破面篇
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やるべき事
藍染と一心さん。
ギンちゃんと一護。
それぞれ戦う中、桃ちゃんと乱ちゃんと一緒に、霊圧を消してちょこまかと負傷者を運ぶ。
卯ノ花さんとイヅルくんはビルの下で治療に当たってくれている。
「平子隊長……」
重傷者、体重が軽い者。
そちらを優先的に運んで行った結果、何というか……まぁ、身長が中途半端で細身で軽い平子隊長が最後になったわけで。
「失礼します」
総隊長にしたのと同じ様に脇の下に肩を入れて持ち上げる。
「……元気しとったか」
「現在進行形では元気ではないですね。過去形なら、まあ」
相も変わらず、平子隊長と対するとどうも素直には喋れない。
非常時だからこそ肩を貸すなど出来るが、平常時ならまるで無理な相談だ。
触れることすら烏滸がましいとさえ感じる。
「相変わらず難儀なやっちゃなァ……。もうちょい素直に喋れんのかい。"平子さんが居なくて寂しかったですゥ"とか……ぐふっ」
怪我人に肘鉄かましたのは誰だ〜、私だ〜。
「寝言は寝て言った方が健康に宜しいかと存じます、平子隊長」
「怪我人に加減無しの肘鉄かます奴が健康語るなや!! ……それに俺はもう隊長やない、百年前からな」
何か言い返したくなる自分を抑えて、息を吸う。
いつからか、平子隊長の前でする呼吸は、いつもあからさまに"辿々しい"と感じる。
「私にとっては、ずっと……ずっと、平子隊長が"隊長"です」
頭上で平子隊長が息を飲んだ気がした。
「しゃァかて……今はオマエが隊長やろ……」
「ええ。隊長職は不本意ですが、精一杯、五番隊を守ったつもりです」
不要な犠牲は出てしまったが、それでも五席や桃ちゃん、他のみんなは守れた筈。そしてこれからも、守りたい。
「また、息抜きもせんと無茶してたんやろ」
どうしようもなく、懐かしさを感じる遣り取り。
一言交わす度に、自分の気持ちを改めて自覚していく。
「平子隊長、そんなに心配だったんですか?」
百年間そんな事考える余裕なかったでしょう。
そう続けて自嘲気味に笑う。
少し、自惚れそうになった。
「……せや、ずっと心配やった」
呟かれた予想外の返答に足が止まる。
肩から平子隊長の腕が外れて、私の影を覆う様に、ゆらりと影が重なった。
「俺は、」
前に立つ平子隊長が何か言いかけた時、平子隊長の数メートル後ろを鮮やかな金髪が駆け抜けた。
目の前にある薄い金ではなく、夕陽に染まった様な金。
「平子隊長!! あとは歩いて行けますよね!? 私は用が出来ました!」
立ち塞がる平子隊長の横をすり抜けて、走り去る金髪の持ち主を追う。
乱ちゃんが動いた。
つまり、ギンちゃんは現世に行ったのだ。