平子真子逆トリ(仮)
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平逆トリ18(仮)
夕方から天気が急変した。
朝はカンカン照りだったのに、夕方から土砂降り。窓越しにもザーザーと雨音がするし、ゴーゴーと風は強く吹いているし、今にも雷が鳴りそうだ。
「天気悪いですね……」
「せやなァ……」
唐突な頭突き事件もいつの間にか落ち着き、平子さんの機嫌は直っているようだった。
ドドドドドアホなんて罵り言葉を聞いたのは初めてだったため、割と真面目に平子さんの機嫌の心配をしていたのだが、杞憂のようでほっと胸を撫で下ろす。
やっと今日の晩御飯のことを考えられる。さっきまでご飯なんて喉を通りそうになかった。
「平子さん、晩御飯なんにします?」
「海鮮丼」
素っ気無いお返事。
やっぱりまだ怒っていらっしゃるかもしれない。
それはそれとしても私の頬は緩む。平子さんと晩御飯の食べたい物が一致したためである。海鮮丼は私の好物だった。
窓の外を見ながら軽く鼻歌を歌えばジロリと視線を感じる。あえて見ない振りをしてテレビのチャンネルを変えた。
「「……」」
気まずい。
こんな時の話題の変え方なんて私は知らないのだ。
じっとりとした嫌味の籠っているであろう視線に耐えるしかない。
背中に嫌な汗をかいてきた。
「……なァ」
沈黙を破ったのは平子さんだった。
「……はい」
「自分、俺のこと好きなん?」
飲んでいたお茶を吹きかけた。
あまりにも唐突で予想外すぎる質問だ。
「げほっ、ごほんっ……! ……ちょっと、気管支に、入って……しまったので!」
ちょっと待ったと手を突き出す。
平子さんはやっぱりお馴染みのドン引き顔。
「お、おん。なんかすまんな……」
謝りながらそっと背中を摩ってくれる。
手が暖かい。
しばらく咳き込んでやっと落ち着いてから、質問の意味を理解しようと頭を回転させるが全く分からない。
「えと、好きなのかと言われたら、そりゃ好きですよ……?」
そりゃ、推しですし……?
頭の中がクエスチョンマークだらけである。
尚も平子さんは心情の読めない無表情でこちらを見ている。
「……ほーん……さよか」
ぽつりと言って立ち上がった。
「飯の用意してくるわ」
「あ、それだったら一緒に……」
「乗せるだけやからええよ、座っとり」
何だろう、また雰囲気が変わったようだけど。
それでもやっぱり読めないのは変わらずで。
「……返事にミスったかな……」
平子さんの居なくなった部屋で小さく呟いた。
