平子真子逆トリ(仮)
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平逆トリ26(仮)
平子さんと二人で散々ゲームをし倒して、二人で料理をしてご飯を食べて、お風呂に入り交互に頭を乾かして、ベッドでまた二人でゲームをしながら、ふと疑問を感じた。疑問、というかなんというか。
あれ? 平子さんにキスのことでお説教したけど、これも充分距離感バグってない……?
雷の時は結局抱きしめてもらって寝たしな……?
あれれ……私、平子さんにお説教出来なくない?
考え出してしまえばクエスチョンマークのオンパレードだ。
やばい。充分にやらかしている。
気付けば今も肩が触れ合うくらいの距離にいるではないか。足もパタパタしていると時々当たる。
「あいやー!!」
叫んでしまった。
「急になんやねん!! びっくりするやろ!!」
「……いえ、すみません。私事です」
私の羞恥心による叫び声に平子さんは水を掛けられた猫みたいに目をまん丸にして機敏に反応した。やんのかステップと膨らんだしっぽが見えてきそうである。
私が謝ると「ほんならええけど……」とゲームに戻る。
今のままでは距離感が不味いのは理解した。
理解した、がこの距離感が心地良いのもまた事実だった。そばに居るとなんだか温かい。物理的なこと以上に精神面が。
だがしかし、オタクとしては分を弁えなければいけないのでは? 推しとの距離感を間違えてはいけないのでは?
頭がぐるぐるしてきた。多分今、同じことしか考えれていない。つまりは"推しとの距離感が不用意に近い"だけで伝わります。
かといって何も整理がつかない。このままぬくぬく推しと距離バグしてていいものか。
「……ぁ、なぁって」
平子さんの呼ぶ声にハッと思考が中断される。
瞬間足に擽ったい感触。びくりと身体が跳ねた。
「聞いとる?」
こちらを覗き込むように見る平子さん。
擽ったい感触の正体は、平子さんが私の足に自分の足でちょっかいかけてきていた感触だった。
「い、今聞こえました」
「……自分もしかしてこちょばされるん弱い?」
思わずぎくりとした。
その瞬間、不思議そうに尋ねてきていた平子さんの口角がにやりと上がるのが見えた。
すぐに足が足でこちょこちょと擽られる。
「ひゃっ! ちょっ! やめてください!」
「嫌やて言うたら?」
足をバタバタと動かして抵抗する私に、涼しい顔で器用に足を動かし追い付いてくる。
そんなとこまで器用じゃなくて良いですよ!
脳内で叫びながら必死に抵抗を続ける。
すると突然視界がぐるんと半回転した。直後、脇腹にも擽ったい感触。
回らない頭で状況を確認すると、平子さんに背後から抱え込まれて足と脇腹を擽られている。
時間が時間なので、反射的に出る笑い声を押し殺しながら抵抗し続けていると、頭上で平子さんがくつくつと低く笑う音がした。耳元に息がかかり、これがまたぞわぞわとして擽ったい。そして余裕そうな様子がまた腹立たしい。
「本当に、もう、やめてくださ、い」
力の入らない手で後ろ手に押し返す。更にぐっとキツく抱え込まれ、いつバレたのか脇腹と足の一番擽ったい場所を擽られる。
「あははははははははははは!!!!!!」
馬鹿でかい笑い声が出た。
時間を考えろ。
少しお久しぶりのお隣さんからの壁ドン二重奏を聴きながら私はもうどうにでもなれと思った。
