言って車を降り、運転席側に回ってもう一度お礼とおやすみなさいの挨拶をする。
「心配だから部屋に入るの見届けてから行くね」
「何から何までお気遣いありがとうございます」
部屋の扉の前まで行くと、ちょうど影になる場所に平子さんがいた。
「何してるんですか?」
「……」
「? とりあえず家入りましょ」
部屋に平子さんを押し込んで、最後に振り返って天崎さんに手を振る。天崎さんはにっこり手を振り返して走り去っていった。
天崎さんから平子さんがチラッと見えたかもしれないが天崎さんなら噂などするまい。
とりあえず平子さんと晩ご飯だ。
