破面篇
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「殺せ、"
藍染の心臓に置いてきた神鎗の破片は、ボクが解号を告げた瞬間に細胞を溶かし崩し、藍染の胸部は心臓を中心に丸く弾けた。
その身体から放り出された崩玉をすかさず手中に収め、藍染から距離を取る。
嗚呼、やっと終わった。
「ギンちゃん! ソレ捨てて!」
安堵しかけたボクの耳に、不自然なノイズ混じりの聞き慣れた声。
歪みはあれどよく知った霊圧が、いきなり"ポン"と現れる。
「海にぃぃ捨ててぇぇ」
現れた霊圧は真上。
差した影に頭上を見上げると、白い面を着けたままの紫游ちゃんが降って来た。
「危なっ! 何してんの紫游ちゃん!」
思わず飛び退く。
ここまで気付かなかったということは、相当慎重に霊圧を消していたのだろう。
そして藍染が、"彼女は経過観察中"と言っていた意味がはっきり分かった。
百年前、紫游ちゃんに変化は無かったと聞いたがちゃんと虚化を発症している。
彼女の白い狐面がその証拠だ。
「紫游ちゃん、捨ててて何……」
言うて、と言おうとした言葉は継げなかった。
一度消えかけた藍染の霊圧が、逆巻いて膨れ上がっていく。
「ギンちゃん、来るよ」
勢い良く降って来た割に静かに着地した紫游ちゃんの言葉と同時に、路地に大きな影。
「"白花"」
ボクに向かって伸ばされたであろう藍染の腕は、肘から下が既に無い。
この百年、紫游ちゃんの斬撃を見切れなかった事など無かった。
今この時を除いては。
自らの腕を確認した藍染は口角を上げる。
「やはり……君は面白い。犀峰、紫游」
「だから、私は面白くないんですって。藍染さん」
紫游ちゃんがボクを庇うように立つ背後で、呆然と遣り取りを見ていると、掌の中の崩玉が黒い霊圧の様に
「崩玉は、既に私の中になくとも、私の物だ」
取り戻した筈の、乱菊の取られた
崩玉を追って反射的に上がりかけたボクの腕を、紫游ちゃんが彼岸花を横へ水平に構えて制す。
「ギンちゃん。乱ちゃんが取られたのは魂魄じゃあなくて……ギンちゃんだと、私は思うよ」
ボクが言葉に詰まっている間に、目の前で彼岸花が、数本の白い帯へと変わった。