破面篇
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葉見ず、花見ず
本来の目的まで霊力を温存する気だったが、致し方無い。
全滅しなければ総隊長は来ないだろう。
「……って、あ、や……やらかした」
最早言葉にならない。
アヨンは"傷付けてはならなかった"のだ。
自らが傷付いた事に激昂し、雄叫びを上げて巨大に変容するアヨン。
諦めて浦原さん特製ピアスも外す。
「でっかくなっちゃってまぁ……」
叩き潰そうと振り下ろされた手を躱し、彼岸花を最下段に構えた。
「
彼岸花が柄も刀身も、無数の白い帯へと変わる。
巨大になったアヨンを全て包み込んでも尚余る白い帯。巨大なミイラ男の様になったアヨンをギリギリと締め上げる。
「卍解の拘束は流石にすぐには破れないか……有難い」
私の手元にあるアヨンを包んだ帯の端から、霊圧を練っていく。
彼岸花を屈服させた時の様に、帯に巡る彼岸花の霊圧に絡ませ、長く伸ばす。
アヨンの手前まで届いてやっと、彼岸花と私の霊圧が一つになった。
「ここか……。
一つになった霊圧が、白い帯を一気に紅く染め上げる。
彼岸花の卍解は二段階。拘束する一段階目と、帯の内側の霊子体を麻痺させ融かし崩す二段階目。
面倒な事にこの段階は踏まねばならぬらしい。
「テメェ! アヨンに何した!!」
「何って、融かしてるんだけど」
こうしている間も休みなく、融けきるまで霊圧を注ぎ続ける必要がある。
「そうじゃねェ! 何でアヨンは動かない! アイツならそんな布引き千切って……!」
そんな布ねぇ……。
「質問に一つずつ答えるね。一つ、この布は私の斬魄刀の卍解。だから簡単には千切れない。二つ、私の卍解の二段階目は中枢神経麻痺を引き起こす毒が流れ込む。アヨンに神経があるのか疑問だったけど、生き物は中枢神経が無いと動かないし……良かったよ、毒が効いたみたいで」
親切に答える義理もないんだけど……無視も出来ないんだよなぁ……。
「くっそぉおお!!」
やっぱり、キレやすいアパッチは斬りかかって来る。
「このまま相手すんの!?」
やり辛いと確信があるためうんざりするが、解放してない天竺葵を片手で抜く。
「加勢します」
アパッチの攻撃は応援に来てくれた檜佐木くんが受け止めた。
そのまま、副隊長組はアパッチ、ミラ・ローズ、スンスンを相手取って戦い始める。
「はぁ〜、助かった! そっち宜しく!」
さて、と。
帯となった彼岸花から中身の様子は伝わる。
あと少しで全て融けそうだ。
名は彼岸花でも、卍解は蛇の腹の中みたいだな……。
麻痺させて融かす。
確かに帯は紅いが、ミイラ男の様な見た目だし、何が"花"なのか。
「ん、全部融け……た」
中身が融けた帯が緩まり、拡がる。
紅く染まった帯が丸く解けていく姿は、宛ら、雨後の彼岸花。
「雨後に、急に咲く……か。解く時の一瞬が花盛りで、解いたら
自分で言うのもなんだが、私の卍解は美しかった。