破面篇
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渾身の一撃
卯ノ花さんの治療を受けながら、百年前と全く同じ、"嫌な予感"がした。
「なァ、卯ノ花さん。穿界門、開けてもらえんやろか」
卯ノ花さんは少し首を傾げてから、見当が付いたという風に目を伏せた。
「私はここを動けませんが、犀峰さんのことであれば、雛森副隊長に御願いしてみましょう」
卯ノ花さんはすぐに、五番隊の副官章を着けた御団子頭の女の子を呼んでくれた。
「あの、何でしょう?」
雛森という子はまだ俺等がどういう存在か少し戸惑っている様に見える。
この子が紫游の副官か。
「スマンけど、尸魂界の空座町まで穿界門開けてくれへんか。……俺の勘やけど、君とこの隊長が危ないんや」
自隊の隊長が危ないと聞いて血相変えた雛森は、先程までの不安げな雰囲気ではなく、力強く頷いた。
穿界門の中の一護は事情がありそうやったから邪魔せんと走り抜けた。
空座町へ出てすぐに霊圧を探る。
「どこや……」
百年前の繰り返しの様だと思いながら探り続けると、市丸の霊圧の方が先に見つかった。
傍には多分紫游の追いかけて行った金髪の子。
残りは抑え込まれた藍染の霊圧と、針金の様に細く圧縮された紫游の霊圧。無駄な霊圧を一切流さず、一点に集中させているであろうことは容易に理解出来た。
「あっちや、行くで」
「はい……!」
紫游の霊圧はどんどん小さくなる。
その場に着いた時、そこに開いた穿界門から一護も現れた。
「何や、コレ」
路地の中、赤い帯に拘束された藍染の向こうに、紫游の名を呼ぶ市丸ともう一人。
捜していた紫游は虚な目で霊圧だけを淡々と、正確に帯に注ぎ続けている。
「平子、隊長……。さっきから、紫游ちゃんはもう限界やのに、卍解が解けんのや……」
通常、使用者が卍解を維持出来ない程の霊力を失うか、意識を失えば、卍解は自然に解ける筈だ。
それが起こらないということはそういう卍解なのか、それだけの意思をまだ持っているのか……。
路地の入り口に居る藍染と出来るだけ間合いを取りながら、路地に入る。
「オイ! 紫游、聞こえるか? もう止め!」
大声で呼びかけても、目の前で手を振っても、反応が無い。
市丸を含めた四人が不安そうに見守る中、溜息を一つ吐いて、
「このド阿呆!! 死ぬ気かァ!!」
俺は渾身の手刀を紫游の脳天に御見舞いした。