平子真子逆トリ(仮)
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平逆トリ28(仮)
何回目だっけか。
平子さんに抱きしめられて寝てしまったのは。
もう慣れてしまった平子さんの匂い。首元に鼻を寄せる。今日はまだカーテンも開けていないのに日向ぼっこでもしたような匂いがした。
匂いまで温かい。
まだ残る眠気に微睡みながら擦り寄る。
温かくて心地が良い。
……どうしよう。
好きかもしれない……。
推しだからじゃなくて、これは。
自覚した途端、顔が火照るのを感じた。
あれだけ好き好き可愛いと距離バグしていたわりに推しとして崇めていたというか、敬愛していたというか。兎に角、今の気持ちとは違っていたはずなのだ。
けれど、自覚してしまった。
いったいいつからか分からないが、私はどうやら平子さんが好きらしい。恋しちゃってる、という意味で。
どうしよう。
気付けばもう気恥しいが、どうにも離れ難い。
首元に擦り寄ったまま、言ってしまえばべったりと張り付いている状態な訳で。客観的に見れば、恥ずかしいことこの上ないような状態であるからして。
けれどもやっぱり、どうしようもなく離れ難い。
もうしばらく平子さんが起きなければ良いのに。こんなに擦り寄ってることなんて知られたくない。
もう少しだけ、もう少しだけ。と祈った。
首元がこそばゆくて目ェが覚めた。
微睡みながら様子を窺うと、どうやら紫雨が擦り寄っとるようやった。何となし、ふっと口の端が上がる。猫が擦り寄っとるようなやんわりとした擦り寄り方。俺が動けば多分逃げてくやろう、と予想は付いたため狸寝入りを決め込む。
温いな。
またうつらうつらと眠気がやってくる。
寝ぼけたフリして抱き寄せるくらいやったらしてもええやろか、と謎の思考が過ぎった。なんでそないなこと思うたんやろう。なんてぼんやり思いながら、気持ちの向くまま紫雨を抱き寄せた。
「ぎゃっ」
ぎゃっ、て。
なんやその鳴き声は。
さっきまで擦り寄られとったことへの仕返しのように紫雨の頭頂部に擦り寄る。
びくりと腕ン中で跳ねた。
ホンマに猫みたァやなァ、なんて思う。
ぴたりとくっ付いた胸元からバクバクと、まるで破裂するんやないかっちゅう程の心音が響いてきた。
なんやいつもより反応が大きいな……?
ちらりと紫雨の方を盗み見ると、俺から見える耳から首まで全部真っ赤っかやった。寝ぼけた頭で一瞬、火傷でもしたんかと心配したほど。
しゃーけど、これは流石に分かった。
どないしょ……。
俺、紫雨に惚れられとるかもしれん。
