破面篇
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好き
平子隊長、衝撃の告白ーー!
そんな煽り文が付けられそうな言葉を聞いてしまった気がします。
錯覚でしょうか?
「いや、知恵袋かよ!!」
「いや、何の話やねん」
"俺は、オマエが好きなんや"
はっ? しか出てきません。
「オマエ……おーまえ……大前田さんのことが好きなんですか?」
「オマエや」
「おーまぇがー……オーマイガー……Oh,my god!」
「オ、マ、エ、や」
ごちゃごちゃとした纏まらない思考が、纏まらなさ過ぎて真っ白だ。
燃え尽きたぜ……真っ白にな……。
ばりの真っ白さ加減。
漂白剤もびっくりの驚きの白さ。
最早脳内弾幕どころの話ではない。
「好き? スキー行こうとかではなく?」
「スキーも季節的には間違うてへんけど。好きや」
「好き? すき焼きしようぜを噛んだわけでなく?」
「すき焼きええなァ、寒い時期にはぴったり……。いや、ボケ倒さんでええねん」
呆れ顔の平子隊長は、今までで一番優しい手刀を繰り出して、取り敢えず私を黙らせて溜息を吐く。
「……ええか? よう聞き」
ベッドから少しだけ離して置いてあった椅子をわざわざ近付け、始めからそう遠くなかった私と平子隊長の顔の距離が近付いた。
冷静さを保った表情とは裏腹に、私の心臓は破裂しそうな程に脈打ち出す。
「俺は、紫游が好きや」
一言一言、宝物を箱から出していく様に丁寧に紡がれた言葉に、私の逃げ道は決定的に断たれた。
どうしよう。
傍に居られればそれで良いと、諦めきった私の脳はこんな時に返す言葉なんて全く用意してなかったらしい。
平子隊長の居ない間は、もう少し素直になれば良かったなんて考えたのに。
私も、平子隊長のことが好きなのに。
無意識にどうにか逃げ道を探そうとしてしまう。
こんな展開は完璧に想定外だった。
「お、御得意の嘘とか……」
「こないな嘘吐くかいな……」
あー……呆れた御顔も何度見ても美し……。
じゃないわ、ちょっと待て。
「平子隊長! 君坂さんは!?」
そう、平子隊長と物凄く良い感じだった君坂さん。
混乱続きで忘れてしまうところだった。
隊長は僅かにきょとんとしてから、合点がいったという様に口を開く。
「……あー、君坂やったら大分前から喜助一筋やで?」
「はっ?」
本日二度目の"はっ?"である。
敬う者に対しての口の利き方を勉強し直す必要性があるでしょう。