破面篇
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アヨン
「ひゃ〜、流石桃ちゃん。来る時に気付かず引っかかってたら、私もやばかったな」
「そんな! 隊長が引っかかってたら爆発させませんよ!」
必死な言い方が少し五席に似ていて、つい笑う。
「有難う。でも……まだ終わりじゃないね」
爆煙の中から、上昇する霊圧が響く。
「突き上げろ!! "
「喰い散らせ、"
「絞め殺せ……"
帰刃して傷の治った三人が再び立ち塞がった。
「許さねェ……」
一度倒され、激昂したアパッチの額の角の真ん中で、赤い光が渦巻く。
「任せて下さい! 弾け、"飛梅"!」
私達の前に飛び出した桃ちゃんが飛梅を虚閃に向かって放ち、それが当たる瞬間を見計らって桃ちゃんを抱えて瞬歩で後方へ。
灰猫を解放した乱ちゃんもそれに続く。
「うげ」
飛梅と灰猫に勢いを殺される事なく、私達の居た場所を通過して地表を抉る虚閃。
まともに喰らえばひとたまりもないだろう。
「長引かせても面倒そうだ、アレで一気に片を付けよう」
地表の抉られ加減にゲンナリしていたが、ミラ・ローズの声に顔を上げると、やいのやいのと話していた三人が、急に自らの片腕を引き千切る。
やっと"
ここが勝負所……。
赤い霊圧の中で混ざり合う三人の肉片が、蠢き、形を変えていく。
この場に拡がる霊圧が重量を増す。
「桃ちゃん、乱ちゃん。退がってもらって良い?」
「隊長! でも……!」
二人は異を唱えるが、霊圧に呑まれている桃ちゃんと乱ちゃんが前に居ては、無事には済むまい。
「雛森、松本。"退がれ"」
有無は言わせない。
二人を退がらせる間にアヨンが完成してしまった。
「
アヨンの移動に予備動作はない。
私の目で追えるだろうか。
ぶっつけ本番、集中しろ私。
来た!!
見える! 見えるぞ!
「彼岸花"
脇腹を狙って伸びたアヨンの腕を、霊圧を纏わせた彼岸花で縦に切り裂く。そのまま肩まで一気に切り上げ、勢いを殺さず振り下ろし、腕を落とす。
倒し方……何だったっけ……。
くそ、肝心なとこ覚えてない。
アヨンの攻撃を躱しながら思考する。
確か激昂すると暴走して巨大化した筈。それを総隊長が……。
巨大化する前に……総隊長しか手が付けられなくなる前に、倒したい。
「それなら、出し惜しみ、出来ないか……」
弱点や倒し方が思い出せないなら、跡形も無く融かすしかない。