平子真子逆トリ(仮)
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平逆トリ25(仮)
有給四日目、朝。快晴。
たった一日だが昨日より随分と腫れは引き、ガーゼに収まる頬っぺになった。
「腫れ、引いてえかったな」
平子さんがガーゼの上から私の頬を触って確認しながら微笑む。
今度から平子さんをお父さんて呼ぼうかな。
「お陰様で」
事実として迅速に冷やしてくれた平子さんのお陰である。
ちなみに温くなったお米はきちんと解凍して食べた。
「今日こそ髪切りに行くか」
「そうしますか!」
もしかしたら一部の通行人の方々に、平子さんがDV彼氏の疑いをかけられるかもと一瞬思ったが、そんなことは考えていても仕方あるまい。
「……あ、平子さん切った髪、少し貰ったり出来ますか……?」
「……ええけど……そんなん欲しがるてホンマに自分変わりモンやな……」
「そりゃそれだけ美しい御髪、欲しくなりますって! 平子さんのですし!」
「お、おう……」
もう数えるのを止めたドン引き顔ですね。そのお顔もまた可愛らしいです。
「本当なら全部持って帰りたいくらいです!」
私は鼻息荒く胸を張り、トンと胸を叩いてそう言った。
胸を張ってまで言うことではないかもしれなかったが、良いのだ。私としてはそのくらい重要な話なのである。
シャキシャキ、とキラキラ光る金髪が切られていく。
私の手には初めに切られてゴムで纏められたひと房が、美容院の人のご厚意の袋に入れて握られていた。
急だったが、あまりに綺麗で長い髪なのでヘアドネーションするしないと美容院の人達の中でひと騒ぎあった。結果ヘアドネーションする方向で準備が進められ、ざっくりと肩口まで髪が切られているところである。
もう殆ど破面編の平子さんだった。
そこからシャンプーされ、残ったオカッパが平子さんのオーダー通り段差のないように綺麗に整えられていく。自分がカットされている訳でもないのに鋏が音を立てる度なんだかドキドキした。
平子さんはこの世界の人間じゃない事がバレないようにか、最初のオーダー以降ずっと静かだった。
そうして私が見ている間にあれよあれよとカットが進み、もうドライヤーをされている。いつもより風量の大きなドライヤーで乾かされる平子さんはギュッと目を瞑っておりめちゃくちゃに可愛い。
強い風量に耐えたあとは櫛で整えられ、鏡で確認。そして軽くスタイリング剤を付けられ、美容院のポンチョから解放されていく。
「おおきに、ええ仕事やわ」
改めて鏡を見ながら平子さんが美容師さんにお礼を言う。美容師さんは満更でもなさそうに照れ笑いをしている。
「どや、紫雨」
「大変お似合いです」
本当にまんま仮面の軍勢バージョンですやん。オタク大歓喜。
「これからお風呂とドライヤー楽になりますね!」
「せやな! 早よ寝られるわ……いや、ゲームするか」
どうやら平子さんは昨日のゲームにしっかりハマったらしい。可愛くてニマニマ笑いが止まらない。
「待つんも疲れたやろ、早よ帰ろ」
「はい!」
多分帰って少し休んでまたゲームするんだろうと予想出来てしまい、やっぱりニマニマしながら帰り道を平子さんと並んで帰る。
短くなっても、陽に透けてキラキラ光る綺麗さは変わらず、やっぱり眩しかった。
