平子真子逆トリ(仮)
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平逆トリ15(仮)
翌朝、見事なまでに何事も無く朝を迎えた。
私の作戦勝利っっっっっ!!!
別にそんなわけもないだろうが、起き抜けに勢いよくガッツポーズした。
平子さんはと言えば今日もすやすやと気持ち良さそうに眠っている。ここが安全だと判断してくださっているのだろうか。至極光栄です。
薄っすらにやけたまま、静かにベッドを抜け出して冷蔵庫のお茶を飲みに行く。
今朝はそれなりに暑い。
冷蔵庫には都合良く、ハムと卵とチーズ。朝は簡単にサンドイッチでも作ろうか。
思い立って、鍋を用意して卵を茹でる。沸騰してからタイマーは十二分。台所に座ってネットサーフィンしながら茹で上がるのを待つ。
チラチラと吹きこぼれないよう見ているとあっという間にタイマーのアラームが鳴った。そのタイマーと同時に平子さんの欠伸が部屋から聞こえてくる。
ほとんど足音はしないが平子さんが台所へ近付いてくる気配を感じ、扉へ目を向けた。
「おはよーさーん……」
扉から朝の挨拶と共に、涙目でふにゃふにゃした浴衣姿の平子さんが登場。何度見ても可愛らしい。もう何回思ったっけ。
「おはようございます!」
「朝メシは茹で卵か?」
「いーえ、サンドイッチです」
「サンドイッチ?」
聞きなれないであろう言葉に平子さんは眉を顰めた。
「卵やハムをパンに挟んで食べるんですよ」
「……ほーん、けったいやな」
「意外とそうでもないんですよね。ふわふわのパンとマヨネーズに和えた卵のふわふわで胡椒も効かせて……もう語彙力消えてますけど美味しいんですよ。ハムもほんのりジュワッとして程良く肉肉しくてそこにチーズの塩味も合わさって美味しいですし」
「お、おん……」
寝起きからドン引きのお顔をさせてしまいました。もう何度目でしたでしょうか。
「まあ、楽しみにしてるわ」
平子さんは少し笑って私の横に座り込んだ。
えっ。
「えっ」
心の声が出てしまった。
「……なんや、おったらあかんか? 興味あんねん、さんどいっち」
「い、いえ。それでは準備させていただきます……」
座り込んだ平子さんの横から失礼して、流しのザルに茹で卵の鍋を開けていく。すぐに水を溜めたボウルへじゃぼん。卵一個一個に軽くヒビを入れて少し放置。
その間にパンを耳と真ん中に解体し、一枚が二枚になるように半分に切る。そしてマヨネーズを塗る。そのまま先にハムとチーズを挟んだハムサンドを完成させてしまう。三角になるように斜めに切って平子さんに渡してみた。
「これがハムサンドです、チーズ入りの」
「おおきに、いただきます」
平子さんは恐る恐る一口目を齧る。噛む毎に目の色が変わっていくのが見て取れた。お口に合ったようだ。
「結構美味いなコレ!」
「ですよねぇえ」
そう言って私も半分を頬張りながら頷く。
続きをやってしまおう。
ボウルの中の卵を手早く殼むきし、マッシャーで潰す。マヨネーズと胡椒を混ぜて、パンに挟めば出来上がりだ。
「今度はたまごサンドです!」
今度は臆することなく嬉しそうにかぶりつく平子さん。ニコニコである。
ニコニコの平子さん尊きかな……。
またもや合掌したくなる自分を抑え、残りの材料も全部サンドイッチにして、洗い物もサクッと終わらせ平子さんを連れてテーブルへ移動。
「「いただきます」」
二人で仲良く手を合わせて食べ始める。
さっき味見した通り美味しく味付け出来ており満足だ。
二人で黙々と食べていたら思いのほか早く食べ終わってしまい追加でインスタントのコーンスープも飲んだ。これまた平子さんにはウケが良かった。
「さて、試着会しますか!」
「おう」
食後にお茶を飲んでまったりした後は待ちに待った試着会である。
買いすぎた洋服達を引っ張り出してきて平子さんに簡単に着方を説明する。
「よっしゃ、ほしたらそっち向いててや」
言う通りまた平子さんに背を向けて座った。
静かな部屋に衣擦れの音だけ響く。
「コレでどうや」
呼びかけられ振り向くと髪の長さこそ違えど、仮面の軍勢時代の平子真子そのものの姿がそこにあった。
「めちゃくちゃお似合いです……」
思わず惚けてしまった。
仮面の軍勢姿なのに長髪姿で脳がバグってしまいそうだ。長髪バージョンも素敵だろうと妄想こそすれ本当に見ることが出来るとは。
「……見蕩れてんちゃうど」
ふっと笑いながらからかわれる。
鼻血を噴いて倒れそうなほど顔が熱い。
え、よく倒れてないな私。
悩殺ビーム出てませんか平子さん。
とりあえず親指を立ててグッドアピール。
キョトン顔をされましたが他に出来ることがありません。
「そういや、今日出掛けるんやろ? コレで一緒に行こか?」
平子さんが今着ている服を指差して問う。
そう、買い出しもあります。平子さんの服、追加も買う気あります。
「はいいい! よろしくお願い申し上げますううう!」
興奮が抑えきれず某芸人のような喋りになってしまい申し訳ない限りです。
そんな様子のおかしい私に平子さんは何故か優しく微笑んだ。
