過去篇
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名前
それからはあっという間だった。
総隊長から霊術院への入学許可を頂き、卯ノ花さんに付き添われて手続きをして。
もう、明日からは霊術院生……。
授業で使用する持ち物に名前を記入しながら、私は大変なことに気付いた。
私、平子さんに、名前言って、ない……。
先日は浮かれた勢いでトントンと話が進んでしまったためにすっかり忘れていた。五番隊に入りたいと表明したは良いが、名前を知らなければ入隊させようがないかも知れない。
平子さんに会って有頂天だった気持ちは、今や見る影もなく尸魂界初日に逆戻りだ。
忘れていた筈の虚を斬った感触は、冷静になればやはり濃いまま掌に残っていて、際限無く気分を沈ませていく。
死神になったとして、私はまた虚を斬れるだろうか。
本当に卒業出来るのか。
卒業したとしてもし、平子さんが私を忘れていたら?
いや、先ず記憶してすらいないのでは?
それに、よく考えてもみろ。
藍染惣右介はいつ副隊長になるんだ。それとももうなっているのか。
松本乱菊はいつ魂魄を削がれるのだ。
市丸ギンはいつ入隊するのか。
今はいつだ。
考えれば考える程に、私の思慮の浅さが伺えるだけだった。
先を知っていれば知っている程に、未来が暗く濁っていく様に思える。
どんなに考えてももう入学してしまった私には、一日も早く卒業することしか手立てはなかった。
それから四年。
座学に苦戦しながらも通常より早く卒業出来た私は、運良くというか何というか無事五番隊へ入隊。
しかし、入隊後に私が見たのは、
副官章を付けた藍染惣右介と
平子さんと親しげに話す君坂さんだった。
そこから更に約五十年の月日が流れ、私は四席に、君坂さんは五席に。
それが今の現状である。
私から平子隊長へは、まともに名乗らないまま。
もうすぐ市丸ギンが入隊する。