平子真子逆トリ(仮)
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平逆トリ11(仮)
そんなこんな朝からバタバタしていましたがようやく楽しいお買い物の時間です。
平子さんに何着てもらおう。
今朝の落ち込みがどこへやら、もうなんだかルンルンである。
現世で着てた服を参考にすると、Yシャツとスラックス系統の洋服が好みなのかしら。なるべくあの時の物に近しい見た目の物を買えば間違いは無いだろう。
それと部屋着と寝間着……浴衣なんかもあったらいいかもしれない。そして下着、は無難にトランクスでいいだろうか。普段和服だったのだからそんなに締め付けがない方が良い……のか?
あ、靴! 足のサイズも知らないや。
「足のサイズ測らせてください!」
ほい、と出された足をメジャーで測りサイズをメモする。
その間も頭の中は今日の購入品選びでぐるぐると忙しなかった。
「うーん……」
「なに出がけに唸ってんの」
顔を上げると眉間に皺を寄せた平子さん。
玄関に至るまで思考していたがどうも纏まらず、玄関で靴を履きながら唸ってしまっていた。
「ああ、いえ! 行ってきます!」
とりあえず最低限を買ってあとは平子さんと選べば良いのだし、ここで考えていても不毛だ。
兎にも角にも出発。
「気ィ付けてなァ……」
ブツブツ言うたり唸ったり、忙しそうに出て行く紫雨を手を振って見送った。
「なんやおかしな奴やなァ……」
思えば始めっから変な奴やった。
煩いし煩いし煩いし……あれ煩いばっかりやな。
あとは泣くわ拝むわ唸るわ。
あらこれも煩いばっかりやな。
まあ、でも
「……おもろいな」
見てて飽きひんわ。
「はあーーーーー結局まあまあな量買っちゃったあ!!」
両手いっぱいの衣類。その中でも靴が重い……!
スラックスに合わせて革靴を買ってしまった。これで足の甲とか横幅合わなかったらどうしよう。無難にGパンとスニーカーでも絶対平子さんは似合うのに!
もう買ってしまったものは仕方ない。割り切ろう。貯金があって良かった! 万歳!
下がりかけたテンションを盛り上げつつ、早足に帰路に着く。
不意に通知音。
荷物を何とか持ち直しスマホを取り出す。
"大丈夫か?"
平子さんから心配のメッセージだった。
にやけつつ大丈夫だと返事をする。
本当にすっかり使いこなしてそうで安心だ。
"もうすぐ家に着きます"
家がもう目と鼻の先なことを思い出し、追加でメッセージを送る。
「さー! 帰ったら試着会だぁー!」
ついうっかり、日が傾きかけた道で急に叫ぶ不審者と化した。
自分に気合いを入れつつ、あと少しの距離を歩いていく。早足なだけあってあっという間に家の扉の前。
荷物の重さにふらつきながらノブを引き、割り込ませた肩で扉を押し開く。
「ただいまでーーーす!!」
「おかえり、お疲れさん」
「おつありです〜……」
もう腕と脚が限界で、部屋に辿り着くなり私は荷物を一気に下ろした。
「おつあり?」
「あ、お疲れ様をありがとうって意味です!」
「あ〜、なるほどな」
初めての言葉に平子さんはどうやら関心しているようだ。
「すみません、ちょっと限界なので一瞬休憩しますね……」
それだけ告げてベッドへ身体を投げ出す。
もー、身体が動かない。
「ほうか、こない荷物持って歩いたらそら疲れるわな」
「はい〜……」
紫雨は返事をしたきり静かになった。
そっと顔を覗き込むとすうすうと寝息を立てとる。
余っ程疲れたんやろう。
寝顔を見とると何となし頬が緩んだ。どうも気の緩む顔しとる。
「そない言うたら嫌な顔されるやろか」
落ちてきた前髪が目にかかり、紫雨が眉を顰めた。
前髪を避けてやるとまた眉を垂らして寝続ける。
この顔見とると藍染とのことが嘘みたァな気ィがしてくるから不思議や。
……そうは言うてもこの傷が事実を嫌でも知らしめてくるんやけど。
「うぅ……平子さん……万歳……」
「どんな寝言やねん」
思わず小さい笑いが零れる。
例えこの傷が事実なことは変わらんでも、今だけはこの能天気な寝顔に絆されとこ。
「あー……平和やなァ……」
呟いて、ついでに俺もベッドの端に横になった。
