破面篇
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
悪癖
「また、無茶をしたようですね」
声の方へ視線を向けると、怪我をする度に見る、溜息の良く似合う憂い顔。
「卯ノ花さん……。すみません、毎度毎度」
卯ノ花さんが来た。
ということはあちらでは一護が既に戦っているのだろう。
みんなも。
「吉良副隊長、ここからは私が代わりましょう。……犀峰さん、貴女はいつも骨を折りますね……」
「ははは。これぞ、骨折り損……」
慣れ親しんだ冷ややかな霊圧が、文字通り背筋を駆け抜ける。
「ふざけている余裕が御有りでしたら、治療は必要有りませんね?」
目も合って居ないのに射竦められた蛙の様に身体が縮み上がる。
卯ノ花さんは、ギンちゃんの神鎗より余程恐ろしい……。
その事を再確認した。
「……卯ノ花さん、無理を承知で御願いします。すぐ動ける状態にして頂く事は可能でしょうか……?」
「……? ええ、"動ける"という程度になら。吉良副隊長の処置も的確だった様ですし、可能でしょう」
ワンダーワイスを仕留め損なった。
一刻も早く動かねばならない。
治療が続く中、桃ちゃんはずっと私と手を繋いでいる。
その手に、藍染の気配は無い。
「桃ちゃん。今、戦況は?」
俯せの私の代わりに、空を見てくれている桃ちゃんは、霊圧が不安定だ。
決して良い戦況ではないのだろう。
「……護廷と仮面の方達はボロボロです。藍染隊長が一方的に……」
「そうか……」
藍染が追い詰められている様に見えないのなら、藍染は桃ちゃんを利用出来ないと判断したのかもしれない。
そう願いたい。
原作通りなら、藍染は一気に片を付けるために桃ちゃんを利用して日番谷くんの冷静さを失わせる。
藍染からすればおそらく、長引くのは退屈なだけなのだ。
「総隊長の姿はここから見える?」
「いえ、確認出来ません」
ならば、今が炎熱地獄を仕込んでいる時か。
この後、私が止めに入る意味は実際、有るとは言えない。
でも、山本総隊長は頑固爺だから。
「私が何かしたいだけ、か。悪い癖だなぁ……」
眺め続けた百年は、私の悪癖を無くしてはくれなかったらしい。