尸魂界篇
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考え無し
"ピッ、ピッ、ピッ"
どこかで聞いたような電子音。
「ああ、目が覚めましたか。犀峰さん」
左側から上品で柔らかな声がする。
デジャヴ。
私はこんな状況を体験したことがある。多分来たばかりの百五十年前に。
あの時は只管混乱するばかりで、卯ノ花隊長の白伏で眠らされたのだっけ。
まだ重い目蓋を何とか持ち上げて、目線だけで左側を見る。
「卯ノ花、隊長……」
話すと、口元に付けられた呼吸器が私の息で湿って、少し痒い。
「意識を失う前の事は覚えていらっしゃいますか?」
忘れる筈がない。
私は呼吸器の管を引っ張らないように気を付けて、コクリと頷いた。
「藍染達は、逃げたのですか?」
「ええ、
反膜……大虚が仲間を守るために放つ、外から干渉の出来ない光の壁。
では、やはり何も変わらなかったのか。
どうせ変わらないなら、と腹立ち紛れに卍解まで出してしまったことをやや後悔する。
どうせなら、一角さんを見習って内緒にするべきだったかもしれない。
「御辛いと思いますが、快復次第、元柳斎様から御話があるそうです」
う、……嫌な予感。
「承知、しました……」
少し考えればすぐに分かる。
考えず動く度、何度も後悔するが、だからこそ"考え無し"なのだ。
まだ喋ることも身体が追い付かないのだろう。
再び訪れた眠気に身を預け、目蓋を閉じる。
只々、この嫌な予感が当たらぬように祈るばかり。