平子真子逆トリ(仮)
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平逆トリ13(仮)
「おはよーございます……夜だけど」
目覚めた紫雨は顔が赤かった。
多分、抱き枕にしてしもうたせいやろう。
「すまんかったな、抱き枕にしてもうて」
そう声をかけたらまた余計に赤うなって、少し縮こまったように見える。
「はい、あの、まあ、仕方ないです」
微塵も思うてなさそう。
恥ずかしいですゥ、て顔に書いとる。
こないな顔されたらおちょくりたァなってまう。
「抱き心地えかったで」
もう耳まで真っ赤っか。
切り替えなアカンと思うてはいてもつい頬が緩んだ。
なんやろなァ……。
「……晩御飯どうしますか、指これでも出来ることあればします……」
真っ赤になったまま健気なこと言うもんやから、余計変な気起こしそうになる。
とりあえずお互い落ち着く時間があった方が今まで通りに戻りやすいやろ。
「今日も俺がやるからええよ。疲れてるやろ、テレビでも観とき」
「……では、お言葉に甘えて……よろしくお願いします」
俯き気味に紫雨は台所から部屋へ戻っていった。
「よっしゃ、やるかァ」
まずは冷蔵庫の食材の確認からや。
「テレビかぁ……何かしてるかなぁ……」
特に観たいテレビがあるわけでもなく、番組表を流し見ていく。
テレビよりも何よりも今は平子さんのことで頭がいっぱいだった。
二度目の夕寝から起きてみると平子さんは驚く程いつも通りで、私が体験したことは全部夢なのではと思った。
が、しかし平子さんの「抱き枕にしてもうて」の一言でやっぱり現実だったのだと自覚させられてしまった。オマケに抱き心地が良かったなどと言うものだから恥ずかしくて恥ずかしくて仕方ない。
あの御方には恥の概念がないのだろうか。
そんなことを考えている間に台所からは包丁の音が聞こえてきた。
今日はなんだろう。材料何があったっけ。明日には買い出ししなきゃな。
ぼんやりテレビを観ながらぽつりぽつりと考えては消える思考。
とにかく落ち着かなきゃ。
平子さんからしたら寒くて無意識に暖を求めて抱き枕にしてしまっただけなわけだし、私が変に意識していたら生活していきづらいだろう。
「忘れよう、そうしよう」
雑念を追い払うため、針子の虎の如くうんうんと頭を上下に揺らす。
ついついドキドキしてしまったこともとりあえず忘れよう。
あまりにも恐れ多いし、それに何より
今晩も隣で寝るのだから。
