平子真子逆トリ(仮)
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平逆トリ17(仮)
「んで? 髪カーテンとやら見してみィ」
帰宅後、平子さんが髪カーテンの参考になるものを要求する。
「えっと、こんな感じの状態のことです……」
私の大好きな小説の挿絵を平子さんの前へ差し出す。平子さんのようなとろとろとした蜂蜜色の金の長髪を持った騎士がお話の主人公に髪カーテンをしているシーンだ。
「ほーん……」
平子さんは顎に手を当てて挿絵をじっくり観察しているようだった。
言ってしまった後から後悔と恥の気持ちがじわじわ湧いてきているが、言ってしまったものはもう仕方ない。引っ込めることも出来まい。
「ちょォそこ座り」
唐突に平子さんがベッドに座るように言う。
「は、はい」
大人しく座る。途端に平子さんに肩を支えられ、一瞬のうちに私は天井を見ていた。すぐに視界が平子さんで埋め尽くされる。顔の横には平子さんの腕と陽に当たってキラキラ光る金の髪。
状況を理解するまでにややかかった。それでもまだ頭が追い付かない。
「……どや」
鼻先に当たる平子さんの吐息で正気を取り戻した。
「あっ、あの、あっ、あって……ます……」
近い!!
顔が上気しているのが分かる。爆発でもしそうだ。
おでこを擽る平子さんの前髪すら擽ったい以上の刺激をもたらしてくる。
「あの、ありがとうございます。もう、大丈夫です……」
「……」
平子さんが退かない。
「……平子さん……?」
真正面から見据えるのが恥ずかしく、僅かに上目遣いに平子さんの方を窺うと、目が合ってしまい慌てて逸らす。
何故無反応なんだ。
"ゴンッ"
目の奥で火花が散った。
「ったあああああ!!」
反射的におでこを手で覆う。
え? 何? え?
なにゆえ突然の頭突き???
「ひ、平子さん……??」
おでこを覆った手の下から平子さんをちらと見上げると、まだチカチカする視界で食いしばった並びの良い白い歯だけが見えた。
「……どうかしましたか?」
「……アホ」
体調でも悪いのかともう一度声を掛けると、急に罵られる。
私が知らない間に何かしてしまっただろうか。
もしかして髪カーテンが余っ程不快だったのでは。
「あの……なんだかすみません……?」
「ドアホ」
「はい……」
「ドドドドドアホ」
何だその青い猫型ロボットの主題歌みたいなのは。
だァーーーもうアカン!!
あんなンただ押し倒しとるようなモンやんけ!!
人がせっかく抱き枕事件をなかったことにしようとしとる時に!!
一人で台所に茶ァを取りに来て蹲る。
もう俺にはアイツの考えとることが分からん。
極度に恥ずかしがったかと思うたら急にあないなこと頼んでくる。恐ろしい。
顔を両手で覆って溜息を吐く。
「……何で俺がこない動揺せなアカンねん」
