破面篇
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する側、される側
正直、総隊長達が私を五番隊隊長に推したのは、分からなくもない。
簡単な理屈だ。
隊長、副隊長両名の不在時に三席と共に隊を纏め、書類処理も遅くはなく、護廷への所属年数も他より長い。
そんな者が偶々、卍解を会得していた。
更に、しばらく纏め役をしていた者が隊長なら混乱も少ない。
総隊長達にとってはこれは好都合だったのだ。
職務自体は変わらないし、私も戸惑うことが少ない。そりゃこうなるわ。
「はぁ……。早く桃ちゃん、帰って来ないかな……」
五席以下しか隊舎に居ないと執務室はいつも静かで、少し寂しい。
時折運ばれて来る大量の書類を整理して処理して、また整理して。たまに誰かを呼んで他隊へ運んでもらう。
勿論、おやつを持って来てくれる隊士はいない。振る舞う相手も来ない。
たとえ仲の良い五番隊でも、ずっと籠って書類を熟しているだけでは隊士との距離など縮まる筈もない。
書類に追われるあまり、私はふわふわとした"仲良し"に置いてけぼりを食らっていた。
「昔はサボられる側だったし、御菓子要求される側だったからなぁ……」
どう仲良くして良いのやら。
昔の平子隊長の真似をして、執務机にべちゃーっと伸びてみる。
「……ん?」
机に伏せた耳に違和感……というか違和感がない。
慌てて耳の上部を確かめると、浦原さんから頂いた霊圧を抑える耳飾りが無い。
自分で外した覚えは無いし……。
「……四番隊!!」
おそらく治療をする際に邪魔になるから外したのだろう。
よく考えたら良い機会かもしれない。
五席を捜そうと執務室から出ると、丁度五席と鉢合わせた。
「ちょっと四番隊に行って来るよ。五席、後任せた!」
四番隊に忘れたピアスを取りに行くために、私は初めて少しの間、五席に隊を任せて隊舎を離れてみたのだった。