破面篇
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蓮華の花言葉
「そういえば、先日から十三番隊に井上さんという方がいらっしゃってます」
隊長が御昼を一緒に、というので隊長の後をついて廊下を歩いている。
「そうか」
簡潔な返答。
あまり興味はないのだろうか。
と、思った矢先。
隊長がずっこけた。
「綺麗に……仰向けに転けましたね……」
「……う」
「……う?」
「うわぁあんなんで隊首羽織って長いのぉおやだやだやだぁあ」
突然、仰向けのままで子どものように駄々を捏ねる隊長。
思わず溜息を吐いた。
「あの、流石に隊長の体面に関わりますので……」
声をかけると、駄々を捏ね始めた時と同様に今度はピタリと止まる。
無言で私に手招き。
起き上がるために手を借りたいのか。そう思い、手を差し出すと、思い切りグイと引っ張られた。
勿論、私まで転んでしまうわけで。
「隊長……体格のそう変わらない私が降って来たら……それは痛いに決まってますよ……」
悪戯をした隊長は一瞬で報いを受けた。
私の頭部が、奇跡的に隊長の鳩尾に入ったのである。
「うぇ……」
苦しむ隊長を眺めながら、因果応報とはこういうことなのか、と納得した。
そして蒼い顔の隊長が執務机で呻く中、なんとか仕事を終えて、自室へ。
「あれ……なんだろう」
着替えの最中、袖から何か転がり落ちた。死覇装の袖に物の入るたわみはないため、肌着に引っかかっていたのだろうか。
小さな紫の塊を屈んで拾う。
「蓮華の、髪飾り?」
おそらくこの金具が引っかかっていたのだ。
誰かのが偶々入ったのかな。
でも……。
「……微かに隊長の霊圧が移ってる」
それで何となく見当がついた。
不器用だから贈り物としてこっそり忍ばせたのかもしれない。
手を引かれたあの時か。
「しょうがない人だな」
分かりづらい優しさに口元が綻ぶ。
私でなければ隊長の霊圧に気付かず、紛失物として届けていた筈だ。
仕方がないから明日はこれを着けていこう。
それから、たまには私も素直に御礼を言おう。
翌朝、隊長は隊首会で執務室には現れなかった。