平子真子逆トリ(仮)
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平逆トリ12(仮)
多分随分寝てしまった。
目が覚めたらもう真っ暗で、暗闇に目が慣れていない今、自分の真下がベッドなことしか分からない。どうやら月は雲に隠れてしまっているようだ。
「平子さん……?」
電気も付けないでどうしているのだろう。
手探りでわさわさと物の位置を探る。すぐに何かに当たった。ぺたぺたと触るとどうやらそれは平子さん。
大変失礼致しました。平子さんも寝ていたわけですね。
「……どうしよう」
そう、どうしよう。
何せベッドから降りるためにはこの暗闇の中、平子さんを越えていかねばならないのだ。
踏んづけちゃったら申し訳ないしな……。
このまま待つ……?
二度寝? いや、トイレも行きたいしな……。
「平子さ……」
意を決して揺さぶろうとした時、触れる前に手を握られた。正しくは手首を掴まれた。
「あのっ」
グイと強く手を引かれて為す術なく倒れ込む。
痛くはなかったが、おそらく平子さんの上だ。出会った時とちょうど同じような体勢な気がする。
トクトクと規則的な心臓の音が私の鼓膜にダイレクトアタック。既に私のHPはゼロだ。
気恥ずかしくて堪らず、早く退けようと平子さんの胸板であろう辺りを押す。すぐに掴まれている方と反対の手で抱え込まれてしまい、失敗に終わった。
一体全体何がどうしたっていうんだ。
なんでこんなことになっているんだろう。
恥ずかしさで身体中熱くなってきた。
今日の気温は夏にしては涼しめなはずなのに。
「……っ平子さん、寝惚けてるんですか……?」
無言。
それどころか規則正しい寝息。こんなの完全に寝惚けている。
「ぬぐぐぐぐ……」
どうにか腕の下から這い出ようと藻掻くが、腕が重いし力が強い。
見た目は華奢な癖にぃいいいいい!!
私の乙女心がついつい作動してしまうので変なイベント発生は是非御遠慮願いたい。
平子さんは尊い御方なので!!
「平子さん!」
結論から言おう。悪化した。
寝返りを打った平子さんにそのまま運ばれて抱き枕の位置。脚も気付いたら巻き付いている。
だから、なんで!!!!
そこでスっと冷静さが戻ってきた。
分かった。
この人、寒いんだ。
よくよく観察してみれば、Tシャツとハーフパンツから出ている皮膚がひんやりしている。今日の気温は夏にしては低めなわけで、タオルケットもかけずにねているわけで。
なーんだ、ホッとした。
んな訳無いな。
脱出しなければ。
「平子さん、離してくれたらタオルケット掛けて差し上げるので! 離してください!」
無反応。
護廷十三隊の隊長に着いていた御方がこんなにも爆睡かますか……? お? ……おっと口調が。
そんなこんな足掻いている間に私の体力がどんどんと奪われていく。
再び眠いですよなんなら。
諦めて寝ようかな……。
多分随分寝てもうた。
目ェが覚めたらもう真っ暗で、暗闇に目が慣れてへん今、真下がベッドなことと……なんやこれ。
腕の中になんや温いモンが。
よう暗闇に目ェを凝らして見るとそれは紫雨やった。
あちゃー……。
様子からみて寝惚けて抱き枕にしてもうたらしい。
そっと紫雨を抱き枕から解放する。
「よー寝たなァ……」
強ばった身体を解すために伸びをすると、でかい欠伸が出た。
今日はどうも肌寒い。身体が冷えとる。
紫雨にタオルケットをかけてやり、茶を淹れに台所へ向かう。
にしても抱き心地がえかった。
茶を淹れながらついつい思い返す。
別にうっかり女を抱き枕にしたかて今更照れるほど純情なつもりもあらへんけど、全く気にせんほど枯れとるわけでもない。
申し訳なさとちょっとばかし下心。
紫雨をそういう対象としては見てへんかったつもりやったけど、さっきみたいなことがあればそれもそうはいかんわけで。
「頭切り替えんとなァ……」
今晩も隣で寝るんやから。
