破面篇
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損な役回り
平子隊長が藍染に斬りかかり、東仙が出て来たところで狛村さん、続いて檜佐木くんが飛び出して行った。
「イヅルくん、桃ちゃん、怪我した人が居たら手当を。無闇に加勢に入らないようにね」
どうにか原作と違う運びにならないように。
どうにかみんな生きて帰れるように。
「乱ちゃんは一番消耗してるだろうから、まだ休むこと! おーけー?」
「はい……」
乱ちゃんはギンちゃんが現世へ移動するまでここに居てもらわなければ。
「ほい、乱ちゃん。御握り持って来てたから食べて」
「隊長……。背中が膨らんでると思ってたら……御握りだったんですか……」
朝御飯を食べ損ねたため、ちゃっかり持って来ていたのである。
緊張感のない……。と言いたげな副隊長組の視線を避けてビルの上へ。
「ワンダーワイスはどこに落ちた……?」
この後、ワンダーワイスが正直一番面倒だ。
総隊長の腕が無くなる原因。
腕が有ろうが無かろうが結果は変わらないのだろうが、倒せるなら倒しておくべきだろう。
「アレか」
六車さんが派手にやってくれている御陰で見付けるのは楽だった。
しかし、手前にいる藍染の前に、立ちはだかる様に仮面の軍勢が現れる。
その光景を目にして、ある場面が過った。
マズい、と思った。
同時にこの戦場で私はこの役回りばかりか、とも思った。
戦況の分析どころか、考える時間も無しに飛び出す役ばかりだ。
「あらあら、真っ二つにしたつもりやったんやけど」
右後ろの方からギンちゃんの声が聞こえる。
おーしまいってさせないために突っ込んだんだから真っ二つになったら困るよ、ギンちゃん。
「ははは……、瞬歩、練習してて、良かった……」
二番隊入れますかね? なんてふざけても、誰も突っ込んではくれない。
「紫游……オマエ、何で……」
腕の中でひよ里さんが喋ってる。
生きてる。胴も繋がってる。
「何で、って。"我慢出来ひんかった"……じゃ、駄目ですかね……?」
飛び出したひよ里さんの前に出て、抱き止めて、着地姿勢など考えずそのまま平子隊長達の方に思い切り突っ込んだ。
御陰様で誰かが作った霊子の床と仲良し。
「やっぱり、神鎗、速いなぁ……」
無駄な動きをした覚えはない。
脚を緩めたつもりもない。
それでもやっぱり、双極の丘の時の様に、逃げ切れなかった。
私の背中は随分と深く斬れたらしい。立てなくはないのかもしれないが、まだ力が入らない。
「何、呑気なこと言うてんねん!」
「呑気にもなりますよ、ひよ里さんが生きてる」
出来る限り微笑んで、ひよ里さんの体温を確かめる。
良かった、本当に、良かった。
百年前は何も出来なかった。
でも、今は助けられた。